リクエストに答えて2〜デビュー5周年明治座公演パンフより | きいちゃんのブログ

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ますます輝き続ける舟木一夫さんへの溢れる思いを。
他に、お芝居のこと、日々のこと、雑感、着物のこと…など。
思いつくままですが、書いています。


昭和43年、
明治座での
デビュー五周年記念
舟木一夫七月特別公演

のパンフレットから

今回は、

舟木君の二回目
           川口松太郎
             
  
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  舟木一夫君の第二回出演を迎えた。去年の一回目に較べると、観客の反応がすっかり違ってしまった。去年は東京公演が初めてなので、どういう舞台を見せるか未知数で、幾分の危惧も持たれたが、彼の持つ若さの努力に圧倒された多くのファンが悉く感激して二回目の公演を待っていて下さったように思える。まだ若いだけにたった一年に大きな成長を遂げて舞台が洗練されて来た。仕事をおろそかにしない性格は各幕出ずっぱりの重労働にも喜んで耐えて仕事を楽しんでいてくれる。
   殊に今度は、出しものの配列が、玄(くろ)っぽくなり、昼の部は夏目漱石の坊っちゃん、舟木君の坊っちゃんは年令その他の諸条件がぴったりあてはまった役で、愛嬌者の山嵐や野だいこやうらなりにも適役を選び、ばあやの清には英太郎君が出てくれる。私もその昔、坊っちゃんの脚色をした事があった。戦争前の昭和十年七月の歌舞伎座で花柳章太郎が坊っちゃんを演じた時、ばあやの清はやっぱり英君だった。私の脚色は原作をこわしてばあやの清を大詰にも出し、批評家の非難を浴びてしまったが、それというのも腕達者の英君を序幕だけで引っ込めるのが残念で、大詰めにも出て貰う工夫をしたのだ。あれからもう三十年以上経ってしまって花柳は故人になっているのに英君は昔と同じ清を演じてくれる。もう八十才を越えてしまったのに今でもこれだけの魅力を持って若い者同様にかくしゃくとしている。俳優に年はなくいくつになっても芸魂が強固ならば力の衰える事はない。舟木君も英太郎同様に、これからの長い将来を息のつづくように努力して行って頂きたい。
     
                             ◯

明治座は新派と歌舞伎の他に多くの劇団を
招いて独自の興業形態を取って行く。明治座を愛する観客にバラエティのある製作プランをたて、地理的に孤立している悪条件を克服して観客を満足させていきたいと願っている。舟木君も一年一回の明治座出演が、今後も長くつづいてファンの層の諸方面へ深く広く伸びて行く事を希望したい。

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玄(くろ)っぽい
なんて表現、かっこいいですね。
舟木さんも使いそう………。


伊志井寛さんといい、川口松太郎さん
(作家さんですから、当たり前のことですが…)といい、これだけの文章の中に、
珠玉の言葉だらけですね。