シューベルトの連弾作品 | 最近の音楽鑑賞など

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本業関係および趣味について書きます(以前から変更しました)。

連弾作品、2台ピアノ作品は若い頃はよく演奏したものだが、最近はほとんど演奏の機会がなくなっている。しかし、ピアノの表現力を考えたときにこのジャンルの作品群はなかなか魅力的であり、多くの作品を知りたいという思いはある。

 

今回、シューベルトの連弾曲についてよく知らなかったことを反省し、編曲以外の作品を調べてみた。楽譜はペータース版、ベーレンライター版で何冊か所有していたが、それ以外のものも最近のインターネットで簡単に閲覧できるのが有難い。

 

その結果については個人的サイトに記載してあるので興味のある方々はご覧いただきたい。作品の多くは行進曲と舞曲で、当時の人々が家庭でこのような曲を楽しんでいたと想像できる。そして、晩年(とはいっても彼の30歳前後)に名作が多いことも分かった。

 

私が演奏したことがあるのは「軍隊行進曲第1番」と「幻想曲 ヘ短調 D 940(Op.103)」だった。その他にも実に多くの名曲があることにかなり驚いたというのが正直な実感である。「3つの英雄的行進曲」はそれぞれ変化があって楽しいし、「グラン・デュオ」はシューマンが「ピアノに移された交響曲」と言ったのも頷けるように思う。「自作の主題による変奏曲」はアルゲリッチ、バレンボイムの演奏を映像で見ることができる。

 

 

こういう演奏を簡単に鑑賞できるというのは昔では考えられないことだ。すばらしいことだと思うが、昔の方が演奏を聴くということにもっと重みや有難みがあったような気もする。

 

さらに、「フランス風主題によるディヴェルティメント D823」が素晴らしい。特に第2楽章の変奏曲は変奏曲の名作であると思う。この曲はフォルテピアノによる演奏で鑑賞することができたが、第3楽章で「トルコ・ペダル」が使われていたのには驚いた。

 

 

このペダルについては知っていたが「トルコ行進曲」で使われることくらいの知識だったのだ。フォルテピアノのペダルとシューベルト演奏についてはこのような研究をしている人もいるようで、今後参考にさせていただきたいと思っている。

 

ピアノ・デュオは音に広がりがあり、ペダルの使い方もさまざまな工夫ができて面白い。というのは独奏だと一旦右ペダルを踏むとすべての音が響いたままになり、例えばシューベルト「ピアノソナタ イ短調 D 537」の第2楽章第59小節以後のような箇所が非常に難しい。ここを連弾曲と仮定すればバスは弦のピッツィカートのように、メロディーはテヌート及びレガートで演奏できる。連弾のペダルはそれゆえ難しいのだ、という意見もあるのだが、練習でこういう箇所について演奏者たちが作り上げていく過程が実は楽しいのだと思っている。

 

3月以降、少し時間ができそうなので、できればこういう連弾・2台作品を演奏してみたいと思うのだが、”相棒”が見つかるかどうか。その点は悩みである。