チェルカスキー:1984 Vol.2  | 最近の音楽鑑賞など

最近の音楽鑑賞など

本業関係および趣味について書きます(以前から変更しました)。

前回の続きで、今回聴いたのは以下の曲目である。

バッハ<ブゾーニ編曲>シャコンヌ
ベルク ピアノ・ソナタ 作品1
リスト 葬送 (詩的で宗教的な調べ 第7番)
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第13番変ホ長調 作品27-1

Nimbusの録音についてはいろいろ批判もあるようだが、私の家の装置ではそれほど気にはならなかった。バッハ=ブゾーニのシャコンヌ、私はどうも好きになれない編曲で、それは突然テンポが変化したりすることにどうにも違和感があるためである。しかし今回の演奏では穏やかなまとまりの中で表現されており、かなり原曲の価値に迫る演奏だと思う(しかし私がこの種の編曲で好きなのはレヒシュタイナーによるペダル・チェンバロによる演奏)。

ベルクのソナタは、最高度に説得力のある演奏というべきであり、この曲の魅力がやっとわかったと言っても過言ではない。ロマン的な香りを残しながら調性は崩れてゆく、という微妙な時代的感覚の中にある作品だと思うので、そのあたりの情感が絶妙だと思った。前回同様、ピアノの音が素晴らしい。リストの「葬送」もロマン派が得意な彼らしくドラマティックな演奏である。

ベートーヴェンのピアノソナタ Op.27-1 。この人のベートーヴェン演奏を聴いたのは初めてだが、落ちついた造型の中にしっかりした主張もあり、これも素晴らしかった。アダージョで聞かれる音の広がりに感銘を受けたし、最後のアレグロでの安定したテクニックもなかなかである。それにしても、こんな音で音楽を奏でるピアニストが現代にいるだろうか。候補としては一人いるのだが(日本人)、最近は実演を聴いていないので、その機会を待っているところである。

 

実演といえば、チェルカスキーについては実際の音を聴かないとその魅力は分からない、という意見を多く聴く。この人が来日していたのは高校生の頃だった。1971年のリサイタル(東京文化会館)はTVで見た記憶がある。プロコフィエフのソナタ No.7 が曲目だとあるサイトで見たのでたぶん間違いない。この時に初めて演奏を聴き、とても素晴らしいピアニストだと思ったが、私がその頃聴いたピアニストはゲルバー、ブレンデル、ワッツ、ケレル、ケンプ、リヒテルなどで、雑誌などであまり取り上げられなかったのも一因かと思っている。チェルカスキーの演奏を実際に聴けなかったことは本当に残念である。

 

この人の演奏は現在はあと2枚購入してあるので、後日また聴いてみる予定である。実に楽しみだ。

 

ところで私のブログは音楽鑑賞の方向になってきているが、ときどきは趣味についても書く予定である。今年も残すところあと少しとなってきたが、変わらず元気で暮らしていきたいものである。