鎌倉散策 虚空蔵堂(こくうぞうどう) | 鎌倉歳時記

鎌倉歳時記

定年後、大好きな鎌倉での生活に憧れ、移住計画や、その後の鎌倉での生活の日々を語ろうと思います。家族を大阪に置き、一人生活を鎌倉の歳時記を通し、趣味の歴史や寺社仏閣等を綴っていきす。

  

 極楽坂切通に鎌倉十井の一つ「星月の井」が有り、すぐそばにある虚空蔵堂は南無虚空蔵蔵菩薩と書かれた白旗が階段横に立ち並び風にはためいている。寺院としての山号寺号は明鏡山円満院星井寺(きょうかいさんせいせんじ)で、成就院(真言宗大覚寺派)が境外仏として虚空蔵菩薩を管理されているお堂で、本尊は奈良時代の高僧行基が自ら彫って祀ったと伝えられ、歴史ある寺である。

 明けの明星は虚空蔵菩薩の化身・象徴で、明王天子、大明星天皇ともいう。虚空堂、御本尊の虚空蔵菩薩の「虚空」とは無限の知恵と慈悲の心が収まっている蔵を意味する。御真言「のうぼうあきゃしゃきゃらばやおんありきゃまりぼりそあか」を唱えることで、頭脳明晰になるといわれる。また、虚空堂菩薩は十三参りの仏様であり、数え年十三歳を迎えた男女が、よくここまで育ちましたと、また親は良くここまで育てましたと神仏にお礼、感謝と労いを司る行事として行われている。古来、子供が十三歳まで育つ事が少なく、この歳を過ぎると大人として生きていかなければならないため、虚空堂菩薩に多くの知恵を授かるのである。一般に十三参りは数え年十三歳になる三月~四月頃に行われる。

 

 京都では嵐山中腹に法輪寺が有り、本尊の虚空菩薩が有名である。渡月橋を見渡せる風光明媚な場所であり、ここでも十三参りが有名で、京都中から、その時期多くの子女が訪れる。漢字一文字を書き奉納し、知恵を授かるという。また面白い事に、帰りに渡月橋を渡る間、振りむけば授かった知恵が無くなると言われ、親は渡り切るまで振り向かせようと、色々と声をかける。振り返れば再び法輪寺に行って知恵を授からなければならない。京都人特有の風習である。

 丑・虎年生まれの方の守り本尊で、鎌倉時代に、源頼朝の命により秘仏として三十五年に一度御開帳されていた。現在は十三日日がご縁日で毎年一月、五月、九月の十三日に開帳され、護摩焚き法要が午前十一時と午後二時に行われ、お参りする事が出来る。鎌倉十三仏霊場十三番番札所(朱印は成就院にて)でもある。また、境内には舟守地蔵が安置されている。

 

 一月十三日、御開帳日に合わせ虚空蔵堂に参った。成人式の日の為か鎌倉街道はすごい渋滞で虚空蔵堂に着いたのが供養開始時間の十分前であった。小さなお堂内、外にも参拝者は多く二百人を超えていた。「佛前供養勤行集」を唱え、成就院の御住職が講和をされ、虚空蔵蔵菩薩に順に参拝した。虚空蔵菩薩は一メートルほどで、金色に輝き、丸みを帯びた体系の像で私の思っていた虚空蔵菩薩の像とは少し違っていたが、それはそれで拝観させて頂いた事が有りがたかっ
た。横には観音菩薩像が安置されていた。一時間ほどの御供養であったが、自分自身が少しでも人の役に立てればと思い起こす時間であった。