ベゾス、「マスクとは考えが似ていると思う」
もっと多くの人間が必要だ。
これは世界でもっとも裕福な億万長者のAmazon創業者ジェフ・ベゾスと米テスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスクからのメッセージだ。
ベゾスとマスクはそれぞれ、宇宙企業ブルーオリジンとスペースXを設立し宇宙ビジネスで競合しているが、人類の未来のある側面については意見が一致している。
ベゾスは2023年12月14日、コンピューター科学者のレックス・フリードマンが主催するポッドキャスト番組に出演し、「多くの冒険に関して、私とマスク氏はとても考えが似ていると思う」と発言。さらに、「マスク氏のことは実際にはあまり知らない」とした上で、「彼と友人になるのはいいアイデアだと思う」と話した。
目的は未来の世代のための宇宙インフラ整備
ベゾスは、ブルーオリジンやスペースXの企業活動の目的について、未来の世代がより偉大なものを築く基盤となる宇宙インフラを整備しているのだと説明する。
「私がAmazonを立ち上げた1994年当時、支払いシステムを開発する必要はなかった。なぜなら、クレジットカードと呼ばれるものが既に存在していたから。商品を配達するための輸送システムも構築しなくてよかった。アメリカの郵政公社、イギリスのロイヤル・メール、ドイツのドイチェ・ポストなどがあったからだ。構築に手間のかかるこうしたインフラはすべてそろっていて、私はその恩恵を受けることができた」
ベゾスは、「Amazonの成功で得た資金」を未来の世代の宇宙企業家(スペースアントレプレナー)が利用できる大型インフラを構築するために使いたいと話す。
「どこかの学生寮で起業された本当に価値がある宇宙企業がいつか誕生した時、その時に私たちは創造力と想像力を存分に発揮できるだけの十分なインフラを整備できたのだと分かる」
ベゾスは巨大宇宙ステーション、マスクは火星移住
ベゾスは、人々が巨大な宇宙ステーションで生活することを想定している。彼によると、宇宙ステーションは地球と同じ重力を生むために自転できるなど、「惑星の表面よりも多くの利点がある」という。
さらに、ほとんどの人は地球の近くに住みたがるだろうし、休暇には「イエローストーン国立公園に行くのと同じように」地球に旅行に行きたいと思うだろうとも指摘している。
ベゾスはまた、重工業業界が宇宙に移り、月や惑星帯にある資源を活用することで、地球環境を守ることができると考えている。
一方のマスクはかねてから、人類が複数の惑星で生活するようになる必要性を強調している。マスクの率いるスペースXの宇宙船「スターシップ」で地球―火星間の人々の移動を可能にし、人類が火星で永続的に生活できるようにするという構想を掲げている。
マスクは2021年、スペースXが再利用ロケットで民間人乗組員による地球の軌道周回宇宙飛行に成功した後、「単一の惑星に暮らす種の一つになりたくない。複数の惑星で生活する種になりたい」と語っていた。
人口減は地球温暖化よりもリスク
ベゾスは、コンピューター科学者のフリードマンのポッドキャストで、これから数百年、数千年後の宇宙での人類の未来に何を望むかと聞かれ、こう答えた。
「1兆人の人類がこの太陽系に住んでいるところをぜひ見てみたい。1兆人の人間がいれば、いつの時代にもモーツァルトが千人、アインシュタインも千人いることになる。太陽系は生命、知性、エネルギーに満ち溢れたものになるだろう」
マスクはというと、以前から地球の人口不足を世界が直面する最大の危機として懸念している。
2022年1月に中国が出生率の低下を示すデータを公開した時には、ツイッター(現X)に「出生率の低下による人口崩壊は、文明にとって地球温暖化よりもはるかに大きなリスクだ」と投稿した。
最近では、2022年末にイタリアで政治イベントに出席した際にも、「子供を持つことと、新たな世代を作ることは重要だ。簡単なことだが、人々が子供を持たなければ、新たな世代は生まれない」と訴えた。