<ヒューマン・病気>
出演:キム・レウォン、チョ・ジェヒョン

韓流ドラマをそこそこ楽しんできた身としては、「不治の病」と聞くと、「はいはい、またですか」と。「もう、いいかな」と。「スルーしちゃおうかなぁ」と。思ったりしちゃう訳ですが。
これはほんと、一味も二味も違うんですわ。
確かに、病気の父親と家族の物語でもあるものの、決して単純なお涙頂戴ドラマではなく。
これは完全に、「司法世界のパワーゲーム」なのですよ。
しかも。
「ジェットコースター」ならぬ、恐ろしいまでの「シーソーゲーム」。
少しも飽きる暇がありません。
気づけば悪人だらけ。それでも。悪人をただ悪人として描くだけではなく、悪人の中にもそれぞれの信念があり。思いがあり。家族愛があり。
その辺りが実に丁寧に描かれているのです。
そして。
何より特筆すべきはキム・レウォンさん&チョ・ジェヒョンさん。本当に素晴らしい演技力!
レウォンさんなんて、死期が近づくにつれ徐々に痩せていき。それでも。本気で自分なりの責任を全うしようと、ギリギリのところで戦う姿を見事に表現なさっております。ほんと。敬服。
彼のドラマも映画もみんな好きなのは、内容もさる事ながら、彼のこの表現力に引き込まれてしまうからなんだなと。改めて感じました。
他にも。
ジェヒョンさんの、悪魔のような超したり顔とか。
可愛いオン・ジュワンさんがどんどん悪くなっていく様子とか。
検事なのに、どう見ても美人秘書にしか見えず、完全にミスキャストだと思っていたソ・ジヘさんが次第に存在感を増し、最終的には、結構嫌いじゃないわぁ~という域にまで達していく不思議とか。
熟女の胸にビンビン響く、「まだ小さな子供を置いて、この世を去らなくてはならない切なさ」に拍車をかける、子役ちゃんの泣き演技とか。
色々と。
お気に入りポイントをあげたらキリがない訳ですが。
とにかく。
正義を貫くべき司法世界の面々がみんなカス、という。恐ろしい状況の中、唯一、清廉潔白を通し切る検事を演じたキム・アジュンさんは勿論、先にあげたソ・ジヘさん。自分勝手な正義の為に恐ろしく道を間違っていく長官、チェ・ミョンギルさんなど。
みんな、見事な存在感で。と。珍しく女優さん達も褒めつつ(笑。
信じられない程のスピードで変わる優劣関係も実に分かりやすく。流れを見失う事なく最後まで一気に楽しめる、とても個性的なヒューマンドラマなのです。