ヤスリによる抵抗器の調整
前に温度センサーはばらつきがあり,実測した値で回路定数を計算すべきと述べました。再計算した結果2.35 kΩが必要になりました。手持ちの抵抗器の中からばらつきで目的の抵抗値のものはないか探しましたが,ピタリとしたものはありませんでした。
昔,電子工作の雑誌で,カーボン皮膜抵抗の一部をヤスリで削ることにより抵抗値を調整する方法を見たことがあります。今回はこの方法で,目的の抵抗値を得たいと思います。カーボン被膜は塗装の下にらせん状に形成されています。塗装の表面にそのらせんの形が浮き出て見えますので,それに平行にダイヤモンドヤスリで削りました。
用いた抵抗器の初期値は1.953 kΩでした。削れば抵抗値が増加するので,この抵抗器を用いました。
抵抗値を見ながらヤスリで一部を削っていきました。削りが塗料の層を越えカーボン被膜層に届くと抵抗値が次第に大きくなっていきました。そして,目的の2.35 kΩになったところで削るのを終わりにしました。これで目的の抵抗器が得られました。
なお,この方法では,抵抗器のワット数(発熱の許容量)が下がります。しかし,今回の回路でのこの抵抗器の発熱量は1 mW程度なので問題がありません。
削ったままではカーボン被膜が露出しているので空気の湿気の影響を受けやすいです。そこで,削った部分にはマニキュアを塗っておきました。