今回はアイザック・アシモフのSF小説「アイ・ロボット」の感想です。
2050年代、世界中でロボットが普及した近未来が舞台。
ロボット黎明期からの様々なエピソードや事件が、老齢のロボット心理学者スーザン・カルヴィンの回顧を通して紹介されていく形式で物語が進んでいきます。
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スーザンが様々なエピソードを時代を追って思い出していくのですが、、、
初期の頃は「子供と戯れる子守用ロボット」などの他愛もないものだったのが、
「突然謎のダンスを始める発掘作業用ロボット」
「"ロボットは神に選ばれた完全な存在・人間はロボットより劣った不完全存在"と言い出すロボット」
「人の心を勝手に読むロボット」
等々、徐々に徐々にきな臭いエピソードになっていくのが印象的でしたね(笑)
・・・ですが、これらは一見するとターミネーターのようないわゆる"AIの反乱"的な展開に進むのかなと思うのですが、
そういう類のものではなく、、、
例えば作中のロボットプログラムの大原則の一つに
「ロボットは人間に危害が及ぶのを見過ごしてはならない」
というルールがあるのですが、
とある宇宙基地で、このルールを弱くプログラムされた作業補助ロボット行方不明になって大騒ぎになるエピソードがあります。
"基地に降り注ぐ微弱な放射線さえもロボットが「作業員(人間)に危害が及んでいる」と判断して作業を止めてしまうため、
基地の少将が秘密裏に大原則プログラムを弱くしてしまっていた"
というのが真相だったんですよね。
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一見するとロボットやAIの暴走に見えるような事件も、その大元の原因は人間の使い方や設定ミス、認識の不足、勝手な都合によるものだった、というパターンが多く、、、
現実でも、「AIによるトラブル」って言われてるものが結局は"人"が起こしてるものっていう事実と照らし合わせると示唆的な感じがしますね。
(AI技術を使ったフェイクニュースによる混乱とか・・・)
「アイ・ロボット」、1950年の古い作品なのですが、
今のAI時代に実際に起こっていることと対比しながら読んでみると、色々と面白い作品だと思いますね!