■新年劈頭に家族で観た韓国ディザスター映画『パンドラ』! | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


ディザスター映画でありながら家族映画であるという、実に韓国的映画ですよね。
「消えることのない火~パンドラ」というのは原子力の両面性を表していてとても怖い言葉です。 


●自国に向ける厳しい警告映画


実は昨日の元日の午後は、妻と息子と3人で映画を観に行ってきたのですが、それが、現在まで400万観客を動員して上映中の韓国ディザスター映画『パンドラ(판도라)』(パク・チョンウ監督)ですね。ヾ(≧∇≦)〃♪


韓国釜山を史上最大の地震が襲うことで、日本と似た状況の中で恐ろしい原発事故が起こるという設定。もしもあの福島原発事故が韓国で起こったとしたらどうなったかという形で、韓国国民皆に原発の危険性と国家のあり方、国民のあり方を問いかける強烈な警告映画でした。


すなわち、世界でも韓国でも、東日本大震災における日本国民の秩序正しさは当時、繰り返し報道され、驚きと感動を呼びました。このブログにも紹介しましたが、『文化日報』などは「人類精神の進化を見せた」とも報道するような状況の中で、日本支援の大きな国民運動に拍車を掛ける力にもなっていたわけです。この映画はそのような記憶がまだ残る中で、特に災害前半部分の被害が広がる過程では、むしろ日本とは真逆に、考えられるかぎり最大限、韓国政府と韓国国民がひどい混乱状態に陥っていく姿を描いています。


そこで出てくる劇中の言葉が、「我が国民がこんな水準だったのか」という台詞です。当然、セウォル号の事故がいまだに現在進行中の韓国であり、政府においては大統領弾劾審理という大失態の真っ只中ですから、その言葉はあまりにも生々しく、事実、「現実のような映画、映画のような現実」などと評されています。むしろ現実のほうが映画を超えているし、フィクションであるこの映画のほうがそのまま現実であるように感じられるからです。


それゆえに私はむしろ、よくもここまで赤裸々に自国のあり方に警告を発する映画をつくったものだと感心しました。もちろん日本でも原発問題を取り上げた園子温監督の『希望の国』などがありましたが、原発事故がいまだに現在進行中であることや、日本のさまざまな雰囲気からいっても、ここまで露骨な自国に対する警告映画は難しいだろうと感じました。



●家族愛こそ韓国最高の「公」


韓国でもこの映画が、セウォル号事故や大統領弾劾に至った政治的現実について想起させながら描いているリアリティは同じであるのですが、そのような表現が韓国において可能であった理由は、この映画の主題でもある韓国人の「家族愛」でしょう。自らの家族を守るためには、すべての自尊心も建前もなくして、今すぐに深刻に考えなければならない、という無条件的な動機がそれを可能にしたと感じます。


劇中、ラストで大統領が政治力のない自身を反省して大きく変わるのは、その家族である妻の言葉でした。そしてキム・ナムギル演じる主人公が、自らの父を原発事故で失っているがゆえに、原発を憎み、そこから逃げたい思いの塊のようであったにもかかわらず、最終的に自ら国のために自己犠牲の道を選択していくのは、自らの家族に対する愛でした。


それは、災害前半で韓国人が無秩序な大混乱に陥る理由も、その行動原理が感情のみであるためですが、しかし、最終的に韓国人が最も犠牲的な行動を取ろうとするのも、自らの家族を守ろうとする愛情であるわけです。主人公の最後の家族に対する感情表現は、日本人にはちょっと理解しがたいくらい、原初的で大げさなものに見えるでしょう。しかし、韓国人にとってはそれ以上の「公」を立てた国家改革の原動力もない、ということを感じさせました。



●隣の女性の姿に見た韓国の情


映画を見ている最中、私個人の思いとしては、日本人として日本の報道を通して自国の原発事故の詳しい情報をリアルタイムで見てきたがゆえに、作品のフィクション的側面には素直に乗れないし、正直、科学的に突っ込みどころも多く、外国人の立場に立って感情移入することは難しかったのですが、しかし、映画が始まった後に、少し遅れて私の左に座った若い女性の姿を通して、何より感動を深く受け取りました。


その女性は、深くかぶった分厚いコートのフードを脱ぐこともなく、私たち家族がポップコーンやコーラ、コーヒーなどを口にしながらゆったり見ているのと対照的に、最初に座ったままの姿で微動だにせずに映画を見ていたのですが、後半になってひどい災害シーンになると、いちばんひどい爆発シーンでは両手で両耳をふさいで伏せてしまったのです。そして、主人公の家族との感情のやり取りが続く間、ずっとフードを深くかぶりながら、延々と嗚咽しながら映画を見ていました。「ああ、これこそが韓国人の感情の世界だなあ」と思わざるを得ませんでした。


もちろん、それ以外の人も皆、泣いていましたし、私の右側では我が息子も涙を拭いていました。その向こうの妻は見えなかったけれど、映画が終わった後に、「泣いたか」と尋ねると、「当たり前じゃないか!」と怒られてしまいました。キム・ナムギルさん演じる主人公の、ここまでかと思うほどのあまりに人間的な姿を通して、韓国人の情を中心に観ていくこともいいかもしれません。(もちろん私も泣くことは泣きましたよ…)(´ぅ_ ;`)

























映画『パンドラ(판도라)』(パク・チョンウ監督)予告編。

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