鎌倉散策 光照寺 | 鎌倉歳時記

鎌倉歳時記

定年後、大好きな鎌倉での生活に憧れ、移住計画や、その後の鎌倉での生活の日々を語ろうと思います。家族を大阪に置き、一人生活を鎌倉の歳時記を通し、趣味の歴史や寺社仏閣等を綴っていきす。

 北鎌倉はどうしても駅よりも南側に観光客が集中する。少し趣を変え、季節に応じ、光照寺を訪ねてみるのもよいかと思う。北鎌倉から大船川に行き、二つ目の信号を左に折れ、宮の台橋を渡ると光照寺がある。通称「シャクナゲ寺」で有名である。本山は藤沢に清浄光寺(遊行寺)で、一遍上人が鎌倉入りする際の法難霊場である。八代執権北条時宗の警護の武士に鎌倉入りを阻まれ、野宿した地に建立されたと言われる(一遍上人絵巻:鎌倉入りの図)。また、通称「シャクナゲ寺」で有名であり、隠れキリシタンを受け入れた寺として伝承も残されている。

 

光照寺  宗派、時宗遊行寺派。  山号寺号、西台山英月院光照寺。  創建、不詳。

開山、一向俊聖上人(いっこうしゅんしょうしょうにん)。  本尊、阿弥陀三尊。

寺宝、本尊(市文)、もと東渓院所有の木造釈迦如来坐像、他木製薬師如来像、木造地蔵菩薩立像、

木造一向俊聖上人立像、安山岩性板碑等。

 

 石段の上にある山門は、中川藩江戸屋敷の菩提寺東渓院の門であった。東渓院が廃止されて現在の光照寺に移築され、篤志家により新築された。長押(なげし)にはクルス紋(キリスト教十字架の紋)が彫られており、全国的にも珍しい山門である。また、安政六年(1859)に建立された本堂には隠れキリシタンの燭台が二基置かれている。山門脇には、江戸時代から信仰されてきた子育て地蔵と、向かいに月参りをすると子供の咳が治るという御利益のある咳の神様「おしゃぶき」という石の祠がある。寺宝の板碑は、正中二年(1325)の銘がある卒塔婆で、安山岩でできている(市指定文化財)。

 小さな寺院であるが、境内にはシャクナゲ、ハギ、レンギョウ、ユキヤナギなどの花が咲き、四季折々の花を楽しめさせてくれる隠れた花の名所の寺院である。その日は梅雨の曇天の中、鬼百合が見事に咲いていた。帰り道、住宅街の個性豊かな家々を北に向かい、稲荷神社、神明神社を過ぎ、おおよそ十五分ほどで山崎の住居にたどり着いた。