【関さんお見事!】 『STAR TRAIN』 のMVは、Perfumeの歴史を忠実に再現している | Perfumeとグルメの日記

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去る10月28日に発売された、Perfumeの新曲 『STAR TRAIN』には、皆さん思い思いに感想をお持ちでしょう。
普段はわりと冷静に色んなものを見るクセのあるボクでさえ、この曲にはかなり心の琴線をビンビンヤラれていますから、先の『LIVE 3:5:6:9』を見て、さらにPerfume初のドキュメンタリー映画 『WE ARE Perfume』もしっかりとを見た方にとっては、この曲は涙無しでは聞けない曲になったのではないでしょうか。


さて、今回の新曲の初回盤を買われた方は、『STAR TRAIN』のMVはもうご覧になったことでしょうし、買っていない方もPerfumeの公式YouTubeで、この曲のMVが見られます。
今日の記事は、この『STAR TRAIN』のMVについてです。


このMVの監督は、我らが関さん。
関和亮さんといえば、Perfumeに一番近いところにいる映像作家ですが、この『STAR TRAIN』のMVも見ると、中田ヤスタカの書いた歌詞を、関さんらしく、実に細かいアングルと演出で、Perfumeの結成からの15年を忠実に再現しているのですよ。
以下に、Perfume公式のMVを上げておきますので、まずは一度これをご覧になってからボクの
解釈をお読みくださいな。





イントロで、あ~ちゃんの元に、小さな光を灯した「らんたん」が降りてきます。
それを携えて、あ~ちゃんは暗い所をひたすら歩きます。





あ~ちゃんの手元に降りてきた「らんたん」、その中に小さく有る「灯火」は、お母さんの叶わなかった夢と、自分の夢、「アイドルとして大成する」を叶うべくたった1人、アクターズスクール広島の門を叩いた、幼き頃のあ~ちゃんのそれを表現しています。
「手探りで夢を見る~片道切符を求めて」という歌詞と合わせて、30秒あまり、ずっとあ~ちゃんの1ショット。
そして、MVの40秒ごろ、暗闇を歩いていたあ~ちゃんは、かしゆかとこんな風に出逢います。



ここで、ボクが真っ先に気づいたところは、「かしゆかはあ~ちゃんと進行方向が違う」ということ。
2人は同じ時期にアクターズスクール広島に入校したのですから、普通は、こっちに向かってくるあ~ちゃんを正面から出逢うように向けるところを、関さんはあえて、あ~ちゃんとかしゆかが違えた方向で出逢ったようにしているのです。


そしてこの演出は、2人が持つ「らんたん」に活かされています。
上が、あ~ちゃんが暗闇の中、持っていた「らんかん」。
下が、かしゆかが持っていた「らんたん」。




同じ灯火が点いているのに、なぜか「らんたん」の形は違えてますよね。
これは、もともとアイドルになりたかったあ~ちゃんと、ただお兄ちゃんにくっついて入校したかしゆかとの、アクターズスクール広島に入った動機の違いを表しているのでしょう。
ただし、その中に輝いている灯火(アイドルになりたい)という希望は、2人して同じなのです。
それが証拠に、あ~ちゃんは、自身が持つ「らんたん」が、かしゆかが持つ「らんたん」と同じかどうかを確かめるショットをわざわざ入れているのです。


気づいていましたか?
この1ショット!
ボクがこのMVをブログ記事に取り上げようと思った理由は、この1ショットだと言っても過言ではありません。


こういうきめ細かい演出は、ボクの大好物なのと同時に、こういうショットをしっかりと見せてくださるから、ボクは関さんの作品が好きなんです。


そして、ここからは、あ~ちゃんとかしゆかの歩みを表しています。
「気づいてくれる人がいる」
「誰も見向きもしなくても」
「肩を組んで笑ってきた」
2人の関係性を歌いながら。




そして、ここでようやくのっちが登場。



そして、ここまでに1コマだけ映し込んでいた、15年のPerfumeの歩みを記したフィルムを写す投影機のスイッチをのっちが入れるのですが、のっちには「らんたん」を持たせていないのが、またまたポイント。
現在のPerfumeの体制になるのは、最後にのっちが加入してからになるのですが、あ~ちゃんとかしゆかとは違うルートでPerfumeに加わった事を、これで表現しているのです。




のっちが加入して、Perfumeの物語が始まります。
その15年の始まりを見つめる現在の3人。





そして、2コーラス目。
ここでは、のっちとかしゆかの合作の、「線路のない道をゆく 想像を超えて進みたい」と、それをカバーするような、「歯車のように噛み合う 力は1人じゃ伝わらない」の歌詞の振り分けが大きなポイントでしょうか。
これは、中田ヤスタカのワークスによるものですが、Perfumeの創始者といってもいい、あ~ちゃんの夢を実現すべく、彼女と同じ夢を持つようになった2人の気持ちを表わすような歌詞の振り分けなのでしょう。






そして、ここからは3人が最近に経験した、『WORLD TOUR 3RD』の映像がずっと流れます。
結成15年が経って、世界進出が本格的に叶ったPerfumeの物語を自分たちで見つめる3人。
小さな灯火のような幼き日の、胸に抱いた夢を、1つ1つ体現化して、実現し続けた彼女たちの、その映像が自身の目の前に流れます。
そして、この曲のエンディング。
『STAR TRAIN』を歌う自分たちを、自身の歴史をずっと再現してくれた投影機のそばで見つめるPerfume。



曲が終わって、ラストシーンはこの投影機のアップです。


最後に加入したのっちが灯したこの投影機がその灯りが点いたままで、このMVは終えています。
つまり、これは、「LIVE 3:5:6:9」のあ~ちゃんの最後のMCであった、「Perfumeを続ける事を決めました」に繋がるショットなのですよ。



「結成15年経ったPerfumeは、これからも活動を続けて行きます。
この新曲は、また新しいスタートラインに立った決意の表れなのです。」



というPerfumeからの意思を、関さんはこの1コマで我々に表しているのだと、ボクは解釈いたしました。