■行方不明者家族の心に寄り添うボランティアの思いやり | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

行方不明者家族の待機所で黙々と床掃除をするボランティアたち。一挙手一投足に気を使っている。



事故発生からほぼ1月になろうとしてますが、韓国では、先日、日本の瀬戸内海地域で行われた、1955年5/11の紫雲丸沈没事故60回忌の行事の様子がテレビのニュースなどで報道され、日本では半世紀以上が過ぎても事故を教訓としながら子供を教育し、安全対策に活かしているとしながら、日本に見習うべきという論調が盛り上がっています。



●「最後の一人が家族を見つける時まで」


珍島の彭木港では、今もまだ、28人の行方不明者たちが待たれており、その家族たちが待機する体育館では、多くのボランティアたちが変わらぬ姿勢で物心両面の支援に取り組んでいるということです。


以前、このブログで、犠牲者の遺体を赤ん坊をお風呂に入れるごとく丁寧に清める納棺ボランティアの思いやりを紹介しましたが、『朝鮮日報』によれば、黙々と支援に当たるボランティアたちは、何より行方不明者家族を思いやる心を優先し、言葉や視線、歩み、しぐさなどに気を使って「食事は膝を突くよう身をかがめてお勧めする」、「足音を立てない」など、自ら厳格なルール定めているということです。決して先に声を掛けず、洗濯物を集める時も「洗濯をしてさし上げます」と書いた板を掲げて回るだけなのだそうです。


5/8の「オボイナル(父母の日)」には、ボランティアたちの間で、「黄色いカーネーションをプレゼントしてはどうか」という声も出たといいますが、「逆に家族を悲しませる」として実行には移されず、また、ある行方不明生徒の母親が、ボランティアの大学生を見て「息子によく似ている」といって泣き出したことがあったため、ボランティアの年齢を25歳以上とする制限も設けたそうです。


現場に派遣された30人以上の女性警官も、何より家族たちの心に寄り添って、家族が座り込んで泣き出すと一緒に泣き、ずっと肩を抱いて涙を拭いてあげているそうです。また疲れがたまり切った家族たちにマッサージを施す、目の不自由なマッサージ師ボランティアも活躍しているということです。


『聯合ニュース』によれば、大邱から来たボランティアのキム・ジョンソクさん(43)は、「まだ家族が行方不明で残っている方々のことを思えば、言葉が出てこない。明日の昼は体にいいアワビのお粥をつくってさし上げる予定」だといい、4/18からずっと自家用車で寝泊りしていながらも、「最後の一人が家族を見つけて立ち去る時までご飯をつくってさし上げたい」と腫れた唇で話したそうです。



●「代理トラウマ症状」抱えるボランティア


しかしいっぽうで、『東亜日報』によれば、そんなボランティアたち自身も、何より不明者家族たちの前で自分の痛みを表現できずにのみ込み続けるため、心身にダメージを抱えては病院を訪ねるということになる人が多いとのこと。ボランティアのAさんは、18日間の奉仕の果てに、食事を取れなくなり、放心状態が続いて結局、入院したということです。


実際、悲しみに打ちひしがれる行方不明家族を心配することで、自ら自身の心身が疲れていっていることに気づけず、またどんなに疲れても、それを表現してはいけないという二重の負担を抱えているということ。『文化日報』によれば、ボランティアのチェさん(32)は「遺体が収容されたという言葉を聞くと手が震え、また収容の知らせがない時には胸が苦しくなって息がつまる感じがする」という状況なのだそうです。


相談心理学のキム・ワンス教授によれば、「ボランティアたちは、行方不明者家族の悲しみと苦痛に反復的にさらされることによって、代理トラウマ症状を抱えるようになる」とし、「家族たちと同じ外傷後ストレス障害はもちろん、不安障害を抱える危険もある」として、彼らもまた心理治療を受ける必要があるとしています。


いっぽうで、今は、韓国の国民皆が、ある種のストレス状態にあるともいえると思いますが、人気音楽番組『ユ・ヒヨルのスケッチブック』では、作曲家のユ・ヒヨルさんが追悼曲『オンマの海』を公開して話題です。犠牲者の魂と共にこの事件で傷ついた人々皆のために、「憂鬱で苦しくて眠れない時、心が平穏になるオンマの懐を描いた慰労曲です。少しでも皆さんの慰めになることを願います」と伝えています。本当に題名のとおり、心が安らぐとてもいい曲ですね。(→クリック



悲しみを抑えながら、静かな涙で表現するボランティアたち。



ボランティアたちの心的ストレスもこれから治療の対象にならなければならない。



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