酔って大騒ぎする若者たち | アジアゲストハウス
石垣島から離島に向かうフェリーで、結婚式帰りの若者たちの集団と乗り合わせた。

若者たちはみんな酔っている。
いちおう、船は飲食禁止らしいが、焼酎やビールを片手に大声でカンパーイ!とやっている。

泥酔した若者が三線を取り出し、立ち上がった。

【みなさーん、民謡ショーやってもいいですかー】

誰も反応しなかったが、俺だけワクワクしていた。

若者が三線を弾いて歌い出す。
周りの酔っ払った若者も踊り出す。
船のエンジンが煩すぎて歌はほとんど聞こえなかったが。

乗り合わせてるのが【虫好きの子供達】なので、反応は一切ないんだが。

酔っ払って、フラフラしながら他人の荷物の上に座るし、椅子の上に立ち上がって踊るし、人の荷物の上に焼酎をこぼすし、やりたい放題だったわけだが、本当にみんな楽しそうだった。

いいなあ。

まあ、俺はお酒も飲まんから分からんけど、こういう楽しみって俺は一生ないだろうな。

向かってる離島自体、人口は数百人だから、ここに乗ってる数十人はみんな知り合いだろうし、同級生が久しぶりにみんな集まったみたいな感じかな。

島には何の産業もないから、結婚式でもないと集まる機会なんてないだろうな。

飲食禁止の交通機関の中で三線弾きながら酒盛りして踊り出すとか、迷惑だと感じる人もいるだろうけど、ここではそれがまあ、許される感じなんだなというのが心地よかった。

日本人ってマナーが凄くいい。
でもそれって裏を返すと、他人のマナーの悪さに対する寛容度が非常に低いんだよね。
だから、マナーをよくせざるを得ない。

自分も守るから他人が守らないとムカツク!みたいなね。
ルールとか嫌いな俺からいうと、窮屈だよね。
もっとマナー悪くてもいいから、他人に対してもっと寛容になればいいのにって思う。

例えば、電車で携帯で話してる人に対して大声で怒鳴って注意する人とか見たことない?
これって、どう見ても携帯の声より、その人の怒鳴る声の方が大きいし迷惑なんだけど、正義の看板の前ではそれも正当化されるんだよね。

もっと日本は他人からの迷惑に対して寛容だと暮らしやすいなと思っていたぼくとしては、この船の中の寛容さ。というか、若者たちもこの位なら許されるって思えたんだろうな。
その寛容さの可能性を感じられる場所が日本にもあるってのが嬉しいね。

あんま、同郷の電車で酔っ払いが三線ショーとかせんもんね。
みんな楽しそうに踊ってたな。
あの手の動きとか、体に染み付いてんだろうな。

いい島だ。