黒歴史の廃棄処理場

黒歴史の廃棄処理場

かつて、一人の男が作り続けていた黒歴史の墓場。

一部15禁程度の描写があるので、(整理はしたが)閲覧注意。
そうでなくても、公開しているのは黒歴史。帰るなら左上。

それでも、と言う方はごゆっくりどうぞ。

お知らせ

・久々に覗いたので、大幅に整理。作品のみを読みやすく……なってるのかな?

・アウトに近いものも処分した。

・分かると思うが更新停止


シリーズ物   →作品として書き上げるワケではなく更新"していた"もの

SS        →Side Story、所謂二次創作。主に萌え属性等

自作小説    →主題が萌え属性ではない作品
TRPGシナリオ →自分用カンペをそのまま上げた。
ごみ箱      →未完シリーズ。モチベ上がらんかったやつ

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エンドブレイカー!TRPGの創作です。

身内宅でセッションする毎にフィーリングをもらって、こっちで自キャラの設定を深めたくなる。

いつも通り、並行してるヤツの方は筆が進まない。



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中世の面影を感じる街並み。日差しが歩道のレンガを照りつける、昼下がり。
少しだけ人々の賑わいから離れた郊外を、短く切り込んだ髪の男が歩いていた。
この都市の気候は特別寒冷であるわけでもなく、季節も冬ではないのだが、男の服装は厚着と呼べるものだ。
頑丈そうな生地で作られた、体型を隠すようなローブと、ケープのように身に着けた頭巾。
腰部分を紐で止め、そこに安物そうなロザリオが掛けられている。
彼が身に着けているは、修道士と呼ばれる者の服装だった。


男の名はケトルス・ボイル。身形に違わず、彼は信仰と禁欲に生きる修道士だった。
しかし彼は普通の修道士と違い、修道院に入る生活を送ってはいなかった。
性質としては、修道士よりも聖職者の方が近いかもしれない。
ケトルスは、誓願を守りながら世界各地を旅し、修道士としての修行の傍ら、迷える人々に教えを説いていた。
また、理不尽な終焉を迎える者へ救いの手を差し伸べることも、旅の中での大きな目的の一つだ。


ケトルスの両親は、百姓だった。
彼はどこにでもいる少年で、才能、容貌、或いは出自等、特に恵まれることもない少年だった。
両親からの愛情には恵まれていた少年は、週末にはいつも親と共に教会へ足を運んでいた。
そしてある日、親に倣って祈りを捧げていたケトルスは、神の声を聞く。
ケトルスは、人々の理不尽な終焉をその瞳に見る事が出来る力を授かり、神の声に従い、人々を救うための旅に出ることを決意する。終焉を観測する能力を持つ人物は、普通に生活する人々には信じられていないかったが、確かに存在していた。そしてケトルスも、天啓を受けたその日から、その一人だった。
熱心な宗教家であった彼の両親は、寂しさの反面、彼の決意を大いに喜んだ。神に誓願し、ケトルスは修道士として暫くは修道院に入るものの、神の教えに従い、院長と掛け合い修道院を出ることになる。修道士は俗世と離れ修行的生活を行うものだが、ケトルスの場合は救いの旅に出ることが修行であっただけの事だ。
世界各地の教会や修道院に宿を取り、俗世に触れながらも禁欲を守り、ケトルスは今も旅をしている。少年の頃より変わった事といえば、救いには肉体と精神の両方を要し、そのために拳法を嗜んでいることぐらいだ。
今も、神を敬う心と人々を救いたいという正義感は昔から変わらない。


辺りの風景は、石レンガの歩道こそ変わらないものの、店舗よりも住宅が多くなってきた。
どこか不自然な違和感を覚えたケトルスが辺りを見回すと、路地裏で何やら争う二人の男の姿があった。片方は小型の刃物を振り回し、もう片方が杖を使って応戦している。
異常だったのは、男たちの顔には同じ白い仮面がつけられていたことだ。
切迫して見えた争いも、見ていると一方的で、気が付けば片方の男は血を流して動かなくなっている。
しかし、立っている男は刃物を用いていなかった。地面に伏した男に纏わりつくように、どこからか音もなく悪魔が現れる。傍から見れば、悪魔が遺体を貪っているような光景だ。
一方で、そこに立っている男の顔には、既に仮面はつけられていなかったが、男の白髪と白い肌は、白い仮面を髣髴とさせた。
ケトルスは物怖じする事もなく路地裏へと入っていく。
互いの距離が縮まる前に、男の方が声を掛けてきた。


「あ?・・・フン、聖人サマか。人殺しは見過ごせない、ってか?」
「それもあります。」
「あんたの住む世界とは関係の無いことだ。割り切って、さっさと帰れ。」


怯むことなく、ケトルスは言い放つ。


「先ずは私の話を聞きなさい。そしてその後、質問に答えなさい。」
「オイ、随分と一方的だな。」
「貴方は、悪魔と手を結んでいますね。」


男の傍らで遺体を貪る悪魔は、白髪の男に危害を加えようとする様子は無い。
一方で、ケトルスの方にも見向きこそすれど、相手にしていないようだった。


「そんなに珍しいものかァ?」
「いいえ、確かに貴方のような方も居ます。ですが、貴方はその悪魔に飽き足らず、別の物も抱えています。違いますか?」
「あんたも、観える人間ってワケか。全く、面倒くせェ。」
「その物を、その力を見て、黙って見過ごす訳にはいきません。」
「人殺しは良いのかよ、聖人サマ?」
「悪魔を討つ上で、やむを得ないこともあります。その時は、神は赦してくれます。」
「ハッ、面白い冗談だ。」
「それに貴方は・・・」


ケトルスは白髪の男の姿を再確認する。
ボタンの沢山付いた、カソックと呼ばれる黒いコート。首から提げられた銀のロザリオ。ケープのように首に巻いた大きな頭巾は、カソックと合わせても違和感のない色合いだ。手にはシンプルな形状の杖を持っているのみだ。


「貴方の姿は、信徒の姿です。先の争いでも、刃物を用いていない。・・・貴方は神を信じる者ですか?」
「さぁな。」
「信仰の深さは、行いのみで決められるものではありません。恥ずる必要はありませんよ。」
「ガタガタうるせぇな。テメェの目的は何だ?」


ケトルスは少し考えた後、しっかりとした声で言った。


「貴方に信仰があるのであれば、貴方を悪魔から救い出すことです。」
「折角だ、もう一つの“もし”も聞いておいてやる。」
「そうでなければ、信者を騙る悪魔を討つ事です。敬虔な信徒になりすます非道な悪魔を、許す訳には行きません。」


一足で男のもとへ踏み込むと、ケトルスは大きく地を踏みつけ“気”を放ち攻撃する。
男は後方に軽く飛ぶことで回避するが、追い討ちを掛けるように、ケトルスは真っ直ぐに拳を突き出す。
いかにもぶっきらぼうに男がケトルスの拳を払う。
拳法の型から繰り出される拳を受け流す白髪の男は、構えからはそうは見えないが、武術の心得があるのかもしれない。
杖術だろうか、とケトルスは男の攻撃を観察してみるも、その様子も見られなかった。
ケトルスは体勢を思い切り低くし、全身をくまなく使った動きで、相手の足元を薙ぐ。
その動作の目的は撹乱であり、順調に回避されたところに右の手の平を突き出し、気を放出する。
これには回避動作が追いつかなかったのか、男は攻撃を受け止め、勢いのまま後ろに飛び退くがダメージがあったようには見えない。
ケトルスは両手を突き出し、気を練った光弾を打ち出した。
この攻撃に対し、白髪の男は仕込み杖を抜き放ち、光弾を振り払った。

歩行補助の用品と思われていた杖には、反りのない刃が仕込まれていた。


「・・・やむを得ないようですね。」


ケトルスは力を込めて踏み出すが、男の方は背中を向けて走り出した。


「面倒なヤツだなァ、全くよぉ!諦めてくれればいいものを、仕方ないからこっちが折れるぞ!」
「待ちなさい!」
「テメェを黙らせた所で、何も得しないからなァ。ずらかるぞ、デモン!」


男は一目散に駆け出すが、急に踵を返したかと思うとケトルスの脇をすり抜け、先の男の遺体を抱えて、またしても走り出した。
成人男性を抱えながら全力疾走しているのだから、すぐに速度を緩めるであろうと思っていたが、そうも行かないようだった。
見た目の割りに持久力があるのだなと感心しながらケトルスは男を追う。
追っているうちに、ケトルスは男の姿を見失ってしまった。
遺体を抱えながらの逃走であるため、遠くに逃げたと考えるよりは隠れたと思われる。
ケトルスは暫く辺りを探してみたが、しかし男はおろか彼の抱えていた遺体すら見つからなかった。
やがて、路地裏の隅に咲く、一輪の白い薔薇の花を見つける。
花弁は小さく、色も悪く、それは決して美しいと言えるような薔薇ではなかったが、そもそもこんな所に咲いていることが珍しかった。
屈み込んで薔薇の花を見つめ、ケトルスは深呼吸する。


「私としたことが、取り乱してしまいました。・・・しかし珍しいものだ。強い花なのだな、お前は。」


ケトルスは立ち上がると、路地裏の出口の方へと歩を進めた。


「今回は、この薔薇に免じて見逃しましょう。説教は、次に会った時に取っておく事にします。」


ケトルスの感情の中に、悪魔の手先と思われる男に対する憎悪は無かった。
神に背くものに教えを説き、心を改めさせる。
ケトルスの心は、使命感に燃えていた。


――次に会うときは、必ず。



***



「面倒なヤツだなァ、全くよぉ!諦めてくれればいいものを、仕方ないからこっちが折れるぞ!」
「待ちなさい!」
「テメェを黙らせた所で、何も得しないからなァ。ずらかるぞ、デモン!」


これ以上消耗させられるのは御免だ、と背中を向けて駆け出す。
だがすぐに、先ほど“処理”した男のことが思い出された。


「処分する身にもなれってェの。」


デモンの力により向上した身体能力で急制動をかけ、遺体を抱え、一目散に逃げ出す。
追手を撒くための道順を考えつつ、人気の無い方向を選びながら、隠れる場所を探した。
曲がり角を曲がると同時に、日当たりの悪い物影に飛び込み、息を潜める。
修道士は、その動きにくそうな服装から考えられぬ速度で、目の前を走り抜けて行った。
その背中を見送ってから、遺体を地面に寝かせる。
祈るような格好で1分程念じ続けると、遺体は煙のように消え、石レンガの隙間から一輪の白い薔薇が生えた。


「さて、行くとしますか。一応、今回のお仕事はこれで終わりだな。」


影から影へと移るように、男は何処かへと消えていった。
男は修道士に対して、さほど強い憎悪は抱いていなかった。
修道士のしつこさに対する疲労感と、二度と会いたくないと言う倦怠感を強く感じていた。


次に会ったら――なんて、考えたくもなかった。