「合併特例債はあくまで借金」である!? | 尾張風の会・一翔会の「絆」ブログ

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<一宮市の今>が見えてくるブログをお楽しみに!

 「合併特例債」とは、市町村合併後の地域振興や旧地域間の格差

是正などの名目で起債できる「地方債」のことであります。合併年度

及びこれに続く10か年度(平成17年4月に合併した一宮市は 平成

27年度迄)に限り、その財源として借入れることができる「地方債」

であります。市町村建設計画に基づく事業のうち 特に必要と認めら

れる事業に限り使うことができるとされています。


 「事業費の95%に充当」することが出来ます。元利償還の7割は、

「交付税措置」となります。2005年度末迄の「合併特例法」で 制度

化された合併旧法下のみの措置であって、「合併新法」では 廃止を

されています。


 1999年から2006年にかけて進められた市町村の合併を「平成

の大合併」といいますが、合併が促進された理由として、「合併特例

債によって行財政面での支援があったこと」や、「三位一体改革」に

よって「地方交付税が削減されたこと」などが挙げられます。

 「平成の大合併」の結果、従来は約3200あった全国の市町村は、

およそ1700にまで減って、約半分になりました。


 合併特例債では「合併後のまちづくりに必要な資金調達を支える」

という利点がある半面、「借金を増やすというリスク」もあるのです。


 2008(平成20)年9月号の「広報一宮」 掲載~谷市長のエッセイ

「今後の事業予定と財政見通しについて」から引用してみます。


“平成17年の合併にあたり、旧2市1町の各界代表で構成する合併

協議会で新市建設計画を策定しました。現在、市が進めている主な

事業はこの計画に沿って行っていますが、比較的短い期間に多くの

事業を消化しなければなりません。 これに関連して、今後の財政見

通しをご説明します。

 「新市建設計画」の期間は 「合併した年度とそれに続く10年間」と

定められており、これを「合併特例期間」といいます。本市の場合は

平成17年度から27年度までの11年間となります。

 この期間内に 「新市建設計画」に基づいて行う事業には、「合併特

例債の活用」が認められます。合併特例債は事業費の95%に充当

でき、元利返済額の70%は 国が地方交付税の形で負担することを

約束しています。これは 「1千円のものを335円で手に入れる」事

意味しており、大変有利な借入れです。借入限度額は自治体の規模

などによって定められていて 本市の場合は「491億円」までとなって

います。

 合併特例債を財源とする事業を「合併特例事業」といいます。本市

では、学校校舎・屋内運動場の耐震補強工事、木曽川尾西緑地や

JR木曽川駅 整備、新一宮尾西線・木曽川玉野線・福塚線・今伊勢

北方線等の道路整備、斎場・粗大ごみ処理施設・総合体育館・尾張

一宮駅前ビル・(仮称)木曽川文化会館・市役所新庁舎の建設 等を

予定しています。これらの事業は新市の将来を見据え、すべて関係

の皆さんのご意見を聞き、十分に検討した上で、全市の一体的な発

展のために必要と判断し、議会の承認を得て進めています。

 「合併特例事業」の費用合計は 「約520億円」を見込んでいます。

そのうち355億円は合併特例債を充てることにしており これは限度

額の72%に相当します。言うまでもなく、「市の財政は健全を第一」

としなければなりません。具体的には、年度末の市債の借入残高が

前年を上回らないことや、実質公債費比率(財政規模に占める借入

金の元利返済額の割合)が適正であることなどを目標として 堅実な

財政運営を行っています。

 合併特例期間中の 各年度末における「市債残高見込み」と、年度

毎の借入予定額と元利返済予定額をグラフで示しました。市債残高

は全体として減少傾向をたどることがお分かり頂けると思います。

 平成22年度には幾つかの事業が重なるため、借入額・返済額とも

ピークになりますが、「実質公債費比率は9%」程度と見込んでおり、

国が財政健全化の基準としている25%を大きく下回ります。ちなみ

に夕張市は18年度に38%でした。

 「市の経営は無借金が理想」ですが、現実にはそれは不可能です。

市は一定の予算の枠内でさまざまな事業を行っています。ある年度

に多額の費用を要する事業を行う場合、借り入れをしなければほか

の事業に「しわ寄せ」がいく事になり、市民生活に大きな影響が生じ

ます。借り入れによって、ほかの事業への影響を最小限にし 返済を

長期にすることで 「世代間の負担の公平を図る」とともに、計画的な

財政運営が可能になることをご理解いただきたいと思います。今後

も十分な目配りをしながら、着実な市政運営に努めてまいります。”



 …ここまでが、4年前の「広報一宮」に掲載~谷市長のエッセイ;



「今後の事業予定と財政見通しについて」からの引用です。


 合併特例期間中の各年度末における市債残高見込みと、年度毎の

借入予定額と元利返済予定額は、当初の見込みから大きく増加して、

市債残高は、H27年度の当初見込み739.9億円から 1006.6億円

へと、減少どころか270億円近く増加傾向を辿っています。



 「合併特例債」を財源とする「合併特例事業」で作られた、いわゆる

「ハコもの」には、運用経費や修理保全関係の後年度負担金が 十分

には考慮されていないようであります。これが「ボディブロー」となって、

次世代を財政的に苦しめることになるのかもしれません。


 「普通交付税措置」に釣られて、後の「借金地獄」に拍車をかける事

がないように、一宮市民としてしっかりと注目をしていきたいものです。