■韓国で「脱北者」の方々と接して感じること! | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

『容疑者』の主人公のような「脱北者」はいない…。(^^;)



●オリジナル韓国人に近い印象の「脱北者」


「脱北者」を主人公にした映画『容疑者(용의자)』を紹介しましたが、私も文化交流という仕事上、韓国に入国した「脱北者」の方々と会うことが多く、実は一昨日も大きな「脱北者」団体の会長とお会いしてお話をしたばかりです。


韓国には全国で3万人近くになる韓国在住の「脱北者」の方々がおり、それをまとめる団体が、実際、両手の指で足りないほどあります。それぞれの出自が違い、事情が違うため、全体で一つのまとまるということは難しいようです。


昨日紹介した『容疑者』では、何か皆、怖~い特殊要員たちのように描かれていた「脱北者」ですが、実際にはそのほとんどが生活苦のために北を逃れてきている方々であり、その印象はかなり違います。実際、韓国に入国はしたけれど、定着や生活に大きな困難を抱えて、第3国に移住するしかなくなるケースも多くあるといいます。もちろん、「脱北者」出身の国会議員が誕生したのをはじめ、医師も統計上9人いますし、大学教授もいますが、そのように社会の上層に入り得るケースは極少数に限られます。


しかし、「脱北者」の方々と話をすると、私自身が感動を受けるのが、彼ら、彼女らはむしろ私が知っているオリジナルの韓国人、最も韓国人らしい韓国人に近い印象だということです。私が1980年代に初めて韓国を訪れて出会った、「情」の塊のような方たちが多く、何よりも家族の絆が、今の韓国人よりもはるかに強いということに驚きます。おそらく、時間が止まったような北朝鮮において、この国の古きよき文化が保存されているという状況なわけです。逆にいえば、「脱北者」の方々の多くが、今の南の国民たちの「情」が薄いということに傷ついているわけですよね。


現代の韓国が、彼らの本当の受け皿になるには、まだまだかなり大きな意識革命が、この国の国民に必要であるといえます。そのため、実際の「脱北者」の大半は、中国や東南アジア諸国など、韓国以外の国に多く暮らしていて、その全体数は実に数十万人といわれているわけです。



●韓国男性と「脱北者」女性との結婚が増加!


いっぽうで最近の韓国では、南の韓国男性と北の「脱北者」女性との結婚が増えている、という心温まるニュースもあります。北の女性たちは、女性の身で定着のために南の男性との結婚を願わざるを得ないわけですが、韓国男性たちにとってもまた、家族愛が強い北出身の女性たちが魅力的に見えるのではないかと思います。現代の韓国で、未婚化、晩婚化が進んでいる理由には、何より南の女性たちが経済的自立と共に個人主義化してしまっている、ということがあるからですよね。


また、だんだん草食化しているともいわれる今の韓国男性たちの傾向からも、北の女性たちの、何としても夫と子供たちを食べさせようとする強い生活力と家族愛が頼もしいに違いありません。さらに北の女性たちもまた、南の男性たちが「優しい」ということが魅力なのだということです。北朝鮮の男性たちが家事などを手伝ってくれるということは夢にも願えないからなのだそうですが、なんか、このように書いていて気づいたのは、これは往年の日本人男性&韓国人女性カップルの関係とも少し近いものがありますよね。(^^;)


韓国が現代に至ってだんだん失ってきた伝統価値を「脱北者」の方々に見出すという事実は、けっこう悲しいことでもありますが、でも互いに与えるものがあってこその南北の統一だと思いますので、そのようなこともまた統一の未来のための希望なのかもしれません。


今年初めに韓国で「統一大当たり」論が出てきた時期と、映画『容疑者』が上映された時期が、ちょうどタイミング的に重なっていましたが、『容疑者』の映画では終盤に南北関係における進展を描く感動的な展開もあって、韓国社会の雰囲気が統一期待論に傾いていることとその展開が無関係ではないと思えたものです。


この国が何度も映画やドラマにして、その悲劇を確認しているような南北の分断状況ですが、一日も早くそれが過去のこととなって、時代劇の中にだけ出てくる歴史の記憶にだけ落ち着いてくれることを、切に願ってやみません。



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