歩いているのは、たくさんの民家と畑が広がる普通の田舎道だ。

「こんなところに古墳なんてあるんですか?家がちらほらあるだけですけど」

タクトが景色を眺めながら言う。

「もう少し歩くと、公園がある。そこの展望台からだとよく見えるからな」

前を歩いているレイラが言った。レイラは出発する時刻ギリギリにやって来たのだ。人数が多いので、いつもの外回りチームごとにまとまって行動している。

 

言われた通り、もくもくと歩いていたら公園に着いた。公園と言っても、ちょっとした花壇と手洗い場があるほかは、ただのひらけた広場である。遊具などは当然のようにない。

「あそこの先が展望台だって。兄ちゃん、早く行こうよ」

無駄に元気なガクにせかされ、数段の低い階段の先にある展望台に行く。そこには、盛り上がった緑のやや細長い塊があった。

「あれが古墳ですか?」

タクトが首を傾げる。

「うむ」

セルウィンはすでに何回か来たことがあるらしい。当然のように頷いてみせた。

「なんか、周りに堀みたいなのがあるイメージでした」

「ないものも多い。されば、小高い丘のようなものであるな」

確かに、セルウィンの表現がぴったりくるような気がした。

 

「すごーい!大きい。あそこに王様1人眠ってるんだよねえ?なんかピラミッドみたい」

ガクは古墳など興味なさそうな年頃だが、案外面白がっているらしい。大きさにロマンを感じたのだろうか。

「ねえねえ、次は隣にある博物館だって。レプリカとかあるらしいよ。発掘されたいろんなものの」

しばらくするとガクは嬉しそうに報告してきた。

 

博物館には、レプリカ以外のものもたくさんあった。島を紹介する目的もあるのか、島の航空写真やジオラマなども展示されている。おかげでこの島の大きさや構造が理解できた。考えていたよりも大きく、それなりに人口もあるらしい。

 

「あれ?何だろこの丸いの。なんかかっこいい!」

「銅鏡だな。そろそろ社会で習うんじゃないのか?」

ガクの騒ぐ声に、レイラが答えている。精緻なジオラマに夢中になってガクを野放しにしていたことを反省し、タクトはガクのそばに戻った。

「あ、兄ちゃん、見て見て。いろんなものが出てきたんだね。これって、どのくらいの価値があるのかな?」

「さあな。でも特権階級が使っていたものだし」

ガクは話すそばから、次の展示品に目を向ける。

「あれ、すごくない?」

 

 

 

 

〈おまけ〉

古墳って、少し離れたところから見ると本当に小山や丘にしか見えませんよね。父がドライブがてら「右に見えるの古墳だよ」なんて言っていたのを子どもの頃は「ただの小さな山じゃない。何が面白いの」くらいに思っていました。

 

その頃、古墳がどうやって作られたのかとか知らなかったですからね。土とか運ぶだけで重労働でしたでしょうね。

 

 

CANVAで素材を探したら、ほぼイメージ通りのものが出てきて「あるんかい」と笑いました。実際、こんな感じなんですよね。私が見た古墳は、もう少し木なども生えていて鬱蒼としてはいましたが、こんもり感はこのくらいでした。

 

外側は地味でも中にいろいろな副葬品があるのだと思うと、ロマンがあっていいなと思います、今は。

 

 

 

 

「インセクト・パラダイス」は完全フィクションの小説です。

毎週木曜日に更新予定です!


はじめから読みたい人はこちら

あらすじ