SPSにより反ったセラミックスフィルムを平らにする  | 技術日誌

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ここでは,電子工作,木工などの趣味での記録を書いています。
なお当初はKMK研究所のメインテーマであるSPSのノウハウを書いてきましたが,順次SPSノウハウのページに複製を作っていきます。

 超急冷などで作ったセラミックスフィルムはわずかに反っている場合があります。このような反ったセラミックスフィルムを平らにするのにSPSを使うアイディアを紹介します。このようなセラミックスフィルムは高温ではある程度変形しやすくなります。したがって,高温で静かに押しつけてやれば平らになるはずです。ただし,高温になる前に押しつけたり,高温になってもぎゅっと押してしまっては割れてしまいます。
 そこで,以下の様な方法を考えました。部品としてはグラファイトのシリンダー(一般にダイと呼ばれますが,私はパンチとシリンダーの一式をダイと呼ぶ様にしています),上下の内部パンチ,上下の外部パンチ(シリンダー形状ですですが,粉体を圧縮するのでパンチと呼ぶことにします),です。これらを下図のようにセットします。上下外部パンチの間の,徐々に焼結して収縮する粉体(これは,パンチの移動速度を決めるのでいろいろな粉体で最適なものを選びます。とりあえずはアルミナ粉体で良いでしょう)を入れます。量は,プレスしたときに上下内部パンチの間に反ったフィルムが入る隙間ができるだけとなります。シリンダーと上下外部パンチの間,および上下外部パンチを上下内部パンチとの間にはカーボンペーパーを入れると,ずれ落ちることもなく安定して使えます。また,徐々に焼結して収縮する粉体の上下,セラミックスフィルムの上下にもカーボンペーパーを入れるとパンチの保護に役立ちます。


 原理は,SPSを始めると,上下外部パンチの中の粉体が焼結を開始し,徐々に上下内部パンチの間隔が狭まり,セラミックスフィルムを高温で押さえることになるというものです。
 また,ここで使用するグラファイト部品はすべて,従来のダイと同じものです。私はSPSメーカーにお願いして種々のサイズのパンチやダイをつくっていただいています。上下外部パンチは,形状からすればシリンダー(ダイ)です。