日蓮上人辻説法の碑
建長六年(1254)に鎌倉に入った日蓮上人は松葉ヶ谷に草庵をむすび、小町大路を中心に辻説法を行った。小町二にある、日蓮上人辻説法跡は日蓮宗信者、田中智学が整備したものであるが、研究によると実際説法を行ったのは、蛭子神社辺りとされる。大町の本興寺も日蓮が辻説法を行ったとされ「日蓮辻説法の碑が建てられ、「辻の本興寺」とも呼ばれている。
宗派:日蓮宗。 山号寺号:法華山本興寺。 創建:延元元年(1336)。開山:日什上人。 開基:天目上人。 本尊:三方本尊。 寺宝:木造三方本尊像、木造日蓮上人像など。
日蓮はこの場所で熱心に法華経の布教活動を始め、他宗を「念仏無間・禅天魔・真言亡国・律国賊」として激しく批判した。やがて文応元年(1260)立正安国論を書き上げる。
本興寺が建立されたのは日蓮死後、延元元年(1336)、日蓮門弟「九老僧」の一人、天目上人が休息山本興寺を建立した。永徳二年(1382)、もと、天台宗の僧であった日什(顕本法華宗「日什門流」の派祖)が六十を過ぎ日蓮の著作に触れて改宗した。本覚寺二世となり、法華山と山号を改めた。天正十九年(1336)に徳川家康が寺領を寄進したが、二十七世日徑が不受布施を説いた為に刑に処され(慶長の法難)、寺院は廃寺となった。寛文十年(1670)、日比谷妙本寺歴代照幡院日逞が日蓮辻説法の旧地の衰退を嘆き、徳川幕府に寺門の復興を願い、寺領の寄付を受け、現在の辻の旧地に本興寺を再興した。妙本寺末寺として現在に至っている。
材木座二の長勝寺、大町の安国論寺、妙法寺、常栄寺、本覚寺、妙本寺に至る道沿いに大小の日蓮宗の寺院が並ぶ。鎌倉では臨済宗に次いで日蓮宗の寺院が多く、ガイドブックをもって日蓮宗の寺院を訪ねるのも面白いと思う。私は大寳寺から歩き、車道は好きでないので民家の間を抜けて本興寺に来た。裏の墓地から入り、朱塗りの山門の所に行き、見渡し、境内には大きな百日紅の木が目立ち、夏にはきれいな花を咲かせるだろうと思った。本堂に行き、お賽銭を入れ、手を合わせて自身の病気の事と家族の健康を祈った。
再び、朱塗りの山門の所に戻り、由比若宮に行こうとしたところ、 こうして歩いていると、とんでもない希少なものに出会う。すぐ前に小さなお堂の辻薬師があった。
本興寺(ほんこうじ) 鎌倉市大町2-5-22 ☏0467822)2721 拝観時間は昼間開門時可能。拝観無料。鎌倉駅東口より徒歩十五分。