NVIDIAが2024年5月15日に、経済産業省の助成や国内の主要クラウド企業との協力により、日本の生成AIインフラの構築を推進し、自国のデータを自国のAIで活用する「ソブリンAI」の基盤作りを強化していくこと発表しました。
NVIDIAは今回の発表で、経済産業省から認定を受けているGMOインターネットグループ、さくらインターネット、KDDI、ソフトバンクなどのクラウドプロバイダーと協力してAIインフラを構築する方針を明らかにしました。
経済産業省は、この取り組みに参加する日本企業を支援し、クラウドを構成するさまざまな要素である「クラウドプログラム」の安定確保を目指すために合計で1000億円以上を助成する計画を打ち出しており、認定企業は今後も増加していく見通しです。
また、NVIDIAはこの取り組みにより日本が「ソブリンAI」のコンセプトの導入を目指す先進国になると述べています。
「主権型AI」と呼ばれることもあるソブリンAIは、国家が自国のインフラ、データ、流通網、人材を用いてAIを創造する能力のことで、AIが生み出す膨大な経済効果を国内に環流させる上で欠かせない概念とされています。
また、ソブリンAIには「物理インフラ」と「データインフラ」という2つの側面があり、AI向けのGPUの生産に強みを持つNVIDIAは特にハードウェア面で存在感を発揮していくことが期待されます。
NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン氏は、2023年12月に来日して岸田文雄首相や政財界のリーダーと会談し、NVIDIAのGPUを日本に優先的に供給してAIインフラの整備を進める方針や、日本企業と提携して半導体生産ネットワークを構築していく考えを示していました。
フアン氏はまた、この時の会見で報道陣に「AIファクトリーは、世界中で現代における経済基盤になるでしょう」と述べて、膨大なデータをAIに落とし込むにあたっては、計算集約的なAIタスクの処理に特化した次世代データセンターである「AIファクトリー」が不可欠だと強調しています。