サウバドールの助っ人
一番最近出会った、イケてるタクシー運転手さんは、ブラジル・バイーア州・サウバドールのルイス。
南米予選チリ戦の開催地でのことです。
空港に着いた時、並んで客待ちをしてるタクシーの中でも、車体はオンボロで乗り心地がすこぶる悪いから、遠くへ行くお客さんは乗せられない。
後ろのトランクが壊れてて開かないので、荷物の多いお客さんも乗せられない。
というわけで、空港から近いホテルの名前を行った途端、私らは他の運転手さん達に追いやられるように、「じゃあ、ルイスだ」と言われて、乗ったわけです。
乗ってみると、確かに乗り心地が悪い(笑)
おまけにルイスは気が短くて、いろんな場面で、ものすごいクラクション攻撃。
私は思わず、「落ち着いて行こうよねー」と、声をかけたほど。
でも、なんか私らとルイス、気が合って、ホテルに着く頃には、気のいい運転手やんか、ってことで。
サウバドール滞在は6日間。
結局、毎日ルイスに来てもらってました。
そのルイス、仲良くなるに連れて、取材を手伝う気、満々になって。
試合の日は、夜の試合まで自由な時間があるので、街取材に出たんです。
車を止めて歩く時にも、荷物を率先して持って、一緒に歩いてくれる。
ルイスの風貌、こんな感じ。
せっかくだからと、カメラを持って写真を撮ったら、なんか、持ってる三脚とカメラが、武器みたいに見える(笑)
でも、こう見えて、道を渡る時には、トロい私に気を配ったりして紳士。
カメラアシスタントのごとく、三脚をささっとセッティングしたり、なかなかなもので。
で、今回、諸事情があって、リオからコニシキさんにも、助っ人で来てもらってたんです。
それでもなお、スタジアムの構造上、もう1人助っ人がいると、やりやすいんだけどなぁ、と。
あのスタジアムは、大変だよなぁ、なんて、みんなで遅いお昼を食べながら、話してて。
その後、いったん解散して、ルイスを解放。
私らも、ホテルで試合に行くスタンバイ。
その時、「ルイスに助っ人として、スタジアム取材を手伝ってもらおうか」と、ヴェントゥーラが思いついて。
とは言え、あの服装は、良くないなぁ。
スタジアムで、報道陣があの格好なのは、まずい。
なんて言いながら、約束の時間。
ロビーに降りてみると、じゃーん。
なぜか、ちゃんと着替えて、きちんっとしたルイスが、待ってるではないですか。
襟付きシャツに、スラックス。ベストまで来て、かわいらしいルイス。
ルイスに手伝ってもらうなんて、一言も言わなかったのに、「もう1人助っ人がいれば…」っていう雑談を聞いて、予感したのかな。
とにかく、ほんの1時間半の間に、万全の準備をして、現れたのです!
スタジアムでのルイスは、試合中は大喜びしながら、仕事中はヴェントゥーラに怒られながら、無事にアシスタントを務めてくれました。
この日、街取材は朝10時スタートで、そのまま試合後の取材が終わる、深夜1時半までの、長時間労働。
でも、「あんたらと会えたことが、ここ最近で一番の幸せだった。」と、翌日、空港へ送る道のりで、言ってくれました。
ちなみにルイス、「来週には新しい車が来るんだ」って言ってたから、タクシー運転手としても、これからはガンガンお客さんを乗せてがんばることでしょう。
言ってくれる、気さくな人です。