私の住居から湘南モノレールを利用すると、湘南江の島まで、十五分ほどで行く事が出来る。以前一度、来たことがあるが久しぶりに行くことにした。湘南江の島駅から江ノ電江ノ島駅を過ぎ、海に向かって町の中を行くと江の島に続く弁天橋が見える。この橋を渡ると江の島に着く。以前来たときは十一月だったと思う。キャンドルが始まる日だった。
残暑の厳しい中、橋を渡るまでにもうバテテしまった。片瀬西・小沼海水浴場は台風が過ぎ、波も穏やかになり賑わっていた。私も先日の由比ガ浜の海水浴で火傷状態になった足も、ほぼ治りつつあった。しかし、今年の夏は後わずか、海水浴はまた来年と思いつつ橋を渡った。平日の為、若干観光客は少ないが、それでも賑わっている。もうここからテーマパークの様相である。「弁財天仲見世通り」が江の島神社の参道になっており、タコ煎餅、蒲鉾、ビールとしらす丼が目の前によぎるが、「我慢、我慢」と心で呟きながら、エスカーに乗る。エスカーは全長百六メートル、高低差四十六メートルを四分でつなぐ屋外型エスカレーターである。エスカー一区間目が、江の島神社辺津宮で、ここで参拝する。
江の島神社は、辺津宮、中津宮、奥津宮からなる神社である。江の島神社は伝承、文献灯は古くからあり、六世紀半ばの在位していた欽明天皇の時代からと言われる。源頼朝が僧文覚に促され挙兵するが、養和二年(1182)に文覚がが、この江の島で弁財天を勧請し、秘法の行を行い、頼朝と家臣らが臨席したと言われる。奥州の藤原秀衡を調伏させるのが主な目的であったらしい。辺津宮のお堂には日本三弁財天の一つ「裸弁財天・妙御弁財天」が祀られている。また縁結びのパワースポットとして知られており、女性に人気がある。また、こちらで結婚式を挙げられる方も多い。
エスカー二区を降りたところに朱塗りの美しい社殿である、中津宮がある。エスカー三区を降りると「サムエル・コッキング苑」に着く、植物園になっており、湘南のシンボルの「江の島シー・キャンドル(展望灯台)」がある。奥津の宮までしらす丼は我慢しようと思っていたが、暑さに負け今回は海花亭さんでビールと海鮮丼をいただいた。まだ海が荒れているため朝の漁が無かったので、しらす丼がないとの事。鎌倉市方面の稲村ケ崎を遠くに眺めビールで喉を潤し、一休みできた。その後、奥津の宮へと足を進める。奥津の宮への間に江の島を二分する山の間を「山二つ」と呼ばれる展望場所があり、そこから見る二つの山の間に見える海は絶景である。
奥津の宮拝殿の天井には「八方睨みの亀」や源頼朝寄進の「石鳥居」などがあり品格のある社殿になっている。隣に「竜宮(わだつみのみや)」があり、岩や本宮の真上にあたる場所に建てられている。竜宮祭神をお祭りされている。道を進み、以前しらす丼を食べた富士見亭さんを過ぎ、十分ほど進むと「江の島岩屋」があり波の浸食で自然にできた海食洞靴になっている。弘法大師も日蓮聖人もここで修業されたという。蝋燭の灯かりを頼りに第一岩屋と第二岩屋を歩く。薄暗い空間が広がり温度も下がるため心地よい。強力なパワースポットで富士山にも通じていると言われる。また、竜神伝説の地ともいわれている。北条時政が参龍した際に美女に身を扮した竜神が現れ、時政の願い「子孫繁栄」を聞き届けたと言い。三枚の鱗を残した。それから北条家の紋所は「三鱗」になったという。武家の信仰も篤い。
稚児ヶ淵の夕日「かながわの景勝五十選」に選ばれており十一月から二月にかけては空気が澄み渡り、打ち寄せる波の向こうに夕日が輝きを見せてくれる。日により富士山も見る事が出来る。ただし、夕日が沈む前には足場が危険なので稚児ヶ淵の岩場を立ち去りましょう。植物園内の江の島展望台「江の島シーキャンドル」でも、美しい夕日が見る事が出来る。そのまま来た道を逆にたどり帰えることもできるが、稚児ヶ淵から弁天丸に乗り江の島入り口近くの乗り場まで行ける。今日は暑さで疲れたので、十分ほどの船での帰りを楽しんだ。
船から見る富士山も最高だが、夏場で見る確率は少ない。十一月から二月ぐらいの空気が澄んだ頃がよく見えるらしい。今日は、さすがに暑さと、久しぶりの長い時間歩いたせいで疲れた。帰り道で干物を買い、夜に冷酒で一杯飲むことを考えながら帰路に就いた。