■韓国のルーツを偲びつつ6・25韓国戦争の感動実話に涙できます!>_<) | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

「奇跡の子供」

 

 

●劇場でかなり泣いた感動的名作

 

最近、韓国の歴史の講義をしながら、関連資料として6・25韓国戦争に関する実話を描いたトルコ映画『Ayla: The Daughter of War(邦題:ブレイブ・ロード 名もなき英雄)』(2018)をご紹介したのですが、ご覧になった方の反響がとても大きくて、こちらにもご紹介しようと思いました。講義の内容にもなりますが、少し長いです。♪ヽ(´▽`)/

 

韓国戦争に国連軍として参戦したトルコ軍の若き軍曹シュレイマンが、北朝鮮軍によって皆殺しになった村で一人生き残った戦災孤児の少女を引き取り、「アイラ」と名づけて部隊で共に暮らすうちに、トルコ語を理解してシュレイマンを「バーバ(お父さん)」と呼んで慕うようになるという話。アイラは「バーバと絶対に離れたくない!」といい、シュレイマンも「決して一人にしない。父親は娘との約束を守るものだ」と彼女の前に誓いますが、運命の中でそれがどのようになるかという物語です。

 

私も観た時は映画館でかなり泣いたのを覚えていますが、間違いのない感動的名作です。映画的には監督の初作品として技術や演出に未熟さを指摘する声もありますが、しかし、主人公アイラとシュレイマンの切ない演技、何より実話自体がもたらす感動が、言葉に尽くし得ませんでした。ドラマ『応答せよ1988』で巨大なソーセージを黙々と食べていた、あのキム・ソルちゃんが、少し大きくなってトルコ語をかわいく話しながら最高の感情演技を見せてくれます。まさに主演女優賞級です。(*´ヮ`)/

 

 

●韓国とトルコの古からの絆とは?

 

1950年6/25、北朝鮮が侵攻して韓国戦争が勃発するや、全世界16ヵ国の国連軍が韓国を守るために駆けつけ、たくさんの戦死者を出しました。地球の裏側のトルコからも1万5千人が駆けつけ、1年ずつ交替勤務をしたというのですが、国連軍全体で3万7902人が犠牲になる中で、トルコ兵は741人の命が奪われ、2,147人の負傷者を出しています。

 

いっぽうで韓国人は、約40万人もの死者を出しながら各地で戦災孤児があふれ、映画の中にも登場しますが、トルコ軍は水原に駐屯しながら「アンカラ学校」という孤児院をつくって孤児たちをケアします。トルコは東の外れのこんな小さな韓国を守るために、なぜそこまでしてくれたのでしょうか。

 

日本とトルコも友好の歴史はあり、明治時代にトルコのエルトゥールル号の遭難で、日本が生存者を手厚く助けたことで、トルコ人がいまだに親日感情を持ってくれているという話はよく知られていますが、韓国の場合はもっと歴史が古く、両国の起源にさかのぼります。

 

すなわち、トルコ人は自らの先祖を、6世紀頃、ユーラシア大陸の中央に広大な遊牧民帝国を築いた「突厥」であると考えています。いわゆる「テュルク族」ですが、カザフスタン、キルギス、トルクメニスタン、ウズベキスタンという中央アジア諸国も同じテュルク系民族の国で、彼らは東に行くほど私たちと同じモンゴロイドの顔をしており、西に行くほどコーカソイドになります。

 

それは西に移りながらコーカソイドと混血していったためであり、人種自体はモンゴロイドからどんどん離れるのですが、しかし、彼らはテュルク系言語を話し、テュルク系民族としてのアイデンティティを変わらず持ち続けています。その不思議なアイデンティティの固守は、ちょうど子供の頃に肉体に現れる蒙古斑と同じで、いわば優性遺伝するようですね。(ちなみにハンガリーも、「匈奴」のフン族を先祖に持つといいますが、トルコ人もハンガリー人も蒙古斑が出るそうです)

 

テュルク系民族は、今は宗教こそ皆イスラム教が大半ですが、同時に遊牧民の末裔として、「天」に該当する固有概念(カザフ語・ウズベク語・ウイグル語では「Tangri」、モンゴル語では「Tenger」、ブルガール語では「Tangra」、シュメール語では「Dingir」、そしてトルコ語では「Tanri」)を中心とした祭天文化を持ち、より原型をとどめる中央アジア諸族は血統主義的伝統を守っているといいます。

 

これがまさに韓国文化と同じだ、ということになります(韓国は天は「ハヌル」)。韓国は同じ時代に「突厥」と国境を接する「高句麗」だったわけですが、やはり満州全土を覆うほどの広大な版図を誇る遊牧民の「東夷族」として、同じ伝統文化を持っていたものが、現代にまで引き継がれているわけです。「韓国の血統主義は儒教ゆえなのではないか」と思いがちですが、そもそも中国で儒教を始めた孔子自身が、殷の末裔で宋から魯と続く東夷族の血統の中に生まれています。すなわち、儒教の基本文化自体が東夷族のそれであったともいえるのです。

 

ということで話が長くなりましたが、当時から、「突厥」と「高句麗」は互いに同盟国として“兄弟の国”だったのであり、隋が中国を統一すれば、互いに連合して対抗したり、有名な高句麗末期の宰相・淵蓋蘇文(ヨンゲソムン)が突厥の王女と結婚したりと、実に関係が深かった歴史がありました。

 

韓国はその後、半島に定着して中国の影響下に入り、トルコはアナトリア半島を中心にアラブの影響下に入って、互いにまったく違う言語を話す別人種のようになったわけですが、それでも、韓国は「高句麗→高麗」を意味する「Korea」であり、同じくトルコは「Turkic(テュルク系民族)」の末裔としての「Turkish(トルコ人)」であって、15世紀も前からの絆によって、いまだに互いを「兄弟の国(Brother's Country)」と呼んで並々ならぬ親しみを示しているわけです。

 

まさに、島国として周りを海に囲まれ、日本列島に至る前のルーツを一度、リセットされているような私たち日本人には、とうてい理解しがたいような、それこそ遊牧民的な血統主義だといえますよね。

 

 

●民族と歴史を超えた真実の愛の物語

 

ということで、トルコは韓国戦争が勃発すると、「“兄弟の国”を助けるために」と、100%支援兵によって、米国の次に多い軍人を派兵してくれたということになります。トルコの首都アンカラには「韓国公園」がありますが、韓国政府は、そこにトルコの韓国戦争参戦を記念する塔を建て、参戦したトルコ人の名簿を刻んでいます。韓国ソウルの汝矣島には両国の友情を記念する「アンカラ公園」があり、また、トルコが「アンカラ学校」を建てた水原の跡地には「アンカラ学校公園」もあります。

 

実際、1999年のトルコの大地震の時には、韓国の国民が約23億ウォンもの援助金を集めて支援したというのも、一つの恩返しであったのであり、続く2002年ワールドカップの時の韓国最後の試合となった、韓国対トルコによる3位、4位決定戦は、最終決戦としてとても重要な試合であったはずなのに、互いに熱い友情と愛を表現するための応援という、歴史に類を見ないようなラブラブな友好試合となってしまったのでした。韓国がワールドカップの試合に負けても喜んでいる、というまさに奇跡のような姿を、私もその時、初めて目にして本当にビックリしたものでした。(^ヮ^;)

 

以上、長々と書きましたが、以上のような背景を理解した上で、『Ayla: The Daughter of War(邦題:ブレイブ・ロード 名もなき英雄)』をご覧になれば、おそらく感動は倍増するでしょう。それにしても、ちょっと日本の邦題が理解できないのですが、決してそういうイメージではなくて、まさに民族と歴史を超えた真実の「父」と「娘」の変わらぬ愛情と涙の奇跡を描いた感動作としておススメです!ヾ(≧∇≦)〃♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


映画『Ayla: The Daughter of War(邦題:ブレイブ・ロード 名もなき英雄)』(2018)予告編。

 

 


日本からならここから全部ご覧になれるでしょう。YouTubeの字幕も日本語が選べます。

 

 


韓国からならここからご覧になれるかもしれません。

 

 


実話のほうを知ることができる韓国MBC制作のドキュメンタリー(韓国語)です。

 

 

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