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黒歴史の廃棄処理場

かつて、一人の男が作り続けていた黒歴史の墓場。

一部15禁程度の描写があるので、(整理はしたが)閲覧注意。
そうでなくても、公開しているのは黒歴史。帰るなら左上。

それでも、と言う方はごゆっくりどうぞ。

「こう見えて、白兵戦くらいこなせるもんだ。」


左手の杖で地面を突きながら、ラフトは重いローブをなびかせて外へ出る。
レンは金属鎧をがちゃがちゃと鳴らしながら、美しい刀身の曲刀を鞘から抜く。
対して、ラフトが持っているのは歩行補助用らしき杖だけだ。
魔力を練るような禍々しい杖ではなく、T字型の至って普通の杖。
形状が中々に美しい、漆塗りの木製の杖で、多少は手荒に扱っても折れないものではある。


「師匠。そんな杖、斬っちまうぞ。」


しかし、レンがまじまじと杖を眺めている中、ラフトは杖を宙に放り出した。
杖は自由落下を始める前に虚空へと消える。
ラフトは手を振れずにその辺にある木の枝を手繰り寄せると、まるで杖の代わりのように土を突いた。


「あれはとっておき。あんたの稽古くらい、これで十分だ。ほら、掛かって来な。」


ラフトは枝をくるくると回しながら不適に笑う。
当然の如く、レンは抗議した。


「師匠、こっちは真剣を使うんだぞ!そんな枝じゃ、簡単に斬れるぞ!」
「ほう、やってみな?」


おう、と元気よく返事をすると、彼女は性格を表すかのような真っ直ぐな突進でラフトに向かった。
勢いのまま突きを繰り出すも、刀身の横に枝切れが当てられると、真っ直ぐな枝切れでありながら、絡めるように刀身を受け流される。
鉄を打った刀身の頑丈さ故か、加えられた応力で折れることは無かったものの、刀に持っていかれる形でレンは地面に投げられた。


「どうした、こんな枝くらい切ってみろよ?」
「ぐぬぬ、この剣なら斬れると思ったのに・・・!」


回避を想定するように芝生の上を横転し、起き上がりざまにレンは足を薙ぐように刀を振るう。
しかしこれも、横向きの刀身を地面に押さえつけるように、枝の先端が突き立てられることで止められた。


「攻撃魔法も使ってないのに、師匠って強いんだな!」
「攻撃以外の魔法は使ってるんだがな。」
「じゃあそろそろ私を攻撃するんだ!受け流すだけじゃ、稽古になんないぞ!」
「あー?そんなに鳩尾を蹴られたいか?」


言いながら、ラフトは掬い上げるように、つま先でレンの脇腹を蹴り上げる。
宣言したとおり鳩尾に靴が食い込んだらしく、酷く咽ながらレンはよろよろと立ち上がった。
弟子のそんな様子を、ラフトは笑顔で眺める。


「師匠、普通の人間だったら痛いじゃすまないぞ・・・」
「そうだな、痛いじゃなくて苦しいだろうな。」
「私は普通の人より早く動けるはずなのに、全然見えなかったぞ。」
「無駄口を叩いてる余裕があるのか?」
「おう、もう大丈夫だ!行くぞ!」


レンが刀を振り、ラフトが器用に枝で受け流す。魔法使いと弟子は、真剣と枝切れでちゃんばらを繰り返した。
やがてレンの太刀筋に雑な部分が現れてきたところで、ラフトはレンの脛に打ち付けるように枝を振るった。
甲高く心地良い音が響き、慣性の働くままに、レンの脛に切り落とされた枝の先端がぶつかる。
人間のものとも、蜥蜴のものとも、魔物のものともつかない絶叫に、驚いた小動物が草叢から飛び出して逃げていく。


「師匠ぉっ!!」
「あ?俺の所為か?」
「だって、枝が切れるなんて聞いてないぞ!!」
「冗談きついって。こんな枝切れを真剣と打ち合わせて切れない訳ないだろ。」


枝は、先端から数センチ短くなっており、断面には小さいながらも美しい輪が見られた。


「刃で受け止めたのはあんただろ?」
「そこはァッ!師匠が!未知のパワーで何とかするんだろ!」


脛を強く打ちつけ、目に涙を溜めるレン。
骨が折れる、等と言った傷は恐らく無いであろうが、すごく痛そうだ。


「あー・・・まぁ、よく切ったな。いや、よく受け止めたな、か。」
「受け止めたのにすっごく痛かったけどな!」
「次は、もう少し加減の仕方を考えておくか。」
「レベルアップ、だな!」