[映評] スリリングでコミカルな二人の世界へ | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!
昨年公開された映画『죽이고 싶은(殺したい)』。


韓国語で「몰입도」、「没入度」というが、その3文字こそが韓国映画の底辺を高く頑丈に底上げしてる、文字通りの底力なのではないか、と思う。


私にとって、明らかにいくつかの韓国映画は、テーマよりも演技よりもストーリーよりも、ただその「没入度」一つで、忘れられない大切な作品となっている。


この映画『죽이고 싶은(殺したい)』も、その刺激的題名やスリラーというジャンル、ラストの「どんでん返し」やなぞの解明など、よくできた映画的な約束事がほとんど関係ないくらいに、俳優の存在感による「没入度」が連れていってくれる「向こうの世界」が魅力的な作品だ。


おそらく、日本なら演劇にしかならなさそうな、狭く、制限された脚本を、映画としての「世界」にまで広げることができる演出力、それこそが韓国映画の目に見えない底力だと思わせてくれる。


監督は、チョ・ウォニとキム・サンファの二人、出演はチョン・ホジン、ユ・ヘジン、ソ・ヒョリムによる昨年の作品。自分の記憶だけを真実だと信じて、最後は互いを狂ったように殺したがるようになる二人の男の闘いが、限定された病室空間の中で展開する。しかも二人は四肢を思いのままに動かせない重症患者。スリラーではあるけれど、大半は演技派の二人によるコメディ的なやりとりの中で進んでいく。思ったほどエグくはない。お勧めである。



【あらすじ】 死にたかっただけの男、本当に殺したい奴に出会う!


暇さえあれば自殺を試みる男ミノ(チョン・ホジン)。脳疾患と絶え間ない自殺の試みで、病院に長期入院中の彼の病室にサンオプ(ユ・ヘジン)がやってきた。一生かけても探し出して、必ず自分の手で殺したかったあいつ!記憶喪失と全身マヒで全身傷だらけの姿で入院してきたが、決して見逃してやるわけにはいかない。「奴」を殺すためには、どうにか生き延びなければならない。


ある日、目を開けてみると病室に横になっていたサンオプ。自分が誰なのかも分からないまま、全身マヒで身動きもできずに横になっている彼の横のベッドに、冷酷な目でにらんでくるミノがいた。同じ患者なのに、なぜか目障りな奴。夜ごと誰かがリンチを加えるのか、毎朝起きると頭が痛く、身体の節々が疼く。徐々によみがえる記憶の中で、彼もミノに対する敵愾心がいっそう大きくなっていくが…。


一歩も引くことができない二人の男の奇想天外な決闘が始まる!



韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!
ほとんど演劇仕立ての狭い脚本が、演技と演出で広い「世界」を展開する。



韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!
最近ではドラマ『シティーハンター』でも好演中のチョン・ホジン。主人公二人の演技は基本コミカル。


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