季節の移り変わりは早いもので、二十四節気も秋を示す最後の節気、霜降が今年は十月二十四日から始まる。霜降とは霜が初めて下りる頃の事を言う。朝夕に冷え込みを感じ、はじめは山の方から下りだし、十二月に入ると平地でも霜が降りだす。急に冷え込み、霜が降りると農作物には大敵である。身体も急に冷え込み季節が移り替わるため、足元から冷えないように気を付ける頃である。
初候は二十四日から始まり、「霜初めて降る」である。虫が隠れて戸をふさぎ、土の中へ巣ごもりの支度を始める。鎌倉でも一週間前までは、夜に虫の音を聞きながら机に向かい資料を整理していた。もう今は聞こえない。
次候は二十九日から始まり、「霎時施す(しぐれときどきほどこす)」である。時雨が降るようになり、晩秋から初冬にかけての空模様。「旅人と我が名を呼ばれん初しぐれ」と芭蕉が読んでいる。
末候は十一月三日から始まり「楓蔦黄なり(もみじつたきなり)」である。秋の山が紅葉するようすを山粧う(やまよそおう)と言う。紅葉や蔦が色づくころで、草木が黄色や紅に染まることを、もみついたのが語源らしい。鎌倉の紅葉は十二月に始まり、師走のごとく一月で落ち葉となる。その時は二階堂の紅葉ヶ谷、獅子舞を歩いてみたいものだ。
旬の草花は紫式部、紅葉。旬の野菜はホウキギ(畑のキャビア)、山芋、さつまいも。旬の魚はほっけ、きんき、かわはぎである。他にも実りの秋で沢山ある。先週、大阪に戻り、何時も行く奈良の「かえる庵」さんで、露下蕎麦の新そばを食べた。旬の食べ物をいただけることが本当に幸せを感じる今日この頃である。
この節気の間に鶴岡八幡宮の白旗神社で文墨祭が二十八日に行われる。三代将軍で歌人とも知られた源実朝の文徳を偲び歌会などが催される。この季節の移り変わりと彩をこの鎌倉で、しっかりと感じ取りたいものだ。