株式会社運営の認可保育園 突然休園 | 子どもたちもお年よりも笑顔あふれる街へ

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千葉・印西 株式会社運営の認可保育園

突然休園、保護者ら怒り

2020年11月30日【社会】

ようやく入れたのに…

 千葉県印西市の小規模認可保育園「にこにこルーム原山」(0~2歳・定員9人)は2日、経営悪化と職員の人員不足を理由に休園しました。関係者から困惑と怒りの声が上がっています。(仁田桃)

 保育園を運営していたNCMA株式会社(西内久美子代表取締役社長・本社東京都)は10月15日に事業廃止の手続きを市に申請。市は受理しませんでしたが、同社は園の鍵を交換して休園を強行しました。

 団地の1階の1部屋を保育園にしていました。ドアには「休園のお知らせ」として立ち入りを禁止する紙が。

 保護者は閉園のわずか2週間前に、同社からの手紙で知りました。手紙には「経営環境のますますの悪化に加え、人員不足の状況等の下で安定的な保育サービスを提供し続けることは極めて困難である」と休園の理由をあげています。保護者に直接説明することはありませんでした。突然の閉園に園児2人が行き場を失いました。

身勝手すぎる

 4月から同保育園に長男(1)を通わせていた女性(26)は「休園を聞いてびっくりしました。ようやく入れた保育園だったのに。いきなりで身勝手すぎませんか」と語気を強めます。

 女性はシングルマザー。「働く必要があり、保育園が決まって助かったと思っていたのに」と言います。

 女性の長男は、市が手配した公立認可園に転園できましたが、自転車で10分以上の距離。生まれたばかりの第2子もいます。「どうしてこんなに振り回されなきゃいけないんだろう」とこぼします。

 園の保育士で管理者だった女性(30)は、職員不足は数年前から続き、給料の未払いもあると言います。残業や長時間労働でやりくりしていることを同社や市に訴え改善を求めていました。「人員不足を休園の理由にしているが、今に始まったことではない」

 半年ほど前から調理員に欠員が出たため、休園まで給食ではなく業者がつくる弁当給食でした。弁当は幼稚園児用のもので、おかずは揚げ物やイカ、サイコロステーキなど。1・2歳の子どもには適していません。「“給食は保育士や管理者が作れ”と会社が言ってきたこともあります。子どもたちが食べないので、給食の再開を要請していた」

予算の拡充を

 市は同園を2015年に認可。女性によると、市は小規模保育園であることを理由に立ち入り検査などは行ってないといいます。女性は「こんな保育体制で認可されてることが問題じゃないかと市に言ったが何もしてくれなかった」と憤ります。

 市は7月に動き出しました。市は同社に対して書面で2回指導しましたが「改善がみられなかった」と市の担当者は言います。市が同園の認可を取り消していたことが11月28日、分かりました。

 日本共産党の山田喜代子市議は「公が保育について責任を持ち、安心・安全な保育を保障するためにも予算の拡充を政府に求めたい」と話しました。

問われる自治体の責任

全国保育団体連絡会の実方伸子副会長の話

 この間、利用者の減少による経営悪化などを理由に、株式会社が経営する保育施設の突然の休園や事業からの撤退がニュースになっています。

 国は待機児童対策として15年から子ども・子育て支援新制度を実施し、小規模保育所など多様な施設を認めていますが、それらは認可保育所よりも施設基準や職員配置基準が低いだけでなく、市町村の責任も不十分です。

 「にこにこルーム原山」自体にも問題がありますが、小規模保育であっても市には立ち入り調査も含めた指導監督責任があります。児童福祉法24条2項は、小規模保育事業等による市の保育確保責任を規定しています。保育を必要とする子どもに、格差なく質の高い保育を保障する自治体の責任が改めて問われるべきであり、そのための制度の改善が早急に必要です。