■北の地下教会の実態描いた恐ろしい映画!(>_<) | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


「最も暗い所で花開いた希望」と書かれてはいますが。


●「脱北者」の証言元に惨状を告発


これは先月観た映画なんですが、ちょっと紹介するのに決意が必要でためらっていました。北朝鮮におけるキリスト教徒への恐ろしい拷問や、14万人とも、20万人とも推定される“隠れキリシタン”の地下教会の実態を、実話に基づいて描いた『神が送った人(신이 보낸 사람)』(キム・ジヌ監督)です。


2/13から全国221の映画館で上映が開始されましたが、途中、話題が広がってチケット売り上げが7位に浮上すると、1週間後には上映館数が285に増やされもしました。


そういう話題性に加えて、人気のコメディ俳優であるキム・イングォンさんが主演であることもあり、それなりの映画的演出などを期待しながら観に行ったんですが、あまりにもそのままの悲惨な話で、胸が痛いのを通り越して具合が悪くなったことを覚えています。でも知るということが何よりも重要であるため、観たことは本当によかったと思いました。


「脱北者」たちの証言を元に、その迫害の惨状、人権問題の実態を告発しているわけですが、残念ながらそこには何の救いもありません。オープニングから、キム・イングォンさん演じる「チョロ」が夫婦でひどい拷問を受け、若い奥さんが拷問されながらもずっと聖句を唱え続けるので、夫に対する見せしめのために、妊娠している子宮に焼きごてを入れられるシーンから始まります。


全体を通して咸鏡北道のある村にある地下教会が一つ抹殺されるストーリーです。実際、北にも表立った教会はありますが、西洋メディアに、まるで信教の自由があるかのように見せるための偽の教会であり、そこでは北の現体制に対する讃揚だけが行われています。それ以外には、あくまでも「イエスジェンイ(イエスを信じる奴ら=キリスト教徒)」であるということが分かれば、死が待っているということが描かれています。



●「保恵師」を待ち望む北の信徒たち


エンドロール中に、実際の拷問を隠し撮りしたシーンや、家庭で金日成、金正日の写真を取り外して床に伏せ、礼拝を捧げるシーン(映っている人はすでに殺されているという)、「主よ!」と叫びながら殺されていく銃殺刑のシーンなど、実際の映像が流れたのですが、特に北朝鮮のおばあさんが、息を殺して捧げる実際の祈祷の録音が胸が痛くて涙を誘いました。北朝鮮の首都・平壌はかつて“東洋のエルサレム”と呼ばれたほどのキリスト教が盛んな都市でした。このようなおばあさんなどはその頃から現在まで耐え続けてきているはずなわけです。


おばあさんは、「父よ、今や教会が皆、崩れてしまいました。今や羊(信徒)を売り飛ばし、牛を売り飛ばす、教会が崩れたこの時に、父よ、もう一度、神霊と真理の体となる教会を生き返らせようとされる今日、どれほどたくさん殉教しましたか…」と祈り、こみ上げるものを抑えて涙声になりながら、「父よ、父よ、薄氷を踏むような地です。薄氷を踏むような地です。父よ、父の体となる教会に、血によって殉教の血の子孫たちが今日、皆、生きています。父よ、復元してくださり、役事してくださる主の『保恵師』が現れるということを知っています」と切実に天に訴えています。


この「保恵師」というのは韓国での訳ですが、聖書のヨハネ伝にある言葉で、ギリシャ語では「バラクレイトス」であり、助け手、弁護人を意味しています。イエスがいよいよ信徒の元を離れて十字架につくという時に、「私はあなた方を捨てて孤児とはしない」といいながら「私は父にお願いしよう。そうすれば、父は『保恵師』を送っていつでもあなた方と共におらせてくださるであろう」(ヨハネ伝14章)といったのがそれです。


イエスはさらに「人々はあなた方を会堂から追い出すであろう。さらにあなた方を殺す者が皆、それによって自分たちは神に仕えているのだと思う時が来るであろう」と予言しながら、「あなた方の心は憂いで満たされている。しかし、私は本当のことをあなた方にいうが、私が去っていくことはあなた方の益になるのだ。私が去って行かなければ、あなた方の所に『保恵師』は来ないであろう。もし行けば、それをあなた方に使わそう」と約束するわけです。



●信仰のゆえに再び北に戻る脱北者も


冒頭で妻を殺された「チョロ」は一度、中国に「脱北」しますが、「神の啓示を受けた」といってもう一度故郷に戻り、地下教会に姿を現します。まさに「神が送った人」、「保恵師」のようであり、この映画の英語名である「APOSTLE(使途)」のようでもあります。


ところが、皆を勇気付けながら船で「脱北」して韓国に逃げることを勧める「チョロ」に対して、彼の言葉を信じる人もいますが、彼が嘘をついているといって、この環境を捨てて逃げることはキリストの願いではないということをいう人も現れます。「南朝鮮が本当にカナンの地(約束の地)なのか?」という最も大きな問いがここで生まれます。


実際、信じられないことですが、苦難を乗り越えてせっかく「脱北」しても、信仰のゆえに再び北朝鮮に戻って、その地での信仰を貫くために、地下教会を営む人が多いというのです。


かつてのローマの迫害時代や、ソ連や中国での地下教会も同じだろうし、あるいは、日本による韓国の植民地時代の神社参拝強要も同じなのでしょうが、信仰というのは、そういう、自らの心に正しくあろうとすることであるために、たいへんな苦難の闘いでこそあるのだということを考えさせられました。


果たして彼は本当に題名のように「神が送った人」だったのでしょうか。彼はどのようにすべきだったのでしょうか。そして私たちは何ができるのでしょうか。これらの問いはこれから真剣に考えていかなければならないものだろうと思います。

























『神が送った人(신이 보낸 사람)』予告編。


映画の背景を紹介した映像。おばあさんの祈祷も最後に入っています。

☆。.:*:・'☆'・:*:.。.:*:・'゜☆。.:*・'゜☆
韓国情報ランキングに、現在参加中です。
ブログランキング
↑上のバナーをクリックするだけで、一票が入ります!
更新を願って下さる方は、よろしくお願いいたします。