手渡された銃はずしりと重い。

「絶対に人に向けるなよ。出力は最低にしてあるが」

カイトは的から10メートル以上離れた横線の前に2人を並ばせた。

2人の前にそれぞれ的がある。的と的の間には薄い仕切りの壁。

「これからロックの外し方を教える」

そう言って操作方法の説明を始めた。

 

「ここだけ押すと赤色の光が出るな。これが照準光だ。害はない。標的に確実に当てるための目安だ」

言われたように操作すると、離れた床に赤い光が反射した。銃身を動かすと光も動く。

「いいか、1回貸せ。これを合わせて押すとレーザーが照射される。見えないがな」

そう言って照準光を的の中心に合わせると「ポン」と高い機械音が鳴った。

「レーザーが当たると音が出る。いいな。ここからがテストだ」

 

そう言うとカイトはポケットから2つ、赤いサングラスのようなものを出した。

「とりあえず、1回だけ的に当ててみろ」

「え?これ光を動かせばいいんだよね。簡単じゃん」

言われた通り、ガクとタクトは的に照準光を合わせる。ポン、と小気味いい音が鳴る。

と、すぐさまカイトが2人の目の前にサングラスらしきものを差し出した。

 

「これをかけて、もう1回やれ」

「待って、ボクメガネかけてるんだけど。上からかけるの?」

「それ遠視用だろ。1回外せ。短時間なら問題ないはずだ」

ガクがメガネをつけかえている間に、タクトが何かに気付き「あ」と小さく声を出した。

「これ照準光が見えなくなるのか」

「そうだ。そのままもう1回的に当てるぞ。何秒かかるか数えるからな。構えろ。始め!」

「うわ、あれ?くそっ、当たらない!」

タクトが慌てるそばで、「1、2…」とカイトが小さくカウントを呟く。

「3」

その時、ポンと音が鳴った。

 

「あ、やったあ!当たったよね」

ガクがガッツポーズをしてカイトを見る。カイトはやや面食らった顔をしたが、タクトに目線を移して「5、6…」とカウントを続けた。

「何だこれ?あの赤いのが見えないだけでこんなに当たらないのか?」

「頑張れ、兄ちゃん。落ち着いて!」

「9」

…ポン。

 

「ああ、どっと疲れた」

「兄ちゃん、グッジョブ!」

「兄の方は月並みだな」

「名前で呼んであげてよ、カイ兄。ところでツキナミって何?」

 

その時、エレベーターの扉が開いてレイラがやって来た。

「遅い!」

「いやー悪い悪い。さっきの仕事がなかなか終わんなくてさ」

「もういい。次のテストに入るぞ」

 

 

 

 

〈おまけ〉

銃の訓練が始まりました。

ターコイズ・プラネットの会社は人工変異種の昆虫撃退のため、射撃の訓練を受けるのが基本。

どの社員も少しは銃を扱えます。研究員や事務員も例外ではないので、ヒナタも銃を撃てるそうですよ。

 

 

相変わらずイラストが雑ですが、ヒナタ・オコノギのイメージ画です。

女性の化学教師っぽい雰囲気を目指しました。

こんな服装の先生、実際に学校にいましたよね。

清楚な雰囲気の彼女ですが、毎朝1時間くらいかけて化粧をするそう。

すっぴんの顔を見たら殺されるとの噂です。

 

 

 

「インセクト・パラダイス」は完全フィクションの小説です。

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