福岡 三春天満宮 | 木うそGALLERY

木うそGALLERY

九州・大宰府天満宮が発祥と言われる木うそ。
その素朴で愛らしい姿形は見るものを虜にし、
飽くなき収集欲を掻き立てる。
このブログでは筆者が集めた日本各地の木うそを画像とともに紹介する。ここ数年で鷽コレクターも増えてSNSで発信される事が多いようです。


福岡県うきは市にある三春天満宮では、かつて4月の第一土曜日に鷽替え神事が行われていました(正式には4月3日ですが、平日は参加者が少ない為)。三春天満宮の鷽替え神事は別名・喧嘩鷽と呼ばれ、福を自らの手で奪い取って欲しいとの願いから、関係者が鷽を手で握り締め、参加者達が力ずくで奪い取るという荒々しいもの。神事用の鷽は「とり鷽」と呼ばれ羽がほとんど無い簡素な作りで、大きさは一般から小学生の部までは掌におさまるほどの小さなものですが、幼児の部では皆が握り易いように大きめに作られたそうです。鷽替えは世代・男女別に行われ、大勢の参加者による奪い合いで関係者はもみくちゃになる為、体力的に相当疲れる神事であったといいます。地元関係者達によって、とり鷽が100体と神棚用の飾り鷽が500体作られ、飾り鷽は数百円から数千円まで大小数種類があり、見事な巻羽のある作りです(平成6年の勧請千年大祭では関係者への贈答品として更にケース入りで100体作られました)。ホウノキで作られた三春天満宮の鷽は、縁起物ということから頭頂部に梅鉢紋や「寿」といった文字が手書きやスタンプされているのが特徴で、後ろには「三春天満宮」の焼印があります。いずれの鷽にも底に抽選番号が書かれ、鷽を手に入れた人たちによる空クジ無しの抽選会では、特等として3名(飾り鷽から2名、とり鷽から1名)に大宰府天満宮から取り寄せられた金鷽が授与され、一等以下には日用品等が贈られたそうです。左右と中央外側にあるのが飾り鷽で、中央内側にある2体の小さい鷽が神事で実際に用いられたとり鷽。激しい奪い合いを経た割には比較的状態は良いです。現在は原木の不足や木鷽製作の後継者がいなくなり、平成6年5月1日に執り行われた千年大祭を最後に廃絶となりました。

 

梅1三春天満宮梅1

福岡県うきは市浮羽町三春2587

JR久大本線・筑後大石駅から徒歩5分