■2018年の今、真剣に南北統一を考える時代を迎えるために! | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


「北韓でクーデターが発生~北韓第一権力者が南韓に下りてきた」


●北のクーデターによる核戦争危機描く


昨年末から公開で440万観客を動員して、まだ公開中の映画『鋼鉄の雨(강철비)』(ヤン・ウソク監督)です。専門家も驚いたチョン・ウソンさんの完璧な北朝鮮方言演技、さらには体を張った最高のアクション、おまけに南のクァク・トウォンさんとの涙を誘う友情演技が感動的な、南北関係モノアクションでした。♪ヽ(´▽`)/


韓国コンテンツには、南北関係を描くジャンルが存在していますが、今回は北の核ミサイルによる戦争危機を中心とした展開。まさに昨年の南北関係に基づいたものです。原作は韓国の同名ウェブ漫画ですが、北朝鮮内で軍部のクーデターが起こり、開城工団を視察していた最高権力者(金正恩という名前は出ませんが)が、瀕死の状態で韓国に運ばれてくるとともに、北の軍部は全世界を相手に宣戦布告をする、という流れになります。


何よりその最高権力者を守って南に越えてくる最精鋭要員のチョン・ウソンさんがカッコよく完璧な男として描かれます。そこに、南の外交安保首席クァク・トウォンさんの情深い人間的キャラが絡むと、これがなんともいえない化学反応を起こして感動のドラマを演じ出していきます。


結果として、いつかは起こるかもしれない北朝鮮のクーデターという流れを通して、南北統一に向けた可能性を描いた面白い作品ではあるのですが、まあ、フィクションとしてはよくても、現実からはかなり離れて感じられる感も否めません。何より現実の北という国が、私たちがこんなふうに感情移入できるような物語的予想をはるかに超えた、非常識な国であるためだろうと思いますが、特にラストの流れは首を傾げざるを得ないものでした。



●憲法的見解では北は国ではない


ここから少しだけ難しい話を書きますが、実際、韓半島の南北統一は、常識や論理では決してできないと考えざるを得ません。


その理由はただ一つ、北がまともな国家ではないということに尽きます。現在の大統領は、北朝鮮相手に「国家間の対話」を主張してきたし、統一方案も、「南北の連邦制」を主張してきた左派出身者であるわけですが、「対話」も「連邦制」も今のままではとうていあり得ないし、あってもいけない理由は、ひとえに北がまともな国家ではないからです。


国民の基本的人権を保障しない政権、デモをする自由どころか、政治的発言一つで収容所に入れられ、旅行・移動の自由も、海外に行く自由もなく、宗教も持てず、法を犯せばすぐに公開処刑されるような国は、そもそも国の体をなしていません。「国家」とは国民の総意によってできるものですが、北の場合は金氏親子3代の軍事独裁によって、国民がまさに「人質」に取られているのと同じ状況なわけです。


まずはその状況を北が少しでも変化させ、国家として相対できるようになった時に始まるのが「対話」であるといえます。そういう意味では、現在、突然の北のオリンピック参加表明で、一気に南の大統領が「和解ムード」などといい出して、「対話」云々を論議しているのは滑稽なばかりです。


このことは実は、韓国の憲法にはっきりと書かれています。すなわち、第3条に「大韓民国の領土は韓半島とその付属島嶼とする」とあるとおり、憲法の主張は、本来、韓国の領土なのに、金氏政権が勝手に不法占領しているということなのです。それゆえ、北朝鮮を脱出してきたいわゆる脱北者たちは、何らの帰化の手続きもなく、そのまま韓国国民として扱われます。人質からやっと解放されてきた、憲法に保障された韓国人であるからです。


そのように、憲法的見地からも北は国ではないため、「南北の連邦制」などはそもそもあり得ません。事実、北朝鮮ができた過程こそが、左右の政治家の合議制のようにみせかけながら、連立する民主的政治家たちが、一人ずつ交通事故や謎の死や行方不明によって消えていくことで、最終的に、共産党体制だけになってしまったわけです。


かつての東欧の国々も、民主的なその「連邦制」状態から始まって、その後ことごとく共産化されていったのであって、そもそもが共産党一党独裁だけを認める共産主義思想のゆえに、「連邦制」などという民主主義的原則などは端からあり得ないわけです。



●難しい話を抜きにしてもお勧め!


そういう意味で、この映画が、北の最高権力者を、人民から尊敬され、守られるべき国家指導者のように表現し、北の軍部というまた別の悪をつくり出しては最大悪の位置をすり替えてしまい、北の政権の正当性を認定しながらの統一方案に望みを託していることには、大きな違和感を感じました。監督のこの前の作品が、盧武鉉大統領の若き日を描いた『弁護人』であるということも関係があるかもしれませんが、そこだけはどうしても心に引っかかります。


しかし、映画本編で何回か引用される、かつての西ドイツ首相ヴィリー・ブラントの「元来一つだったものは一つにならなければ」という言葉は、何より重要なメッセージであり、上記の韓国憲法第4条にも、「大韓民国は統一を指向し、自由民主的基本秩序に立脚した平和的統一政策を樹立してこれを推進する」とあります。そのように、現在の韓国国民が考える南北統一の一つの道を示そうとしたことは意味深く、真剣に考えなければならない問題として大きな価値がありました。


まさに2018年、今や真剣に南北統一を語る時代を迎えたことを示すための一本であったかと思いますし、以上の難しいことを抜きにしても、派手なアクションと、何よりチョン・ウソンさんとクァク・トウォンさんの演技は最高でした。お勧めです!♪ヽ(´▽`)/



【あらすじ】 北韓でクーデターが発生!北韓最高権力者が南韓に逃れてきた!


北におけるクーデター発生の直後、最精鋭要員オム・チョル(チョン・ウソン)は致命傷を受けた北韓最高権力者と共に韓国に下る。その間、北朝鮮は全世界を相手に宣戦布告をし、韓国は戒厳令を宣言する。この時、最高権力者が韓国に来たという情報を入手した外交安保首席クァク・チョル(クァク・トウォン)は戦争を防止するため、彼らに緊密な接近を試みるが…。























映画『鋼鉄の雨(강철비)』(ヤン・ウソク監督)予告編。

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