「えっ、俺も行くんですか。俺、駆除は苦手なんですよ。銃を使うの下手ですし」
カイトの後ろに控えていた長身の男性が口を開いた。情報技術班の技術室に在籍する、ハル・スギヤマ。カイトの部下でもある。
「莫迦だな。お前は運転担当だ。銃の腕なんて最初からあてにしてない。行くぞ」
カイトは有無を言わさぬ雰囲気で事務室のドアを開ける。ハルはしぶしぶといった表情でついて行った。
バタン、とドアの閉まる音。
「うち、1人になってもうたやん」
文子は呟く。手当を受けていた男性も、すでに出て行ってしまっていた。
「ちっ」
カイトがいまいましそうな声をあげる。
「遠くからじゃ見つけにくいな。おまけに光線を吸収しすぎだ。木まで焦げる」
カイトの銃に狙われたシロスジカミキリは、鈍い炎と大量の煙を出して地に落ちた。
「ハル、お前の銃を貸せ」
「え、俺の銃使うんですか?いいですけど、心配だなあ。壊さないでくださいよ」
「ゴタゴタ言うな。山火事になってもいいのか?俺の銃はどう考えても、通常種野生型には不向きだからな」
なかば奪い取ったハルの銃の出力を調整しながら、カイトは答えた。薄暗い森を見据える。
「しかし、このままでは埒があかないな」
ガクとタクトはまだ木々の幹や枝を中心として、カミキリムシを探している。
「あっ、またいた」
カチリとタクトがカウンターを押した。
「14、か」
「ボクのと合わせるとちょうど30だね。本当に多いなあ。あ、兄ちゃん、スマホ鳴ってない?」
「本当だ」
タクトがスマートフォンを確認すると、メッセージが入っている。
「集合、だってさ。さっきの地点に戻るぞ」
草をかき分け、道なき道を進む。ふと、後ろに人の気配を感じた。
「あらお疲れ」
ヒナタである。
「大丈夫だった?ここは人工変異種が確認されたことのない地域だから、一応任せたけど。変な虫に咬まれたりしてないわよね?」
「ヒナタさんが近くにいるって分かってたし、平気だよ!あ、でも蚊に刺されたかも。なんかかゆい」
ガクは左の人差し指をカリカリかいた。防護服の部分は虫よけの成分が入っているからか、ほとんど蚊に刺されることはない。
「厄介なところね。後で薬渡すわ」
集合場所に戻り、ガクが虫刺され薬を塗り込んでいると、レイラとセルウィンも戻って来る。
「どうだった、数は」
レイラがカウンターを取り出して尋ねた。
〈おまけ〉
情報技術班におけるカイトの後輩、ハルが登場しました。モブキャラ扱いなので、全体的に主張は弱めです。身長182センチ設定で体だけは大きいので、カイトから「木偶の棒」とののしられることもあるそう。かなりこき使われている様子ですが、なんだかんだで仕事は楽しいらしく、何とか辞表を提出せずにここまで来ているそうです。実のところ、書きかけた経験はあるようなのですが。
運動神経が悪い代わりに、頭の回転は速い方。情報技術班では、新しい武器や道具のアイデアを練ることが多いそうです。その中には、すでに使われているものもあるそうですよ。
「インセクト・パラダイス」は完全フィクションの小説です。
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あらすじ
