第170回 芥川賞・受賞作 九段理江さん『東京都同情塔』 | ほたるの学校

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新刊『ショウと伊介のふしぎなスケッチブック』がでました。どうぞよろしくお願いいたします。

読みました~

おもしろかったです照れというのは、主人公 牧名沙羅(建築家)の視点に目からウロコ~目

主人公は、生物体としての人間を「動く建築物」として見ているのです。驚きました。

 

他にも、言葉がいかに影響を与えているか、その重要性についての鋭い指摘が印象に残っています。それが現代生活に対する批評にもなっています。

「歯磨き」という言葉について。現在では歯を磨くというより、歯垢をとることが虫歯予防になるのに、いつまでも歯磨き、ブラッシングという言葉使われているのは、歯科業界が自らの利益を守るために虫歯に苦しむ人々を増やし続けていくのか?利権か?」と。

 

「日本人が日本語を捨てたがっているのか?」主人公は意味をもたない線で書かれるカタカナに愛着が持てないのです。

 

たとえば、母子家庭の母親をシングルマザー、配偶者をパートナー、第3の性フォーリンワーカーズ。などのカタカナに対して、ずさんなプレハブ小屋みたいなその文字と表現しています。

 

建築家としての彼女がいる世界は、ザハ・ハルドの国立競技場が完成している社会なのです。犯罪者のことをホモミゼラビリス(同情されるべき人々)としています。

 

彼女は、理想主義者の塔として、東京新宿御苑に71階建ての刑務所の建築設計をしています。

 

極端な話ですが、想像力がすごいです。AIの言葉の説得力にも驚きました。

東京街歩き② 東京カテドラル聖マリア大聖堂(丹下健三設計)&肥後細川下屋敷庭園&目白御殿 | ほたるの学校 (ameblo.jp)

↑こちらのカテドラルについても本文に書かれていました。丹下健三さん、隈研吾さんについても書かれていて興味深かったです。

 

九段さんの作品は、一作一作全く違ったキャラクターが登場します。その多彩さにおどろきました。

『Shool girl』(九段 理江) | ほたるの学校 (ameblo.jp)

この作品を読んだ時には、作者は40代の落ち着いた女性だと💦