「江原国際トリエンナーレ2021」の会場の一つである洪川美術館の建物。美しいですね。
●洪川で国際トリエンナーレ開催中
先週末は秋晴れの空の下、紅葉の美しい江原道の春川と洪川をツアーして来ました。江原道の観光課の方の案内を受けてのファムツアーですね!ヾ(≧∇≦)〃♪
最初に行ったのは、芸術の祭典である「江原国際トリエンナーレ2021」が9/30から開催中の洪川です。ところで、行くまではまったく思ってもいなかったのですが、着いてみたらそこは私が2018年に講演を行ったことがある洪川美術館でした。とっても懐かしくて、当時の担当者の方の連絡先があったので連絡してみたら、わざわざ会いに来てくださって3年ぶりの再会となりましたね。(*´ヮ`)/
トリエンナーレというのは、3年に一度開かれる国際美術展覧会だそうですが、コロナ後のポストパンデミック時代を見据えた「温かい再生(따스한 재생)」をテーマに、災難、環境、危機からの再生への期待を描いた作品を、39ヵ国104チーム139人の作家が披露しています。会場はこの洪川美術館と弾薬整備工場跡、瓦洞初等学校分校跡、洪川中央市場の4ヵ所ですが、全部回って面白い作品をたくさん鑑賞しました。
●近代文化遺産たる洪川美術館
いくつか大きく印象に残った作品がありましたが、最初はやっぱりこの洪川美術館の建物それ自体ですよね。1956年に洪川郡庁の庁舎として建立されたもので、近代文化遺産として2004年9/4に登録文化財第108号となっているわけですが、韓国的近代建築というものが花開いた1950年代当時の標準型官公署の原型をよく見せてくれています。
韓国という国は1900年代、西洋式の近代建築が入ってくる時に、日本の統治によって日本人がそれを導入する形になってしまったわけで、戦後の1950年代になって初めて韓国独自の建築が可能になるわけです。このバルコニー型の左右対称の美しい建物は、なるほど韓国人による近代建築の萌芽を表現した、立派な歴史的作品であるということがいえます。
さらに、この洪川美術館の中の展示作品で、個人的に一番印象的だったのが、大量の本を使った展示物です。作家が、自分が生涯で読んだ本を全部一つひとつ金属で引っかいて、ボロボロのオブジェにしながら、それがすべて自らの知識となって自分自身を形成している、ということを表現したものだそうです。
韓国ではそもそも大量の本を描いた「冊巨里」、「冊架図」、「文房図」という、世界でも珍しい不思議な種類の静物画がありました。そのような絵画が、ちょうど日本で浮世絵が流行したように、18世紀後半から広く流行したということに、韓国文化と日本文化の違いを感じさせられます。本を読んで学ぶことの価値を讃えることを通して、自らの学識や知識を誇るという意味もあったわけですよね。それゆえまさにこの作品にも自ずと韓国人の魂の歴史的な命脈を感じることができたわけです。
●歴史的偉人の像と『イカ・ゲーム』
あと印象的だったのが、3番目に行った瓦洞初等学校分校跡の展示場です。廃校となった学校跡自体を作品としながら、教室ごとに作家たちが作品世界を表現していたわけですが、私にとって一番感銘深かったのが、校門から並ぶ、元来そこにあった銅像たちでした。最初に3・1運動で万歳を唱える柳寛順烈士の像があって、続いて李舜臣将軍と亀甲船像、そして北朝鮮のスパイに抵抗して殺害された李承福少年の像、最後に南宮檍(ナムグン・オク)先生の像がありましたね。
洪川にお墓があるこの南宮檍という方は、日本時代の独立運動家で教育者、言論人として、1918年に洪川に移り住みながら、3・1独立運動の起こった1919年に洪川郡牟谷に「牟谷学校」を設立、韓国の国花である無窮花(ムクゲ)を全国に普及するために、その歌を作って「無窮花精神」を宣揚したということで、そのことのゆえに、洪川が「無窮花の里」としても知られているわけです。
すべての銅像はボロボロに古びて錆びた姿でしたが、一様にソウルなどの有名な場所に立っているそれらよりもズングリムックリ、頭が大きく脚が短くて、それがまた子供の立場に下りてきているようで親しみ深く、当時の子供たちが育つ姿を見守ってきた息吹が感じられました。ちょうどこの日はこの運動場で、ドラマ『イカ・ゲーム』をテーマにした「秋の運動会」イベントが開かれるということで、スタッフの人たちが皆、ショッキングピンクのイカ・ゲーム監視者ユニフォームを着て迎えてくれたのですが、古さと新しさが対照をなしていて、とっても感慨深かったのでした。♪ヽ(´▽`)/
到着してビックリ。3年前に講演を行った、懐かしい思い出の場所でしたね。
「江原国際トリエンナーレ2021」の紹介。
台所を作品にしたもの。白いのは陶器で作られたお豆腐です。
昔の韓国の子供たちの教科書や雑誌の実物。これ自体も作品なんですかね。
作家が自分の読んできたすべての本を作品に加工したもの。
読んだ本を一つひとつオブジェに変える作業をしたんですね。韓国っぽい…。
韓国抽象美術の先駆者・金煥基画伯の『鳥』。簡単な絵ですが、何億ウォンもするそうです。
オズの魔法使いのブリキなのですが、モデルが作家の旦那さんなのだそうです。とほほほ。
弾薬整備工場跡の展示場。こちらも古い工場自体を作品としています。
この巨大な建造物も宇宙生命体としての意味を持つ作品だということ。
動くベルトコンベアが作品となっています。
このカラフルにした工場はまさに『イカゲーム』ですね。
内臓のような生命体をモチーフにした工場。
工場ならではの作品。
こういうのは全部自動で動くんですよね。
これもくるくる回ります。
外にも作品があります。
こういうのとか。
瓦洞初等学校分校跡の会場では運動場で『イカ・ゲーム』運動会が予定されていました。
校庭にも作品があちこちに。
私が一番興味を引いたのは廃校になった昔の学校の銅像。これは柳寛順烈士ですね。
李舜臣将軍と亀甲船。左にいるのはスタッフですが、皆、イカゲーム仕様なのでした。(^^;)
家族が歩いている姿を描いた作品(右)と共に、中央は李承福君、左は南宮檍先生の銅像。
学校内がそのまま作品となっています。
懐かしくて面白いですね。
これは実際に地下を掘って出てきたさらに昔の学校跡の遺跡。これも作品なんです。
「江原国際トリエンナーレ2021」の広報映像です。
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