<ヒューマン・法廷>
監督:ヤン・ウソク
出演:ソン・ガンホ、イム・シワン

参った。の一言。
今まで、何度も言ってきましたが。また言うしかない訳ですが。ガンホさま。「さすが」で、ございます。
開始直ぐ、ガンホさま演じる男性に、思いっきり肩入れしちゃうんですよ。そのモデルがノ・ムヒョン元大統領なんだよね。とか。そんな事は一切忘れて。
ノ・ムヒョンさん。現大統領の問題も絡め、語りたい事が山のようにありますが。
例えばほら、このところ、イヤに愛国映画(又はそれに準ずる表現が過多である作品)ばっかり観てるよなぁと思っていた気持ちへの、分かりやすい答えが最近出たこととか。色々と。
でも。
ここは政治を語る場ではないので。敢えて止めておきます。
ひとつ言えるのは、こんな作品を楽しめるのは「ノムヒョンのせい」ではなく、「ノムヒョンのお陰」で。
初めから、どうしても「愛すべき人」になってしまうのですよ。まだまだ、愛すべきキャラでもないし、愛すべき行動もしていない段階であるにも関わらず。
それがまさに、ガンホさまの力なんです。
立ち居振る舞い、セリフ回しで。その男性の本当の人間性みたいなものを、それはそれは上手に、私達に伝えてくれる訳ですから。
作品の内容としては。そりゃもうイライラ。複雑、ショックの連続よ。
それ程前ではない時代に。とんでもなく。恐ろしく。信じられない現実。時代を少しさかのぼれば、我が国も決して他人事ではないのですが。
家族や自分を守る為、見ないフリをして。保身に走る人々を単純に責める事など出来ない中、間違っている事に間違っていると声をあげ、国家権力に立ち向かうガンホさまの姿に引き込まれ。尊敬し。感動して。
同時に。
拷問の指揮をするカク・トウォンさんなんて、心の中で何度絞め殺したことか(笑。
彼の「小憎らしい悪人」は一級品ですから。
あと勿論、イム・シワンさん。
『ミセン ~未生』以来、大好きな俳優さんですので。大いに期待しまくって観に行った訳ですが。一ミリも期待を裏切らず。
若い、アイドル系の俳優さんにはかなり難しい役かと思うのだけれど。
風貌も、拷問前と拷問後を(体重増減で)見事に変えた上で。真に迫った、心を打つ素晴らしい演技を見せてくれて。
本当に素晴らしかった。
オ・ダルスさんも。
出てくるだけで笑いをとっちゃうんだから。もう、キャラが確立し過ぎていて。それはそれで俳優としてどうなの?って部分も多少はあるけれど。いや、もう、良いのよ。彼は彼で。うん。
涙も笑いも感動も。絶賛ポイント満載の。大満足の作品でございました。