ザンデルリンク指揮 ブルックナー「交響曲第4番”ロマンティック”」バイエルン放送交響楽団 | 最近の音楽鑑賞など

最近の音楽鑑賞など

本業関係および趣味について書きます(以前から変更しました)。

この曲は私にとって青春の思い出の1曲である。

 

というのは、中学校の図書館で「N響名曲事典」を読んだことがきっかけだからである。そこにはブルックナーの交響曲について「彼の交響曲は、今日の感覚では理解の糸口が見つけにくいというのが本当だろう。それはある理念に基いた、壮大な1個の宇宙像を夢想しており、極端な理想主義と甚だしい非現実性をもっている。目まぐるしい日常生活を過ごす私たちは、たしかにこのような世界にあこがれをいだくことはあるが、しかし到底その中にはいり込むことはできない」と書いてあり、非常に印象に残った。

 

音楽で「宇宙像」を描くことができるのだろうか、そんな思いを抱きながら、当時は音楽会を聴きに行くことも少なかったし、LPレコード盤を買うにも値段が高すぎたので、単なるあこがれにしか過ぎなかったのである。

 

高校に進み、同級生の皆が音楽通であることに田舎者である私は非常なショックを受けた。そこで知恵を絞り、東京文化会館音楽資料室に通って、生徒証を提示して無料で音楽鑑賞をしたものである。楽譜も閲覧できたので、ここで得た知識は大きかった。

 

その他に、少ない小遣いの中から何枚か買ったレコードの1枚がブルックナー「交響曲第4番」である(クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィル)。中学生時代からの憧れだったので聴いた時の感動は大きかった。こんな音楽世界があるものか、という思いをとともにブルックナーの世界に入り込んでいったのが私である(良い環境で育った友人からすると「あいつ遅れてるなー」と感じたに違いない)。当時はそんなものだ。いまならインターネット経由で簡単に聴くことができるだろうが・・。

 

ところで、私の家のオーディオルームであるが、ピアノの練習室を兼ねているので、楽譜などが多くてレイアウトが難しかったのが事実である。一昨日より考えがあり、2日間かけて楽譜を部屋から追い出すこととした。楽器がある以外は音楽鑑賞をするための部屋としたのである。その結果、こんな感じになった。以前の楽譜棚にはCDが並んでいる。

 

 

この棚は以前ピアノ椅子の後ろ側にあって楽譜を横積みにしていたのであるが、楽譜は研究室(パソコン室)にこのように整理した。

 

 

一番上の段に楽譜が置いてある(正確にはその上にも本は置いてあるが)。このように置くのがやはり取り出しやすい。今まで何をやっていたのかなという思いだ。

 

さて、肝心なザンデルリンク指揮の「第4番」である。

 

結論から言うと、今まで聴いた中で一、二を争うレヴェルの演奏だと思う。私としてはクナッパーツブッシュのものが一番という思いはあるが、ベーム/ウィーン・フィルも良かったし、ヴァント盤もすばらしい。ザンデルリンクはかつてのブラームス交響曲全集で見せたような悠然とした音楽の歩みが彼らしいし、オーケストラの力量も素晴らしい。ただ、唯一残念なのは第1楽章提示部で急にテンポを速くするところだ(第42小節以後)。ライナーノートのH氏もその点について触れているが「そこから次第に加速されているが、ここは全曲で唯一、指揮者が積極的にテンポを変えたのだと聴き手がはっきりと認識する場面であろう」と書いてある。全体的な誉め言葉の中なのでこういう表現になったと思われるが、全曲を聴いてみると、私にはここだけ何故、という感じはのこる。まあそれも含めて演奏芸術ということであろう。「えっ?」と思うようなテンポの変化を示す芸術家は過去にたくさんいたので、それについて考えることはあまり意味はないように思う(たとえばワルター/ウィーンフィルのブラームス「交響曲第1番」など)。

 

今日はスコアを見ながら聴いてみたのだが。ブルックナーの管楽器の使い方の見事さ、和声の巧みさに非常な感銘を受けた。昔聴いた「レコード」はモノラル盤だったが、こういう音楽はやはり良質の録音でないと駄目だと思う。かつて朝比奈隆指揮大阪フィルの東京公演で、音があまりに大きいのでびっくりしたことを思い出す。友人にその話をしたところ(その友人は毎月のようにオーケストラの定期演奏会に通っていた)、実際の演奏を聴かないと駄目だよ、と言っていた。確かにその通りであるが、現在の私は時間的な余裕もないし、夜の公演に出かけるのは体力的に難しい(高崎市だと駐車場が不便だしタクシーに乗るのも一苦労なのだ)。音の良い録音を聴く時間は至福のひとときである。

 

最後に、私のオーディオ鑑賞の部屋は以下のような感じである。スピーカーの配置が対称的でなかったのを今回改善した。アンプの調子も良いし、しばらくはこの部屋で良い音楽を聴いていきたい。