泣く子と地頭には勝てぬ…
ほんとに子供は手がかかる
なので親とすればとにかく
辛抱強くなるしかなくなる
こうするうちに親は自他の
バランスの何たるかを学ぶ
一方を打ち消すのではなく
両方が生かされるありよう
言うのは簡単だが特に相手
が子供となればもう大変だ
トンネルを潜らせることで
この先に進むための変わる
チャンスを与えてるらしい
その道をどう通るかで人間
が違ってくるから不思議だ
そしてそれが終わると今度
はその子供が同じ道を辿る
巡り巡って立場を変えて続
くこの苦労の連鎖繰り返し
どう技術が進んでもこれま
た変わらないから不思議だ
……………………………
そんな幼な子の泣き声と娘
の子守唄とを耳にしながら
助けてやろうにもどうにも
できずただここは待つのみ
そして上の子はてっきりも
う布団でおネムと思いきや
おっとなんとまだそこに…
そうかまだ起きてたのか…
見るとそんな妹をよそに独
り俯向いて何かやっている
あまりに集中してやってる
から何かと近づいて覗くと
なんとこれが親のスマホを
使ってゲームをやっている
複雑なジグソーパズルだが
それを難なく器用にサッサ
指を上下左右に動かしなが
らピースを素早くはめ込む
ドラッグ&ドロップ、さら
に回転……何でもござれだ
まだ4歳だが今の子はもう
こんなのは当たり前らしい
少し前まで妹と同じ泣き愚
図ってばかりだったのに…
……………………………
感心しながらここは邪魔せ
ずに一旦引き下がって一服
ん?すると今度は映画のセ
リフらしきものが聴こえる
なんだなんだ、また近くへ
寄って画面を覗いてみると
おお、ジュリーアンドリュ
ース…そしてあの優しい歌
メリーポピンズだ、こんな
幼な子がこんな昔の映画…
ちなみになんでまたこれを
知ってんのと尋ねてみたら
おかあさんと一緒に見たそ
の続きを見てるのだと言う
ディズニープラスでいつも
こうして映画を見るらしい
エルサ、アリエル、ラプン
ツェル…名が次々出てくる
今はラプンツェル以上に髪
を伸ばすのが目標だと言う
それはともかくスマホを軽
々と操っていることに驚く
…………………………
それにしても子供の環境は
我々が育った頃とは大違い
我々の時代はゲームといえ
ばスゴロクとかトランプ…
高価なものでもせいぜいエ
ポック野球盤くらいだった
どれも素朴なモノであって
通信機器などではなかった
テレビが現れた時は驚いて
誰もが腰を抜かしたものだ
それでも操作はせいぜい電
源とチャンネルまわしだけ
今と違い機能もえらくシン
プルで誰にでもすぐ扱えた
当初のテレビは白黒14インチ
よくザーザー画面が乱れた
地方は電波が届きにくくそ
れでも文句は言わなかった
そしてディズニーといえば
確か日曜夜週1だけの放送
その時は近所の子供が集ま
って1台のテレビに群がる
ミッキー、ドナルド、そし
て世界の動物ドキュメント
みんなでキャアキャア言っ
ては手を叩き夢中になった
…………………………
それに比べると今はスマホ
ひとつあれば何でもできる
映画 音楽 漫画 雑誌 ゲーム
スポーツ等々何でもござれ
世界中の何から何までを自
由に見聞きできるから凄い
それも時間や場所に拘束さ
れないでいつでもどこでも
各人の都合に合わせ好きな
時に愉しめるようになった
老いも若きもあらゆる人が
それぞれがそれぞれ愉しむ
ただこのパーソナル化が進
んだことで自由になったが
そのぶん人と人がずいぶん
バラバラになった気もする
多様になったぶん皆誰もが
知るスターもいなくなった
力道山、大鵬、美空ひばり
石原裕次郎、吉永小百合…
それぞれが内向きになるこ
とで興味関心の分断が進み
違いを越え広く繋がるのは
もう難しくなってるようだ
ほんと時代は変わったもの
だ、僅か60年ほどでこれだ
以前を知ってるから余計に
その差を感じるのだろうが
その変化のスピードは今後
さらに加速するに違いない
……………………………
この技術革新と生活の変化
この先はほんと予測不能だ
限りがないとはいえこの先
いったいどこまで進むのか
人類の進歩としてはわくわ
く興味が尽きない問題だが
ただ我々誰もがそのなかで
確実に否応なく歳を重ねる
歳をとると哀しいかな体も
頭も指もスピードが落ちる
運転でも演奏でも若い頃の
ようにやるのは難しくなる
現状の技術ですら付き合う
のが難しくなっていくのに
それが次々新しい技術に変
わっていくと…ありゃりゃ!
この技術の進歩と世の変化
それと自分の間に進む乖離
こればかりはどう抗ってみ
ても如何ともし難い問題だ
これまで先人たちはそんな
狭間をどう生きたのだろう
口には出さずともやはり忸
怩たるものがあったのか…
……………………………
しかし今この時代はそんな
年寄りに対しても容赦ない
買い物にしても現金は門前
払いキャッシュレスを迫る
テレビを買えば当たり前に
ネット連携スマートテレビ
健康保険証ももう紙はダメ
マイナカードはどうしたと
その調子で全体が進んでる
から年寄りは戸惑うばかり
今はとりあえず娘や息子に
さまざま頼ってるようだが
とはいえいつまでも何事も
子供に頼ってもいられない
それが暮らしに必須な事で
自立して生きていくのなら
こうなれば新しい技術にも
一々毛嫌いばかりしないで
自分に鞭打ってでも出来る
限りついてゆかねばならぬ
スマホ PC オンライン決済 バンキング
Bluetooth ストリーミングミラーリング
やれやれ、次から次となん
じゃらほいという感じだが
あれ?ほとんど通信ものだ
目に見えず触われない世界
しかも対面や電話で相手と
直接関わるのも難しい世界
確かな手触りある物や人を
信じて生きてきた世代には
この抽象的な数字を元にし
た世界は不得手な人が多い
……………………………
かく言う自分も目に見えな
い電気化学は落ちこぼれた
一つ一つ確かめる暇もなく
そういうものだと一方的に
偉い人が発見したからと公
式を憶えさせられた違和感
当面の仮説でしかない数理
を金科玉条の土台に仕立て
そこに器用に築き上げてい
く利便性という名の虚構…
なんてことに一々こだわる
ようでは勉強も嫌いになる
結果、新時代行きのバスに
乗り遅れて独りテクテク…
シンセサイザーが出た時も
買って徹夜続きで試したが
専門用語の多さと操作の細
かさについてゆけずやめた
さっさと言われたとおり憶
えちまえばいいだけなのに
なぜだなぜだと一つ一つ納
得できないとそこで止まる
軽く飛び越えられないのは
やはり性分が無器用らしい
でもそんなことではもうこ
の先は生きてけないようだ
幸い尖って偏屈に振る舞う
しかなかった昔に比べれば
子供に鍛えられて今はまだ
少しは丸くなっているはず
であればここは思い切って
態度のコペルニクス的転回
やれデジタルの何たるかだ
のアナログとの優劣はだの
そんなのは飛び越えてもう
憶えていくしかなさそうだ
一旦は諦め脱線した線路だ
が潔く戻るしかないらしい
線路は続くよどこまでも…
勉強は続くよいつまでも…
……………………………
ということで子供の話から
始まって巡り巡った徒然も
つい饒舌が過ぎてあれま!
ずいぶん長くなったようだ
いずれにしてもすべて子供
が気づかせてくれたものだ
子供というのは新しいもの
にも理屈抜きで飛び込める
それが大人になるとなぜか
一々立ち止まり余計な思案
この面倒なこと考えずにす
ぐ入っていく子供の身軽さ
それでこっちをまだ触発し
てくれる姿は貴重なものだ
であればどんなに歳が離れ
ていようが(おお!60超…)
ここは素直に謙虚に姿勢を
正し孫に一礼するしかない
そんな一礼されても孫には
ナンノコッチャだろうが…
ということでFine、読んで
くれた方お疲れ様でした♪