8月中席は大喜利として,芸人さんのおどり「納涼住吉踊り」があります。8月上席の「にゅーおいらんず」に引き続き,楽しめる企画です。にゅーおいらんずの時は写真を撮る機会はいただけませんでしたが,今回は最後に写真を撮る機会をいただけました。この日の噺家さんが,「人(リーダー?)によっては撮影を許してもらえることもある」と言っていました。幸いこの日は撮影がOKになり,観客は皆カメラを構えました。「右の方,中央の方,左の方,2階右の方・・・」といろいろな方向を向いて,ポーズをとってくれました。

 住吉踊りは,落語協会と落語芸術協会の合同で行われるのだそうです。写真でのメンバーが多いことからもそれがわかります。この日は10:30という早い時間から始まり,一人当たりの持ち時間も短かったように思えます。踊りは皆さん,一生懸命にやってくれました。楽しいひと時を過ごすことができました。

 鯉昇さんの粗忽の釘はちょっとアレンジしたところがあります。元々はほうきをかけるための釘を打って隣のうちまで打ち貫いてしまうのですが,鯉昇さんのは,ロザリオをかけるための釘を打つという所です。落ちは,「阿弥陀様はクリスチャンか」となります。元々の,「これから毎日ほうきをここまでかけに来なければならない」とはちょっと違いました。鯉昇さんは私が最も好きな噺家さんの一人です。

 40代の真打です。高座では本当に笑わせていただきました。多くの噺家さんの場合,「うーん」と納得するけれど,げらげらと笑うのは多くありません。お若い(相対的に)ので,体の動きも活発です。おいらんずの演奏では,他の人の数倍体を動かしていました。お若いと言っても40代後半です(落語界では若手なんですね)。疲れたのではないでしょうか。

 

 1年に一度10日間,寄席芸人さんたちの素人ジャズバンド,にゅーおいらんずの公演があります。お目当ての人がたくさん来てていて大賑わいです。隣席の人は知らないで入ったそうで,「ラッキーでしたね」と伝えました。去年と同じメンバーでした。噺家さん,色物の小すみさん,プロの方2人と,事務局の人1人が加わったメンバーでした。事務局の人はいつも苦虫をかじったような顔をしていました。これで特徴を出しているのでしょう。例年は写真のような浴衣姿で演奏を行っていますが,今年は吊りバンドの洋装でした。吊りバンドは地方の百均で買ったとのことでした。今年が浴衣姿ではなかったのは,浅草演芸ホールの浴衣が更新途中で使えなかったからだそうです。にゅーおいらんずはやはり浴衣姿が良いです。

 コロナが収まってから,演芸ホールでは,いろいろな制限事項が解除されてきました。飲み物,食べ物を持ち込み飲食することはOKになりました。ただ,開幕直前に酒類についての注意事項がアナウンスされます。「酒類の持ち込みが発覚した時は,退場していただく場合があります」とのことです。酒類の持ち込みは禁止なのです。しかし舞台の幕は酒造メーカーさんの提供なのです。提供会社さんの製品は持ち込み禁止というのが変な対比でおかしく感じました。

 日にちが前後してしまいましたが,歌舞伎座を観に行った前日,浅草演芸ホールで寄席を聴きに行きました。夏は楽しい特別企画がいくつもあるのです。前回,アロハマンダラーズを観に行ってきた話をしました。今回はにゅーおいらんずの演奏です。落語の噺によく出てくる花魁(おいらん)とジャズのメッカのニューオリンズをかけあわせてにゅーおいらんずというグループを寄席仲間で結成しているのです。そして,夏に大喜利として観客を楽しませてくれるのです。わずか10日間の興行なので見逃さないようにしなければなりません。翌日に歌舞伎座を予約してあるので連日の舞台鑑賞となってしまいました。

 猩々に引き続き松本幸四郎,中村勘九郎が団子売りの夫婦として登場します。二人は橋の手前で餅をついて団子を売ります。そのしぐさを踊りで表現するものでした。橋は絵でしたが,立体感があり,そのまま奥の方に向かうと橋を渡れそうにも見えました。私は,歌舞伎の世襲と女形は嫌いですが,夫婦の奥さんは中村勘九郎が演じていました。奥さんが大女に見え,どうしても不自然に感じてしまいます。見慣れた人の演技なので,顔つきも女の人には見えません。歌舞伎ではこれまで一度だけ大人の女性である寺島しのぶさんが出ましたが,もっとどんどん増やしてもらいたいものです。

 調べると猩々は真っ赤な顔の福神とのことでした。酒が好きでいくらでも飲めるらしいです。酒がなくなることのない酒樽を酒売りに授けます。不思議だったのは,真っ赤な顔のはずの猩々でしたが,白塗りの松本幸四郎,中村勘九郎が現れました。歌舞伎では赤塗りの顔の登場人物は悪人です。この伝統の約束事が優先されたようです。また酒売りというと,男を想像してしまいますが,女形が演じていました。イヤホンガイドでもこれについての説明は聞けませんでした。

 幕が開く前,所作舞台が敷かれました。次は舞踏であるとわかります。足拍子の音,いかにも歌舞伎らしいです。所作舞台は,足拍子の音を響かせる役割だけでなく,足が床板に引っかからず滑らかに踊るためのものという意味合いも大きいらしいです。私は俳優にはあまり興味がないので,大看板の2人が踊っていましたが,後ろの義太夫やお囃子も楽しみました。

 今回の歌舞伎座の最初の演目はこれでした。歌舞伎座ホームページの“みどころ”の欄を見ると,「旗本奴と町奴の対立」と書かれていました。奴は「奴さんはつらいね♪」の“やっこ”だと思っていたので旗本奴は旗本の奉公人の方かと思ってみていました。しかし,ここでの旗本奴は旗本の青年武士であって,舞台最初に出てきた奉公人ではないことがわかりました。

 話は落語に似ているところがあり,やはり歌舞伎と落語は密接な関係があると感じました。事情は落語「ねずみ」に似ているところがありました。お店の番頭が悪女と結託してのっとってしまっているところが一つです。「対抗して店を出そう」というのもそうです。落語では悪女の名前は「お熊」もしくは「お駒」ですが,この歌舞伎でもお駒でした。

 旗本奴と町奴が張り合って,町奴が屈辱を味わうが,最後にはめでたしめでたしとなりました。

 映画「国宝」の大ヒットで歌舞伎人気が高まり,満席が続いているという噂を聞きました。この日の前の週にこの日に歌舞伎座に行けることがわかり,席の予約サイトに行ってみました。歌舞伎人気が盛り上がっているという話のわりに桟敷席にも空きがありました。これまでは,次週に行ける日があることがわかり,予約サイトに行くといつも満席でした。そういうときは前日正午から予約できる幕見席の予約をとります(すでに書いた通り,幕見席も正午に慌てて取らないととれませんでした)。桟敷席は,二人席が並んでいます。予約に行ったときは,二人席の一方の空いているところが3つくらい,2席が空いているところが1か所ありました。2席空いているところはペアで予約を取りたい人のため取らず,一方の空いている席を予約しました。

 

 当日席に行ってみると,予約の際わかっていた通り,隣にはすでに人が入っていました。和服のいかにも通(つう)そうな人でした。「予約の際2つ空いている席もありましたが,ペアで予約したい人がいるかもしないので,お隣をとらせていただきました」と断りを入れると気さくそうに,「かまいません。これからそちらの席もいっぱいになるでしょう」と応えてくれました。しかし,実際にはペアで空いている席は最後まで空き席でした。