■怪獣がソウルの街破壊する“人生ディザスター”!≧∇≦)〃♪ | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


「私が世界を救わなければならないのかな?」


久しぶりに韓国映画以外の映画をご紹介しますが、先月観たカナダ発の怪獣映画(?)『コロッサル(Colossal)』(ナチョ・ビガロンド監督)です!アン・ハサウェイ主演で、ヒロインのある関係性によって地球の裏側のソウルに怪獣が出現してしまう、という話です。ソウルが出てくるので韓国映画の延長上にはありますよね。ヾ(≧∇≦)〃♪


スペインのナチョ・ビガロンド監督は、私は、2007年の 『TIME CRIMES タイムクライムス(原題:Los Cronocrimenes)』というB級タイムマシンSFや、2014年の『ブラック・ハッカー(原題:Open Windows)』というコンピューターのディスプレイ映像で構成された異色作で記憶しています。どちらもとても面白かったです。


ところで、「怪獣映画」とは書きましたが、実際に怪獣の出現シーンはほんの少しであり、それもほとんどが主人公がネットを通して見る地球の裏側での映像ばかりなので、ぜんぜんリアリティも追求されておらず、むしろそれは映画のおまけ、寓話やファンタジー的な部分なのであり、むしろ作品自体は別の所に中心があります。



●壊れた人格によるディザスター!


これは、怪獣は出てきても、怪獣映画ではなく、『プラダを着た悪魔』(2006)のアン・ハサウェイさんが主演でも、おしゃれなラブコメディなどではありません。これはまさに「落ちぶれた人間性」、あるいは「壊れた人格」による、“人生大ディザスター(災害)”映画なのでした!(((°`∇´°;)))


すなわち問題の核心は、主人公たちの「落ちぶれた人間性」、あるいは「壊れた人格」にあるのであって、地球の裏側のソウルで繰り広げられる怪獣による被害自体は、その「具象化」によるただのとばっちりなわけです。それで街が壊され、生活が台無しにされるソウル市民たちは本当にかわいそうなばかりですが、しかし、そういうことは実際にあるのであって、それはたとえば酒を飲んで意識が飛んだ後に、自分が怪獣となって周囲に大破壊を行っていた、ということに気づく、そのようなことのメタファーだろうと思います。あともう一つは、自分の中に潜む怒りや自己嫌悪のメタファーでもあるでしょう。


これはむしろ、2011年のシャーリーズ・セロン主演の『ヤング≒アダルト』や、2013年のケイト・ブランシェット主演の『ブルージャスミン』と同じテーマの、「ド田舎から都会に出て成功したように見えた女性が、結局、落ちぶれて田舎に帰ってくる映画」系の話なわけです。自己中心的で他者依存的なヒロインが、クリーンで格好よく成功した都会の恋人にふられてニューヨークから一気に田舎に舞い戻り、そこで子供の頃の同級生と出会って、最初は温情を受けるけれども…、という話の一つですよね。


ハサウェイさん演じるグローリアは、無責任で酒を飲んでは失敗してばかりなのに自らを統制できず、実際、自分が地球の裏側の怪獣出現と大勢の実際の人間の死に関係がある、と分かってからも、最初にやったことは故郷の友人たちの前でいたずらをしてみせることであり、それによってまた地球の裏側に大災害を巻き起こす、というどうしようもない「落ちぶれた人間性」の持ち主。まさにその時点では、彼女こそが怪獣的な存在なわけです。


しかし、その怪獣的存在は彼女一人ではないということが分かる、という形で、上記の定番映画とは違う流れへと流れていくようになります。もう一人の怪獣人間は、彼女よりもさらに一回り上手の、隠れた本当の最低人間であり、自分が惨めになることが決して許せずに、他人の傷を利用して生きるような劣等感の塊である、ということが次第に明らかになっていきます。まさにこの2人の出会いが起こす巨大なディザスター!それこそがこの映画のメインプロットであるということになります。♪ヽ(´▽`)/



●怪獣あきらめ怪物出現のメッカへ


ちなみに、怪獣シーンについてですが、本来は「怪獣出現のメッカ」としての東京での撮影を交渉したらしいのですが、いろいろあって結局、「怪獣」はあきらめ、「怪物出現のメッカ」(映画『グエムル』)であるソウル漢江(ハンガン)になったようです。だから、これは厳密には「怪獣映画」ではなく「怪物映画」なのだということになります。まあ、いろいろあったというのは、プロモーション時に、日本の東宝に無断で「ゴジラ」のような画像を出して宣伝してしまった、ということによる著作権侵害訴訟らしいですが…。


でも、すでに書いたように、この映画はあくまでファンタジー的引用としての怪獣シーンしか描いていないので、日本の東宝も、むしろゴジラに対するリスペクトとして受け取ればよかったものを、と残念に思います。まあ、本編での、韓国語がロクにできない「韓国人」によるソウルのシーンや、米国人が手書きで書いた変なハングルを見せられた時には、「私たちの日本でなくてよかった」という気持ちにもなりましたがね。(^ヮ^;)



【あらすじ】 ハサウェイ扮する主人公のグロリアは、職を失い、恋人と暮らしていたアパートも追い出されてニューヨークを去ることに。


故郷の町に戻ったグロリアは、ニュースで韓国・ソウルが巨大生物に破壊されている、ということを知った。しかもグロリアは、遠く離れた出来事と自分自身がなぜかつながっている、ということを理解するのだった。


怪獣の騒ぎが制御できなくなった時、ついにグロリアは、なぜ自分が世界の運命のカギを握っているのかを突き止めることになっていく…。



























映画『コロッサル(Colossal)』(ナチョ・ビガロンド監督)予告編。

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