鎌倉歳時記 鎌倉散策 古典から知る事 | 鎌倉歳時記

鎌倉歳時記

定年後、大好きな鎌倉での生活に憧れ、移住計画や、その後の鎌倉での生活の日々を語ろうと思います。家族を大阪に置き、一人生活を鎌倉の歳時記を通し、趣味の歴史や寺社仏閣等を綴っていきす。

 平生三十一年(2019)四月に定年退職して、妻と娘を大阪に置き、翌月の五月十七日から鎌倉で過ごすようになった。当初、友人達から熟年離婚かと噂されたが、妻が仕事を続けたいという事からであった。もう散々働いた私は、少々病気を患い、二人で相談した結果、妻に面倒をかけるよりもお互いに好きなことが出来ればそれでいいのではないかと、憧れていた鎌倉での生活を始めるために居住を始めたのである。「亭主元気で留守がいい」とはよく言ったものだ。年に三四回ほど帰阪している。のんびりとした一人生活も楽しく、自炊が出来て、趣味のある人には良いものだ。ただ日々の健康だけが大切だと考える。

 

 鎌倉での居住の理由は、趣味の歴史探訪が主な理由で、中世の歴史の勉強と神社仏閣廻り、美味しいものの食べ歩き、そしてブログ配信であった。当初、ブログは週四日ほど配信し、鎌倉での単身生活や鎌倉の行事、四季、神社仏閣の紹介などである。歴史が好きで、特に中世史の武士の成り立ちと、この時代が中国文化を離れ、日本固有の文化が形成されていったと考えたからである。また、この時代はその後津木菟時代よりも農民に関しては、結構自由で大切に保護されていた時代でもあった。そして農業が一つの職業集団であった事も興味をひく。しかし、一年ほどでコロナ感染症が脅威を振るい、生活も自宅中心となっていた。ブログの内容も、鎌倉期の関東地方のそれぞれの御家人の地を訪れて記載しようと思っていたが、それもなかなかできなくなった。ブログのネタも変化していき、鎌倉期の歴史をつづろうと考えた。内容に補足説明が必要なので、古典や「文献」等を読んでゆく中、少しずつブログ発信数も減少して、今は週に二回程度である。

  

 中世の歴史において、『吾妻鏡』や『愚管抄』等の多くの古典を用い自分なりの検証・考察をしようと考えた。毎月のように刊行される歴史の単行本、新書本、文庫本には、それぞれの内容に出典として『吾妻鏡』と記載されるが、原文・注訳・現代訳により発行されている歴史書において、それぞれの捉え方が違う。実際にはどのように記されているか、原文を知った後に自身で解釈したかったからである。例えば、北条泰時に関して言えば、承久の乱の『吾妻鏡』での記載は、父・北条義時等の幕府高官の対応と指示の基、乱が描かれている、しかし『承久記』では、幕府内での要人の中に加えられ、評議に参加した。その中で泰時の合戦への対応は消極的にみられる記載もある。また、その後の泰時の施政においては、『吾妻鏡』や他の公家の日記等で農民・民衆の撫民政策、御家人の『御成敗式目』等で実効性がありながら堅実的な内容が記された。朝廷への対応は、公家の日記である『葉黄記』・『民経記』・『平戸記』等で朝廷側での視点でとらえ見ることが出来る。『沙石集』では、賢人としての美談的な事柄が記され、『明恵上人伝記』では、道理を常とした泰時の人間性が記された。

  

 それぞれの古典の原文・注訳・現代訳の本の発行が少なく、特に原文・注訳本は高価であり、九条兼実の日記『玉葉』や、藤原定家の日記『明月記』などは、中古本でそれぞれ十万円、五万円となっている。昭和の時代では古典全集として各出版社から多く発刊された。特に原文・注訳本である。しかし現在は、文庫本として現代訳本が発刊され、それも需要に応じてであるため、ごく限られたものだ。また初心者用ダイジェスト版や、その古典に関する評価・解説本など主流で、必要な個所の原文は、図書館などで取り寄せる事も可能である。また、常にAmazonや楽天で古書の検索を行い、古書を月にニ三冊は購入している。これも安い物もから一万円近くする物もある。これらにより、古典古書収集も面白い事に気づいた。古典を読もうと思う人は、まず『保元物語』、『平治物語』『平家物語』をお勧めする。戦記物語である一方、『平家物語』は仏教的説話を含み、人の哀れと一族の栄華の後の哀れを感じさせてくれる。歴史的評価は、物語であるため事象に差異は生じるが、その検証も非常に面白いものだ。 

  

 

 ブログの配信は、四月の中旬から「五代執権北条時頼」を勉強しながら、配信を続け十月初旬で終えた。半年ほどの継続であり、自分自身の勉強ノートと言った物である。これに付き合っていただき、「いいね」の評価を与えて下さる方々には、日々はげみの一つとして感謝したい。

この間に読んだものは、北条義時に関する物の他、『今昔物語』三巻、『北条九代記』三巻など。次にブログ配信する内容は、順番から言うと北条時宗になるが、令和二年(2020)十月に「北条時宗と元寇」で記載・配信した。さて何を勉強しようかと思いつつ困っている状態だ。季節が秋になり。鎌倉地区を散策するのも良い時期で、少し考えながら虚ろな時を過ごしたいとも思う。 ―終わり