■26年間の思い爆発させた大韓民国現代史“ファクション”! | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

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昨年末に公開された胸痛い“ファクション”作品『26年』。


●娯楽作品化が難しい現代史


韓国の近現代史は、あまりにも悲しいその現実ゆえに、まともな娯楽作品にはなりません。


あまりいい作品がないように感じるのは、現在までその傷跡がありありと生き残っていることが引き起こす、その娯楽性の無力化によります。たいていはイデオロギー的に右か左の立場を取りすぎて、全体がリアリティを失い、これ以上ないほどつまらない作品になってしまいます。


ところがそこに、明確なフィクションの要素を加味することで、「現在による歴史に対する復讐」という構図を用いて、逆にリアルで、かつ胸高鳴る娯楽作品とすることに成功したのが、昨年末公開の、この『26年』(チョ・グヒョン監督、2012年)だろうと思います。


このような歴史的事実に想像力を加えたジャンルを、「fact」と「fiction」の合成語で“ファクション”といいますよね。昨年の作品の中で、私自身かなり面白く観たし、いまだに1シーン1シーンが忘れられない、記憶に残る作品となっています。


全体の娯楽的要素を成立させるためにも、実際の歴史的事件の悲しみを表現しなければならないわけですが、それはオープニングに、わざと雑な絵による15分のアニメーションとして挿入されています。アニメーション化することで何とかそれを記号化して乗り越えようとしていますが、しかし、それでも歴史の記憶に新しすぎるため、そのアニメの部分はいやがおうにもこの映画の中で最もリアルなシーンとなっています。



●「5・18」に何があったのか


この映画が扱っている歴史的事件とは、「5・18光州民主化運動」です。1980年5/18~27、全羅南道と光州の市民たちが時の全斗煥大統領に対し、「戒厳令撤廃」と「全斗煥退陣」、「金大中釈放」などを要求して起こしたデモです。


そもそもが軍事クーデターによって立った朴正煕大統領が、前年度10月に暗殺されたわけですが、その後その混乱を掌握したのも、さらに全斗煥、盧泰愚という新軍部勢力による再度の軍事クーデターでした。


金大中氏をはじめ民主化闘士を投獄し、「戒厳令」を宣布して言論を統制、再び軍事統治を始めたその動きに対して、国民の不満は全国的に爆発しましたが、各地でデモが起こるや、全国各地に「戒厳軍」が送られ、それがこの南の外れ、光州の地で最大の悲劇を起こしました。


そもそも各地でデモを起こした主体は、いわゆる北朝鮮の影響を受けて左傾化した学生たちではあるわけですが、デモをする学生たちに対する戒厳軍の暴力に、義侠心が厚い光州の市民たちが怒って共に抵抗するようになると、軍による暴力は市民たちにまで及ぶようになり、ついに市民と軍の衝突となって、158人の死亡者を出す悲劇的事態になってしまいました。



●家族となった「光州の子供たち」


この映画は、その現場でほぼ無関係の市民として亡くなった家族に対する恨みを持つ3人の遺族を引き連れて、その時に加害者として戒厳軍の一人だった人物が、自らの贖罪のために、現代における全斗煥大統領に対する復讐作戦を繰り広げるというものです。


「26年」とは彼らが生きてきた苦しみの年月のことです。その抑鬱した思いを、フィクションのアクション映画として昇華し、爆発させることに成功した、そういう意味で、私は何らの政治的見解を抜きに、この映画に拍手を送りたいです。見ている間、ずっと彼らに共感することができたし、その闘いに拍手を送りたくなったからです。


ちなみにですが、劇中の全斗煥元大統領の「若い人は私によくない感情があるようだなあ。私にやられてみたこともないのに」という言葉は、実際に本人がマスコミに対して語ったリアルな発言として有名ですよね。(((°`∇´°;)))


親や兄弟を亡くし、失意と精神的後遺症のうちに悲惨な26年間を生きてきた「光州の子供たち」が、慰霊奉安所の中の死んだ家族の写真を共に見上げながら、絆を感じ、同じ思いによって結びついた家族のように互いを思いやる世界が涙を誘います。特にチン・グさんとハン・ヘジンさんの演技、その間に交わされる、男女の愛を超えた美しい共感が胸に残ります。また、ふつうにアクション・スペクタクルとしても充分、お勧めです!



【あらすじ】 「絶対に忘れてはいけないあの日」、再びよみがえった1980年5月18日、光州の悲劇、そして26年後。虐殺の主犯「その人」を断罪せよ!歴史的事実に果敢な想像を加えたファクション!!


光州守護派中間ボスクァク・チンベ(チン・グさん)、国家代表射撃選手シム・ミジン(ハン・ヘジンさん)、西大門所属警察クォン・ジョンヒョク(イム・スロンさん)、5.18民主化運動犠牲者二世という共通分母を持った3人が一所に集まった。彼らを呼び集めた保安業界大企業会長キム・ガプセ(イ・ギョンヨンさん)とその秘書キム・ジュアン(ペ・スビンさん)の提案は、まさに「その人」をターゲットとした極秘プロジェクトである。



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『26年』予告編。


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