ベース接地型発振回路の実験 (7)コイルのインダクタンスは線材の長さで決まる | 技術日誌

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ここでは,電子工作,木工などの趣味での記録を書いています。
なお当初はKMK研究所のメインテーマであるSPSのノウハウを書いてきましたが,順次SPSノウハウのページに複製を作っていきます。

 発振周波数を下げるため,巻き数を増やしてインダクタンスを大きなコイルを作製しました。巻きやすくするため,見当をつけて線材を切り出しました。そして,コイルにしてインダクタンスを測定してみました。残念ながら目的のインダクタンスに足りませんでした。コイルの幅は狭いほどインダクタンスは高くなりますが,線の太さからこれ以上狭くできません。それでは,径を小さくして巻き数を増やしたらどうかとか,径を大きくしたらどうかと検討していましたが,切り出した線材を用いる限り,インダクタンスはほとんど変わりませんでした。経験上,径を大きくするとインダクタンスが上がりますが,同じ長さの線材を用いる限り巻き数が少なくなってしまいます。巻き数を増やすには径を小さくしなければなりません。

 

 巻いたコイルのインダクタンスLは下の式で与えられます。kは長岡係数,μはコアの透磁率,Sはコイルの断面積,Nは巻き数,xはコイルの巻き幅です。

 

 線材の長さをℓとし,巻き数をNとすると,コイルの断面積が決まります。それを代入すると下式のようになりました。式からコイルの断面積も巻き数も消えて,関係するのは線材の長さのみとなりました。すなわち,線材の長さを決めたら,巻き幅が同じ限り,インダクタンスは決まってしまうということです。インダクタンスを上げるには線材を切り出し直さなければならないことがわかりました。この式から,インダクタンスをa倍にするには切り出し直す線材の長さは√a倍にすればよいことがわかります。