鎌倉散策 成就院(せいじゅいん) | 鎌倉歳時記

鎌倉歳時記

定年後、大好きな鎌倉での生活に憧れ、移住計画や、その後の鎌倉での生活の日々を語ろうと思います。家族を大阪に置き、一人生活を鎌倉の歳時記を通し、趣味の歴史や寺社仏閣等を綴っていきす。

 

 極楽寺切通を長谷から登ると星ノ井跡、虚空蔵堂、日限地蔵を過ぎると左側にお墓の墓石が見え長い石段を上がると、成就院にたどり着く。極楽寺坂切通の高さがこれぐらいあった為に上り下りは大変だったと思われる。

 

 成就院は真言宗大覚寺派の寺院で、山号寺号は:普明山法立寺(ふみょうざんほうりゅうじ)成就院である。本尊が不動明王で弘法大師が諸国巡礼の際、百日間にわたり虚空蔵菩薩(知恵を授かる菩薩)を祀る修法を行ったとされる。その時の鈴の音が辺りに響き。香の煙は海風に乗って隅々まで行き渡り、周りに住んでいた人々は感激の涙を流したと言われる。そして、このあたりの植物は良く実り、人々の暮らしが安らかになったとされる(引用:かまくら子ども風土記)。その後、承久元年(1219)に鎌倉幕府三代執権北条泰時により京から高僧を招き本尊を不動明王としてこの寺院を建立、北条一族の繁栄を祈ったと言う。しかし、元弘三年(1333)新田義貞の軍勢が鎌倉攻めの際に激戦地となり宇堂は焼失し、寺院は西ヶ谷の極楽寺に移されたが元禄期に僧の祐尊によりこの地に再興された。

 

宗派:真言宗大覚寺派。 山号寺号:普明山法立寺成就院。 創建: 承久元年(1219)、承久三年の説もある。 開山:弘法大師。 開基:北条泰時。 本尊:不動明王。 寺宝:非公開で本尊不動明王他、鎌倉三十三観音ニ十一番札所とされる制観世音菩薩、金剛界・胎蔵大日如来、地蔵菩薩、弘法大師像、千手千眼観世音菩薩各木像、文覚上人荒行の像が非公開の本堂に祀られている。

 

 境内には弘法大師像、法隆寺の夢殿をおもわせる八角堂があり、大正十年(1921)の聖徳太子千三百年忌に際し建てられ、太子を祀っている。本尊不動明王は縁結びをもたらすと信仰され、最近恋愛成就の寺院として若い人達が訪れ、また学業成就、安産、身代わりのお守りがあり、何故か航空関係者が多く訪れるようになったと言われる。

 

成就院は、鎌倉でアジサイの名所として「あじさい参道」と呼ばれていたが、平成十五年(2015)から平成二十九年(2017)まで改修工事が行われ、参道にあった紫陽花が東日本大震災に遭った宮城県三陸町に移植された。令和二年の夏は百株ほど残された紫陽花が咲いたが、以前に比べまだ参道を埋め尽くすには数年かかるだろう。この門前から鎌倉の町が見渡せ、由比ヶ浜の眺望はいくつも写真や絵に納められている。

 

 極楽寺切通の道をはさみ反対側の長谷寄りに鎌倉十井の「星月の井」があり、横に虚空蔵堂があり、成就院が管理している。虚空蔵堂の山号寺号は明鏡山星井寺で、本尊虚空菩薩である。奈良時代の行基が自ら掘り祀ったとされ、鎌倉時代には源頼朝は秘仏とし三十五年に一度の開帳とされた。現在は毎年一・五・九月十三日に開帳され法要が営まれている(令和二年一月二十日、鎌倉散策 虚空蔵堂で一月十三日の護摩焚き法要を記載)。

 

住所:鎌倉市極楽寺1・1・5 ☏:0467-22-3401 拝観時間:八時~十七時 拝観無料(境内のみ)