電気二重層キャパシタ溶接機の充電装置の製作記録(48): キャパシタ接続端子の考察  | 技術日誌

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ここでは,電子工作,木工などの趣味での記録を書いています。
なお当初はKMK研究所のメインテーマであるSPSのノウハウを書いてきましたが,順次SPSノウハウのページに複製を作っていきます。

 キャパシタに流す電流が大きいので,キャパシタと端子の間の接触抵抗が問題になる恐れがあります。接触抵抗により,リミッタが検出する電圧が高めに出,目的の電圧に達する前に充電を終了してしまいます。そこで,キャパシタから引き出す電線と端子との間の接触抵抗を測定してみました。接触抵抗はテスタのオームレンジでは測ることができません。テスタの性能の問題ではありません。テスタ棒と測るものとの接触抵抗より,測るものの抵抗値の方が小さい場合がだめです。つまり,テスタ棒と測るものとの間の接触抵抗が測定値となってしまうのです。測るには,測る部分に大きな電流を流し,そこに生じる電圧を測定します。そしてオームの法則から抵抗値を求めます。例えば10 A流して,生じる電圧が50 mVだったとすると50/10 = 5 mΩとなります。実際の端子について生じる電圧を測定する構成を下に示します。電流は紫で示したように流れます。接触部は緑で示したところになります。接触部の前後の電圧を青で示したように引き出していることになります。

 測定結果を下の写真に示します。実際の充電電流8.58 Aで85 mV生じています。オームの法則から約10 mΩとなります。プラスの端子とマイナスの端子がありますので,充電時には0.085×2 = 0.17 Vの電圧降下があります。充電の最終電圧は約2.5 Vですからこの値はバカにできません。リミッタが2.5 Vを検出したとき,キャパシタはまだ2.33 Vです。

 そこで,接触抵抗を下げる工夫をしました。下の写真の様にねじ部に穴を開け,キャパシタからのリード線をこの穴に挿して締めます。締める力が集中すると思います。

 この方法で接触抵抗を測定しました。8.6 A流して0.66 mV(0.00066 V)が生じました。接触抵抗による電圧降下は大幅に下がりました。接触抵抗値は約77 µΩです。これなら問題なく使えます。