大島です。遅ればせながらですが、2018316日の読売新聞朝刊のくらし面(全国面)で、きずなメールを取り上げていただきました。

 

切口は「安心の子育て」。シリーズの第7部「楽しくはぐくむ」の中で、親子のリアルな交流の場の紹介に加えて、「親子向けの施設があっても自分から出かけられる親ばかりではない」状況へのきっかけづくり例として、LINEやメールでつながる「きずなメール」を取り上げて下さいました。

 

僕らが目指すのは、「コンテンツで子育てを支える」「コンテンツで人と人との間をつないでいく」こと。だからこういう取り上げ方はとてもありがたい。感謝。団体としての発信力が小さいので、「情報発信」と受け止められがちな「きずなメール」の事業ですが、僕らが目指すのは「コンテンツによる地域のきずなづくり」であり、本質的には「新しいコミュニケーションの形」であり、その向こうには「オンラインネウボラ」や「切れ目のない支援」や「乳幼児虐待予防」や「孤育て予防」など、複合的な可能性が広がっています。

 

「きずなメール」コンテンツは現在、34の基礎自治体で活用いただいています

 

そんな自治体事業について、このブログ記事が、思いのほかPVが多くて驚いています。

 

自治体の「子育てアプリ」について


ニーズがあるようなので、さらに踏み込んで書いてみます。


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①すでに「子育てアプリ」を使っている自治体の方へ

 

自分の市の、子育てアプリの「アクティブ率」はご存知ですか?

 

上記の記事でも書いている通り、アプリは、ダウンロードしてもらっただけではダメで、常に起動して使ってもらわないと、情報が伝わりません。その目安が「アクティブ率」。

 

「きずなメール」をアプリに組み入れると、市民とつながり続けることで、高いアクティブ率を維持できる可能性があります。実際に、東京都墨田区の子育てアプリで「きずなメール」コンテンツを組み入れて活用していただいています。

 

すみだ子育てアプリ

 

子育ては、地域とのつながりや家庭内はじめ身近な人たちとのつながりで、大きく変わるというのが、2児の父としての僕の実感です。こうしたアプリでも、きずなメールの活動の根底にある「ひとりではない」「ひとりで子育てしなくていい」というメッセージを伝えることができれば思っています。そんな中、子育てアプリは、ダウンロード数ではなく、高いアクティブ率を獲得することで初めて、行政と市民が切れ目なくつながり続けることができます。


アプリではないですが、予防接種スケジューラーのシステムにも組み入れて活用していただいている自治体もあります。
 

 

東京都中央区「母と子の健康モバイルサイト」

東京都八王子市「子育て情報モバイルサイトはち ベビ」

埼玉県本庄市「子育て応援モバイルサイト」

神奈川県大和市 らくらく予防接種(大和市予防接種情報提供サービス)

埼玉県富士見市 「子育て応援情報モバイルサイト スマイルなび」

 

他社のアプリやシステムに組み入れられるのも、きずなメールがコンテンツで社会課題にアプローチする活動あり、「情報発信」はあくまで機能の一部だからです。

 

予防接種スケジューラーも、多機能は目指さずに、「予防接種の数が多くてスケジュール管理が大変」という子育て世代の抱える困りごとのひとつに焦点を当て、その解消というシンプルな目的でつくられたサービス。きずなメールは「子育て中は“つながり”が大事。だから読んでもらうことでつながりつづける」とシンプルな目的。シンプルな目的同士の両者だからこそ、相性がいいのかもしれません(^^)

 

目的がはっきりしているサービスは、ぶれない。

 

次の話にもつながりますが、子育てアプリを作るときに迷ったら、何度でも「つくる目的」に立ち返るのがいいですね。

 

                                         

②アプリなどの導入を検討中の自治体の方へ

 

アプリが難しいのは、前述の記事の通りですが、さらに見逃してはならない事実が2つあります。

 

アプリのOSは現在、事実上「iOS」(iPhone)と「Android」の2つ。これらのOSがバージョンアップされると、アプリもOSに合わせてバージョンアップが必要です。すると、そのたびに改修にお金がかかる。つまりランニングコストが読めないのです。

 

もうひとつ。いわゆる母子手帳アプリなどの「記録アプリ」にも注意が必要です。

 

「母子手帳アプリ」は「母子手帳がクラウド化して、震災などの時に役立つ」というイメージがありますが、先の震災時にこれが上手くいった事例は僕が知る限りわずかにひとつ。その後一般化していないので、やはり大きな課題があるのでしょう。

 

そもそもなぜ「母子手帳」が日本でこれほど定着したか。諸説ありますが、僕は母子保健法で16の影響が大きいと見ています。

 

母子保健法16条の2 

妊産婦は、医師、歯科医師、助産師又は保健師について、健康診査又は保健指導を受けたときは、その都度、母子健康手帳に必要な事項の記載を受けなければならない。

 

つまり、「専門家の記入」が義務付けられているから、記録されるし、信頼性も担保される。

 

ユーザー(母親)が自分で記録することの難しさもあります。例えば、最初の健診は生後1週間や1か月。予防接種は殆どのお子さんが生後2か月の頃に始まり、どちらも母親自身に余裕が無い頃だと推測されます。アプリに自ら記録するのはその元気がある人か、ITリテラシーが高い人では無いでしょうか。

 

FacebookTwitterLINEも、ユーザーにアプリを起動してもらって、何か書き込んだり、利用してもらうために、何千、何億というお金をかけて工夫をしています。

 

これから「記録アプリ」を作る場合は、「誰でも操作がしやすいこと」「予防接種はスケジュール管理が楽になるような仕組みがあること」等、工夫が必要ではないでしょうか。

 

とはいえ、こうしたアプリにも、「きずなメール」のコンテンツを入れると、ユーザーが毎日アプリを起動して、そのアプリを利用することを習慣化することができます。

 

③「アプリ」以外の選択肢は?

 

ではアプリ以外なら、何がいいのか。いまのところ僕の中では、LINEです。理由は下記で詳しく紹介しています。


LINEと自治体が本気で組んだら、子育ての強力なライフラインになる!という話。
「LINEで子育て支援」の時代が到来。

 

もうしばらくしたら複数の自治体で、LINE版きずなメールの配信も始まります。それでも僕は、LINE社の回し者ではありません(笑)。LINEは事実として、子育て世代に広く深く普及していて、しかも自治体が使う場合は無料。お金をかけてアプリでプロポーザルをやるより、確実に税金の有効活用になります。

 

僕がLINE社の回し者でない証拠も。


携帯3社、SMSを刷新=写真・動画でLINEに対抗

 

ショートメッセージサービス(SMS)は世界標準の規格。KDDIとソフトバンクとNTTドコモがこれを機能拡張するというニュース。広まれば、アプリよりも簡単に情報のやり取りができるようになります。もちろんすでに、この方式で「きずなメール」を発信するための準備も始めています。ご注目ください(^^)