ローマ・コローナ美術館に入ったすぐの所にあった絵画です。どこか(絵画集など)で見た絵だと思いました。後で絵画集を見直してみると,同じような絵は,ティツィアーノ「ヴィーナスとオルガン奏者」やティントレット「ヴィーナス,マルスとヴルカヌス」でした。これらの画風は当時の流行だったようです。前者はヴィーナスとキューピッドがいてBGMのようにオルガン奏者が描かれているそうで,ヴィーナスとオルガン奏者とは関係がないらしいです。後者はヴィーナスがマルスと楽しんでいるところに年老いた夫が帰ってきてマルスが隠れているという面白い情景が書かれているのだそうです。そんな修羅場でキューピッドはすやすやと寝ています。

 私がコローナ美術館で観た「ヴィーナス,キューピッドとサテュロス」は,ヴィーナスとキューピッドがくつろいでいるところを,半人半獣のサテュロスがのぞき見しているところだそうです。画角から,この絵を観ている自分とサテュロスは同類だともいえるそうです。なお,絵の前に肖像が2つ飾られていて,完全な絵は撮影できませんでした。

 「落語から歌舞伎,能狂言そして人形浄瑠璃」のところで述べたように,これら4種の古典芸能はお互いに影響を及ぼしあっています。そこで人形浄瑠璃を実際に観てみたいと思いました。人形浄瑠璃は落語や歌舞伎と異なって,現在定所での公演はありません。今回,アメリカ5都市での公演を終えて凱旋公演と称してよみうり大手町ホールで開催されました。アメリカでの公演は荷物を減らすため,べニアで作った背景を用いず,プロジェクションを用いたそうです。今回もその手法が使われました。よみうり大手町ホールは私が前回「ウォーブライド」を鑑賞した会場です。同じように,開場時刻まで下の階で待つ必要がありました。

 

 演目は八百屋お七もの(伊達娘恋緋鹿子)と曽根崎心中で,人形浄瑠璃そのものと,義太夫節の解説とからなっていました。解説では太棹の三味線の糸(弦)は絹糸からできていて,どんどん伸びるので,演奏中に調整が必要なこと,1回の公演で交換が必要なことなどがありました。八百屋お七では,雪降りしきる中,火の見やぐらに登るシーンでした。登るときは人形遣いが見えませんでした。火の見櫓の裏から操るという技法だそうです。この公演は10分ほどですぐ休憩に入ってしまいました。そして休憩時間は20分もあったのです。解説者の説明によると,“雪”を片付けるのにそんなに時間を要するとのことでした。曽根崎心中の方を先にやればよいのにと思いました。

 人形の動きは大変に綿密で,実際の人が動いているかのように見えるほどでした。人形が小さいので,よみうり大手町ホールのような大きなところと言うより,小学校の教室くらいのスケールが良いのではないかと感じました。しかし,実際には国立劇場などでやられていたとのことですが,私の感覚は違っているのでしょうか。

(Chat GPTによる)

 久しぶりに東洋館の漫才を見ようと浅草に出かけました。「まずは昼食」と店を探していると,浅草リトルシアターのパンフレットをもらいました。以前に入ったことがありますが,まだまだこれからという人たちが多いところです。彼らの応援するため,たまには入ってみようと思っていた所でした。劇場の周りにはパンフレットを配っている人たちがいました。配っている人たちも芸人さんでした。パンフレットには,芸人さんのイラストがずらり並んでいます。受け取ったパンフレットには一組の芸人さんのイラストの所に丸印が付いていました。入場券を購入するところで,係が丸印のついている芸人さんのイラストを見つけて,リストに書き入れていました。配っている人が自分の所に丸印をつけていて,そのパンフレットを持って入場した場合,その芸人さんのポイントになるらしいです。芸人さんたちのネタの中に,「やたらと注文を付ける観客がいた」というのがありました。私も「こうしたらもっとよくなるのにな」と思うことがいくつもありました。しかし彼らにとっては余計なお世話なんでしょうね。

 私が歌舞伎をよく観るようになったのは落語の影響です。落語で歌舞伎役者の噺としては,「淀五郎」,「中村仲蔵」などがあります。歌舞伎の世襲制が嫌いなのは,これらの演目に影響を受けています。落語と歌舞伎で共通の演目としては,いろいろありますが「文七元結」に強い印象を持っています。歌舞伎の中で嫌いなのは(大人の)女性が出演できないという約束事です。ただ,この演目で初めて大人の女性,寺島しのぶが出たのを観ました。

 歌舞伎を観ていると,背後に鏡板と言って松の絵の板があり,揚幕がかけられているものがあります。これは能狂言の演目を歌舞伎に置き換えたものです。能狂言と歌舞伎も深い関係があることがわかります。これまで観た歌舞伎では,「鵜の殿様」,「土蜘蛛」,「身替座禅」などがそうです。そういうわけで能狂言にも興味を持ちましたが,能狂言はいつでもやっているわけではありません。幸い,越谷市に能舞台があり,ときどき能狂言をやっているので観ることができました。

 前に紹介した,「菅原伝授手習鑑」は人形浄瑠璃の演目でもあることを知りました。解説によると,歌舞伎と人形浄瑠璃は深い関係があり,共通の演目もたくさんあるらしいです。これまで観たことのある,「義経千本桜」もその一つだとのことです。そのため,人形浄瑠璃を観てみたいと思いました。しかし,これも常時公演されているわけではないことを知りました。ネットでようやく探すことができ,チケットを手に入れました。

(Chat GPTで描かせましたが,浄瑠璃っぽくないですね。ちなみに,Chat GPTに訊くと,著作権はないので自由に使えるとのこと。――まぎらワシ「ネット上の広告に関する意⾒は、どこにすればいいんじゃ?」 コダイ「それも ネットで検索してみるか」――)

 この話の最初の部分は看板に書かれた通りです。その後,菅丞相は天皇に呼び出されます。「義理の娘を天皇の弟と結び付け,天皇をすげ替え,朝廷を自分の意のままにしようとする悪だくみがある」と罪を擦り付けられます。政敵時平の陰謀だったのです。筆法伝授を受けた源蔵が抵抗します。家断絶にならないよう,菅丞相の子供を救い出します。

 丞相という身分は,三国志・秘密の皇帝で知りました。三国志では曹操を丞相に任ずる場面がありました。丞相は今の首相に相当する身分だそうです。日本の朝廷のシステムは中国の朝廷の制度を見習ったものだと感じさせられました。

 また,装束についても不思議なことがありました。平安時代の出来事なのに,源蔵は裃(かみしも)を着けているのです。これは,歌舞伎が定着した江戸時代の衣装が用いられていたということのようです。この他にも,インド政府の後援による「マハーバーラタ戦記」でも,インドなのに日本の装束で行われたことを思い出しました。

 あらすじは,写真の通りです。看板の絵は室内ぽく見えますが,実際の舞台は,タイトル通り土手前の広場でした。天皇の弟と,菅原道真の養女の恋仲が,「現天皇を引き下ろし,弟を天皇に据えて,娘を皇后に仕立てるたくらみだ」と道真の政敵の言いがかりのネタにされてしまいます。その発端がこの幕です。皆が参拝に行っている最中に密会したのがまずかったので,もっとうまく行く方法はなかったかと思いました。

 これが終わって次までの幕間に「やぐら」で買った弁当を食べました。幕見では,幕ごとに会場から出て,入りなおす必要があります。前の幕を見た人たちが全員退場し,一応席を整えてから,再入場します。この間,列に並んで待ちます。次の幕だけ見る人たちがすでに列に並んでいるのでその後ろになってしまいます。幕間は20分でした。食べる時間は,20分からこれらの時間が惹かれてしまいます。おいしい「やぐら」の弁当でしたが,味わって食べる時間がありませんでした。そういいうことなら地下の売り場にあるコンビニでおにぎり程度にしておいた方が良かったかとも思います。

 歌舞伎座の地下にある店の片隅にこの弁当屋,やぐらがあります。おいしいです。ちょっと高めになりますが,この興行期間にちなんだ弁当が好きです。歌舞伎はたいてい11:00頃に始まり,それが終了してから次の幕の間が昼食時間となります。多くの人が,10:30くらいにここで昼食の弁当を購入します。購入客が多く,すごい列になっています。以前に幕見席を通しで取り,1幕目が終わった時にその弁当を買えばよいかと思いましたが,売れきれでした。

 それなのに,この日は写真のようにガラガラでした。この日は貸し切りで,一般客は幕見席しか入れませんでした。貸し切り客には弁当が支給されるので,ここで買う必要がないからです。この日はあまり売れないのはわかっているのでどの程度の量を準備していたのでしょうか。

 9月8日に時間がとれ,歌舞伎を観に行くことにしました。しかし,この日は貸し切りでした。中央区の敬老大会とのことでした。知人で国籍をアメリカに変えた人が現在中央区に住んでいます。彼が,「たまに歌舞伎を区に招待されて観に行く」と言っていたのはこの企画だったのだと思いました。

貸し切り日ということであきらめかけていましたが,幕見席は一般が入れるということがわかり,前日の正午に予約を取るためWebに入りました。幕見席は外国人に人気があり,すぐにいっぱいになってしまいます。そこで,正午ちょうどに予約を始めました。1つの幕の予約が完了し,2つ目の予約をとろうとしたら,「すでに満杯」とのメッセージが出てしまいました。あまりにも早い満杯です。貸し切り日で,幕見席しか一般はとれないのですぐ満杯になってしまったのかとがっかりしていました。しかし,数時間後に,もう一度見るとまた予約が取れるようになっていて,空席もありました。どうやらシステムが一時的におかしくなったようです。

 幕見席は予約開始時刻になるとどんどんうまっていくので,人気番組について隣同士の席をとるのはちょっと難しいです。それにしても外国人観光客の多くのカップルで隣席同士で座っています。考えたら方法があります。彼らもそうしているのでしょう。隣席にしたい者同士が同時にスマホを操作して,互いに打合せしながら席をとるのです。ほぼ同時にとるので隣席を他の人に取られるリスクがずっと減ります。それでもうまく行かなかったカップルを知っています。彼らの間に私が入ってしまったのです。その時は,席の交代を申し出ましたが辞退されてしまいました(以前のブログで書いた覚えがあります)。

 いつもあまりマンネリ感を感じさせないコンビです。金魚さん(写真右)は頭の上に手製の何かを載せてきます。今回は住吉踊りのパンフレットのようなもので,紙切りの林家八楽さんに切ってもらったものを付けてきたと言っていました。金魚さんの得意はゴリラの真似です。「そんな恥ずかしいかっこよくできるね」「仕事ですから」が落ちになります。そのゴリラにちなんで,バナナの差し入れが何人かからありました。これまでこのコンビの漫才は何度も見ていますが,バナナの差し入れは初めて見ました。しかし金魚さんはそれを食べたりして,「仕事中に食べるな」などというやり取りもありました。即興なのでしょうか。それとも最近始まったギャグなんでしょうか。これから毎回バナナの差し入れがありそうでした。

 前座さんに引き続き二ツ目のあら馬さんの高座でした。例によって肝臓移植の体験談が枕でした。弟さんの肝臓をもらったというのは,初めて知りました(あら馬さんの高座はまだ2度目です)。演目は猫の茶碗でした。枕でも落語でも大きな動作を伴い,楽しんで聞くことができました。住吉踊りにも出演しました。動きがつやっぽくて上手でした。