年末も近づいて、そろそろ韓国の今年の映画について振り返っているわけですが、観て時間があまり経っていないということもあり、今年、断然、カッコよかった映画として、心に残っている韓国映画がこの『最終兵器 弓』です！
観客動員700万人を突破し、興行成績でも大きなヒットを飛ばした、パク・ヘイルさん主演の、カッコいいアクション時代劇！監督は、やはり同じくパク・ヘイルさんの主演でとてもいいミステリー映画『極楽島殺人事件』（2007）を撮ったキム・ハンミン監督。
悪役はこれまた、有無を言わせない無敵極悪型俳優のリュウ・スンニョンさん。最後に、パク・ヘイルさんの妹として兄の愛を一身に受ける幸運のヒロインは、『姫の男』のムン・チェウォンさんという感じです。とにかく、全体を通して、登場人物の感情表現が絶妙で、その思いを伝える一つひとつの演技と演出に魅了されます。
舞台は、1636年12月から翌年の1月まで続いた、清による朝鮮侵略である「丙子胡乱（へいしこらん）」。私たちは韓国について、豊臣秀吉の朝鮮出兵など日本からの侵略という話は知っていますが、こういう中国やモンゴル、契丹などからの侵略については逆によく知りませんよね。
17世紀、儒教の宗主国として仰いでいた明が衰えて、代わって台頭した後金が、親明国家だった朝鮮に侵攻、この1636年には後金の王が自らを皇帝として、国号を「清」とし、朝鮮に対して服従を要求するわけですが、王の仁祖はそれを拒絶、怒った清は10万の兵を率いて侵攻し、避難していた王をつかまえて、土下座をさせて屈服させるとともに、朝鮮の人民50万を捕虜として連れていき、奴隷として売りさばくということが起こった屈辱の戦争なわけです。
物語は、無辜の民が捕虜となって連れていかれるさなかに、それに対抗して偉大な功績を挙げた朝鮮最高の“神弓”があったというもの。しかもその弓から放たれるのは、ただひたすら、捕らえられた一人の妹を救い出そうとする兄の決死の矢であった、というのですから、もうそれだけで感動です。
実際、パク・ヘイルさんの少し悲しそうな、見開かれた目って、ちょっとどこか神がかった感じですよね。だからミステリーとかにぴったりなわけですが、今回はそれがずっと愛する妹を守るために見開かれ続けているわけですから、これはもう、その瞳に釘付けになって胸高鳴らざるを得ませんよね。
妹を助けに敵陣に乗り込んでいう一言、「すまない、遅くなって」。カーッ！日本映画『涙そうそう』を見たことがある人は、ここで海に向かって「にいいにいいいいっ！」と叫んでしまうことでしょう！(((°｀∇´°;)))
オリンピックのアーチェリーで長くメダルを独占してきた韓国であるから、あり得るような話にはなっていますが、まさに映画の中の主人公の弓のシーンは“神がかり”というしかないような場面ばかりです。そしてラストの一戦は、西部劇以来の名対決シーンとして映画史に残る、「弓」対決シーンとなっています。ちなみに、私は長く、韓国人が「脈」を読むということが得意で、アーチェリーやゴルフ、サッカーのシュート、はたまたカーリングなどが上手なんだといってきたわけですが、この戦いで最後に主人公がいう一言は、ある意味、その認識をも覆すものでした。
愛する人を守る、真の男の技に涙したいすべての人たちに、お勧めです！ヾ(≧▽≦)ノ"♪
【あらすじ】 逆賊の子孫での朝鮮最高の“神弓”ナミ。唯一の血縁である妹ジャインの幸せだけを願いながら生きていたが、ようやく向かえたジャインの婚姻の日に、清国の精鋭部隊“ニル”の襲撃によって、ジャインと新郎のソグンが捕虜として捕らわれてしまう。ナミは、父が残してくれた弓だけを手に、清軍の心臓部にはばかることなく突撃していくが…。
飛んでくる方向を予測できない“曲射”という神技を使うナミと、すさまじい破壊力を持つ六両矢を使う清のジュシンタ。敵の心臓を貫くことができなければ自らが死ぬ！運命をかけた史上最大の弓戦争が始まる！
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