■心にいつまでも流れ続ける川のせせらぎ | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

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イ・チャンドン監督の『詩』(2010)を観ました。


実は、もっとずっと前に観たのですが、なかなかレビューを書く決意ができませんでした。


この作品は、第47回大鐘賞で「2010年最高の映画」に選ばれた、名実共に2010年を代表する韓国映画です。でもそういう年号で記録されることに意味を持たない、イ・チャンドン監督の作品でもあります。


イ・チャンドンの監督の作品は、『ペパーミント・キャンディー』(1999)にしても、『オアシス』(2002)にしても、『蜜陽』(2007)にしても、まず印象に残りすぎて困ります。映画の美しい場面があまりにも、意味を持たされて印象に残りすぎる。今回の作品では川の水の流れる場面です。それが、ちょうど『蜜陽』のラストで、日が当たる庭の隅っこが印象に残り続けたように、いつまでも私の中で音を立て続け、流れ続けて、何度でも思い出してしまいます。


だから、その場面が少しずつ私の中で熟するのを待っていたのだろうと思います。ふつうの日常のショックな出来事のように、自然に自分の中で答えが出るままに任せたかったのかもしれません。


この映画は、詩を書きたい一人のハルモニ(おばあさん)、ヤン・ミジャさんが、詩を書き上げるまでの話です。「ヤン・ミジャ」という名前は、漢字にすればおそらく「梁美子」で間違いないだろうと思います。日本人の名前のような「子」がつく名前はこの年代の方のものです。


そのおばあさんにその短い間に起こったことが、あまりにも胸が痛くて困ります。でもその中でも、ミジャさんが、とてもおばあさんとは思えない、かわいらしい目を持ち、かわいらしい心を持っているので、それがますますつらくて困ります。この人はたぶん、少女の心のまま、アガシになったことも、アジュンマになったこともたぶんないまま、それらの年齢にたくさんの痛みを経ながら、妻として、母として、そしてハルモニとして成熟してきたのだろうと思います。


そのことにただ涙が出そうになります。人間というものにただ涙が出そうになります。それは、自分の母のことを思うからかもいれないし、祖母のことを思うからかもしれません。そんな話でした。


そうでありながら、とにかく胸に残ってしまうので、それが何であるのか、そこに起こったできごとやラストシーンに、何かとてつもない意味がありそうで、その答えを一生懸命探ってしまわざるを得ないことがつらい、そんな映画です。


まさに、目や言葉ではなくて胸で見る映画、すなわち、イ・チャンドン監督の作品だった、ということですね。


主人公のユン・ジョンヒさん(67)は、この作品で16年ぶりにスクリーンに復帰して、当代のそうそうたる女優たちを尻目に主演女優賞に輝き、同じく実際に言葉も不自由なまま出演した老男優キム・ヒラさん(64)も、助演男優賞に輝きました。その演技を観るだけでも、充分に観る価値があるでしょうね。



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