義務教育の段階で学ぶ算数。
この授業で憶えた”直線や円”ですが、こうした図形は人が編み出した方程式によって定義されています。
こうした図形は、定規のほか、様々な幾何図形としてデザインに活かされています。
二等辺三角形も平行四辺形も円も、人が解き明かしたものだと解釈されているのですが、
実は、人は直線でさえよくわかっていない状況です。
たとえば、直線が直線であると認識しているのは、
「限りなく直線に近い」
と解釈しているからであって、
「これは直線である」
と証明することとは別問題だからです。
現実に、原子レベルで考えていきますと完全なる直線を描くということは限りなく不可能なわけで、
私たちは、「たぶんそうだろう」という曖昧な感覚で物事を見ているに過ぎないということがわかります。
地球自体が丸いのですから、コンプリートな直線はあり得ないのですね。これは円も同じ。
そこで、今も世界中の学者さんたちがこぞって図形の定義を研究しているのですが、こうした研究は
学者さんに任せるとして...
先ず、私たちの思い込みや常識としている観念を一旦ニュートラルな状態にもっていくと、
・肝心の私たちの生活にどのように利活用していけばいいのか。
・社会にあるべきデザインとは
・図形の特性はなに?
・歴史を振り返って事例を探す
こうした課題が自然と生じてくるわけです。
そして、既成学問の引き出しを引っ張り出して勉強していくと、やっぱり何かが足りないことに気がついてくるのです。
それは心・魂といった、メンタル面からのアプローチです。
従来の捉え方では、こうした部分を捉えることはタブーとされてきました。
なぜなら、
メンタル=スピリチュアル=宗教=偏向思考=個々の思想信条
と漠然とした解釈がなされてきたからにほかなりません。近頃は細木和子さんや江原さんといったスピリチュアルな世界の人々が活躍し、市民権を得つつありますが、エンターテイメント的な扱いに思えます。
しかし、私たちは曲がりなりにも科学を基準としてきた現代人です。
現代人らしく、冷静にここで一歩踏みとどまることはとても重要なのです。
「んっ、ちょっと待てよ、昔は科学なんてなかったよなあ」
そういうことです。
科学的アプローチはなくとも、長年の生活によって培われた知恵が生まれ、
敬いの精神が神々という理解を超えた存在に思いを馳せることになったのです。
今も昔も、人は探究心旺盛な生き物。
科学はなくとも
邪鬼退散と、消毒効果のある塩を撒き、
地風水の理によって住環境整備を行い、
神仏に祈りを捧げる。
こうして謙虚なる生活を築いてきました。
改めて歴史を問うと、いろんな知恵が見えてきます。
そして慎重に、極めて慎重に見つめていくと、
科学も人の思いも貪欲に取り込んできた先人の歴史が姿を顕してくるのです。
私たちは、デザイナーの感覚という一元的な手法で提供されるデザインは、いわゆる感性芸術であって、人が長年にわたり触れていく住環境デザインとは別物だという認識を持っています。また、現在の風水理論は現代人の生活にフィットするものに再構築し、現行建築法以上に頑健且つしなやかな躯体構造の住宅が必要だと考えています。
直線や円さえわかっていない私たち現代人。
それでも何かを感じようとするのも、私たち現代人です。