■翻訳版『82年生まれ、キム・ジヨン』を母に贈りました!≧∇≦)〃♪ | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

これは昨年末に100万部を突破した頃に読んだ、『82年生まれ、キム・ジヨン』韓国語版です。

 

 

実は最近、私がとっても嬉しく感じていることが、日本にいる友人から聞いた、今日本では韓国の若い作家たちの小説が、「K文学」などといわれてとっても売れているという話ですよね。ヾ(≧∇≦)〃♪

 

その中でも一番売れているのが、チョ・ナムジュさんの『82年生まれ、キム・ジヨン(82년생 김지영)』だということを聞いて、さっそくアマゾンで注文して日本の母に贈りました。私は韓国語で読みましたが、母に読んでほしいと思った記憶があります。まさか日本語に訳されているなんて思ってもみなかったですね。

 

さらに調べてみたら、本当にいろいろと訳されて日本でも出ているんですね。感動です。これから少しずつ日本の母に紹介していく楽しみができたということですよね。そもそも子供の頃に文学の楽しみを教えてくれたのが母でしたから、私から、私が愛する韓国の小説を紹介できるなんて感無量です。(*´ヮ`)/

 

 

●『82年生まれ、キム・ジヨン』との出会い

 

私も、韓国の若い作家、特に女性作家たちの純文学小説が面白いと知ったのは、つい最近のことで、それまでは韓国の小説というと娯楽小説か、歴史小説が基本だと思っていたし、純文学も、植民地時代や韓国戦争や民主化運動を描いた、思想的でイデオロギッシュな「反米小説」、「分断小説」などが多いというイメージから、特に読んでみようという魅力を感じることができませんでした。

 

そのような印象を、2016年にこのブログで書いたら、その時にちょうど英国のマン・ブッカー国際賞を受賞したハン・ガンさんの『菜食主義者』のことをコメントで紹介してくださった方がいて、さっそく買い求めて韓国語で読んだことはありました。

 

そうして昨年の11月に、ソウル市庁で開催された「ソウル文学シンポジウム」に討論者として参加しました。今考えれば、よくも知らずに、「Kポップ、Kドラマに続いてK文学を世界に!」みたいなことをいっていたわけですが、まさか当時からその「K文学」の波が、すでにすっかり始まっていたんだということを今になって知りましたね。(^^;)

 

いずれにせよ、その時、参加前に予習のつもりで韓国の小説のヒット作を調べたら、ちょうどこの『82年生まれ、キム・ジヨン』が100万部を突破した、というニュースを見つけて、びっくりして私も買って読んでみたわけですよね。

 

 

●愛するものに対する新しい発見

 

でも当時は、韓国の小説の新しい波、というよりも、少し前からやたらと取りざたされていた、「女性嫌悪」、「男性嫌悪」などの社会問題を反映した、社会現象としての「フェミニズム」の小説という感覚で捉えていました。

 

ところが!実際、読んでみて、そのような私の考えは粉々に砕かれました。というか、読みながらあまりに何度も頭をハンマーで叩かれたために、粉々どころか、PM2.5級くらいの粒子になって、そのままねっとりした粘土のようになって固まった感覚でした。粘土になるための水分として、私はたぶん読みながら3回は泣いてしまったと思います。

 

それは「フェミニズム」などというものではない、私が愛するものに対するまったく新しい発見でした。愛する我が妻、我が義母、そして我が娘、それから韓国のすべての女性たち――「キム・ジヨン」という誰でもないような平凡な名前を通して、その生涯、その半生が、私の知らない、まったく新しい観点で実にことこまかく描かれていました。

 

愛する我が妻、我が義母、我が娘が一つになったような「キム・ジヨン」という顔のない誰かを思って泣いてしまったし、そうして地下鉄に乗れば、同じ車両に乗っているすべての女性たちが、それぞれの横顔でさまざまな「思い」を私に語りかけてくるような印象を受けました。「私はこんな女性たちの中で生きていたんだなあ」と思いました。これらは、まさに韓国文学が共通に持つ、「正しさ」への間違えのない叫び(※昔はそれをよく「恨」などと呼んだ)の力でした。

 

 

●韓国のすべての男性が読むべき

 

実際、本が届いた時に、何気なく、その場にいた我が娘に、「この本は大切なことを書いているかもしれないけど、でもそれで、韓国の女性たちが従来の美徳を失って、名節の親族づきあいの喜びなんかを見失うようになると困るよね」と、今思えばメチャクチャ無神経なことをいったら、娘はビシッと一言、「それはお父さんが、名節の揚げ物でも、ちゃんと揚げてからいわないとダメだよ!」といったのを覚えています。m(_ _)m

 

この本を通して私は、自分が韓国社会を男性の目でしか見ていなかったことに気づいたし、「妻はあの頃、こんなふうに感じていたのか」、「義母はこんな思いだったのか」、「娘はこんなことを感じて傷ついていたのか」、「娘はこれからもこんなことを思うことになるのか」と、ひたすら愛する存在の「心」を知る教科書として大切な一冊でした。

 

我が日本の母と通話する時の思いも、前とは大きく変わっていることに気づきました。もちろん、私がこんな本を一冊読んだだけで何かが分かるようになったという意味ではなく、「自分が何も分かっていなかった」ということがよく分かったということですが。

 

この本は、韓国に住むすべての男性をはじめ、日本の多くの男性たちも読むべき本だと思いましたし、日本の方々が読めば、それでもまだ「異文化」というクッションがあるために、多少は客観的に読める部分があるだろうとも感じました。あんなに身もだえして頑張っていたキム・ジヨンが、「人々が私のことをママ虫(※迷惑な母親に対する悪口)だって…(사람들이 나보고 맘충이래)」といった、そのひと言の衝撃的な悲しさも、おそらく翻訳というフィルターを通すことで多少は客観化されるのではないかと思います。

 

ということで、韓国に27年住みながら、義母や妻や義姉やお嫁さんや姪や娘や、数多くの韓国女性たちと一緒に過ごしてきた、まさに私の家庭そのまんまのことが、私の目ではなくてその女性たちの目から改めてすべて綴り直された一冊だと思います。もし、我が家族と親族、その中での私の数々の失態や失敗について、詳しくお知りになりたい方がいらっしゃれば、これは間違いなく精巧な解説本です!(((°`∇´°;)))

 

 

 

「今日の若い作家」というシリーズですね。

 

 

何度読んでも涙があふれざるを得ない「사람들이 나보고 맘충이래」の部分。

 

 

翻訳してくださった方に心から感謝です。翻訳版は母が読んだ後に実家で読もうかと思います。

 

 

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